2011年05月29日

晴天の霹靂(penmachineその1)

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前回の投稿でふれたカナダ、ブリティッシュコロンビア州のDerek K. Millerさんについて、これから何回かに分けて詳しく取り上げたいと思います。個人のブログで他の方のブログの記事を引用するのはルール違反なのかもしれませんが、内容の素晴らしさ及び原文が英語であることから、日本語で紹介させていただくことに意義があるのではと考えました。

Derekさんは2007年に37歳の若さで大腸がんと診断されました。ブログ(penmachine.com)は癌になるずっと前(2000年)から続けておられました。そのため、体調の変化に気づき、癌と診断され、癌が当初の見込みよりもずっと進行していたことがわかり…といった癌になった人の多くに共通する経験が実に正確に綴られているのです。

癌が発見されるまでの経緯は次の通りでした。

1. 2006年の春先からトイレに行く回数が増えガスも溜まりやすくなった。が、単なる下痢の症状と変わらず、食べあわせが悪かったか何かの細菌の仕業だろうと思った。
2. その状態は春から夏にかけて続き、時には作業を中断してトイレに駆け込むようなことも起きたがさほど気にしていなかった。
3. 秋には便に鮮紅色の血が混ざるようになった。これはマズイとファミリードクターのDr. Hassamに診てもらった。10月のことだった。(注:カナダやアメリカでは、まずファミリードクターと呼ばれる医療全般について広く浅く知識のある医師の診察を受け、ファミリードクターが必要と判断したら専門医に紹介される仕組みになっています。)
4.  Dr. Hassamは、こうした症状を起こす原因は沢山あり、重い病気とは限らないのであまり心配しなくてよいが、一応消化器科の医師に診てもらうよう勧めた。
5. 11月になっても症状の改善がみられないので再度Dr. Hassamに会いに行き地元の消化器科医Dr. Ennsへの紹介状を貰った。
6.  Dr. Ennsの診察は12月だった。Dr. Ennsは直腸炎ではないかと疑っていたが次の週に受けたS字結腸鏡検査でポリープが見つかった。
7. 1月初めにDr. Hassamと面談があり組織検査の結果を知らされた。癌だった。
8. 1月下旬、Dr. Ennsに大腸内視鏡検査とCT検査、内視鏡超音波検査をしてもらった。内視鏡超音波が付け加えられたのは、大腸内視鏡検査で、前に見つかったポリープの他にも小さな瘤が見つかったからだった。しかしその瘤は見た感じ癌ではなさそうだと言われた。

(2007年1月26日投稿「Why I’m getting cancer treatment now」より)

癌の告知から数週間後、Derekさんは少し落ち着いてから経過を振り返って上のように整理されました。

それ以前の投稿を読むと、いかに癌が青天の霹靂であったかがはっきりわかります。

診断は直腸炎。別に重い病気ではない。でも…検査を受けなきゃならないんだ…
(2006年12月18日投稿「The diagnosis」より)

直腸炎ではないそうだ。1月の下旬に大腸内視鏡でポリープを切除しなければならなくなった。調べてみたら大腸ポリープはよくある疾患みたいだ。60歳以上の人の60%はポリープができるらしい。僕のように40歳以下の人には多くないけどびっくりするほどのこともない…
(2006年12月21日投稿「Scoperrific」より)

大腸内視鏡検査を前に、明日は医師からポリープの組織検査の結果を聞くことになっている。統計的に(年齢的に)癌のリスクは小さいから楽観的に考えている。組織検査の結果に係わらず、ポリープは切除して大腸内をよく検査する必要はあるそうだ。同じ検査をした人に聞いてみたら、前日に下剤を飲むのが一番しんどいと言っていた…
(2007年1月7日投稿「In preparation for the colonoscopy I’ll be having…」より)

と、癌であるかどうか心配するより、S字結腸鏡や大腸内視鏡といった検査を受けるのが嫌だな〜という心境が伺われます。まだ癌になるには若い年代で、まさか癌になるだろうとは思っていない人にとっては検査の方が憂鬱なのです。その気持ちはよくわかります。

そして癌の告知をを受けたショックは以下の3行で表現されています。

Fuck.
Fucking hell.
I have fucking cancer.

(2007年1月8日「Please excuse the salty language」より)

しかし、この時点ではまだ医師もDerekさんも初期の癌であろうと楽観視していました。

(次回に続く)
posted by leo at 17:08| Comment(0) | 本やブログなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月13日

癌ブログ考

oak tree.jpg

また更新が途切れてしまいました。

最近なかなか書く気になれないのは:
@ネタが見つからない(新しい治療法も出てこないし…)
A面倒くさい(アメリカ癌研のツイッターですら最近チェックを怠ってるし…)
の他に
B癌ブログというもの自体に疑問を感じてきた
という理由もあります。

自分が癌になった時、覚書のようなつもりで深く考えずにブログを始めたものの、癌という深刻な病を題材にしたブログには様々な問題があるような気がしてきたのです。

同じ病気になった方の参考にしてほしい、というのがブログの一番の狙いですが、癌患者と言っても十人十色。標準治療(抗がん剤)派、代替療法派、無治療派など人それぞれです。他の病気であれば医師の言う事に従っていれば治ることが多いので、患者もあまり悩まないのかもしれません。しかし
@癌は転移、再発していると現代医学の粋を集めても治すことができない
A他の病気と比べて治療が荒っぽく、放射線や抗がん剤といった健康な人間には明らかに害となるようなことでも、癌を殺す為に耐え忍ばなければならない
といった厳しい現実から、患者、家族、外野と素人が入り混じって、ああでもない、こうでもないと意見を戦わせるような(不毛な)事態も起きてしまうようです。

そんなわけで、私は自分自身のことにはなるべく触れずに癌の一般情報のような記事中心へ方向転換して続けてきました。自分のことを詳しく書いてあれこれ意見されるのは、正直「うざい」と感じたからです。それでも他の人の治療経過が気になり、ほかの癌ブログを読むことはありました。そして一般的に癌の闘病ブログには:
@ブログ主が元気になっても続けていると外野がしらける
Aブログ主の病状が悪くなると盛り上がり、閲覧数やコメント数が上がる
Bクライマックスはブログ主の死
という何かやりきれないパターンが存在することに遅ればせながら気付いたのです。

一度ブログとしてインターネット上に載せてしまうと誰が読むか選ぶことはできません。ブログの人気が上がれば上がるほど、癌になったことのない健康な読者が小説やドラマを楽しむのと同じ調子で読む可能性は高くなります。なにしろ事実は小説より奇なりです。さらに、主人公が死ぬお話は昔から不思議と人気を集める傾向があります。

ブログ主が癌で亡くなるとブログの人気が急上昇する現象は、日本ばかりでなく海外でも見られます。

カナダ、ブリティッシュコロンビア州のDerek K. Millerさんは、2007年に大腸がんステージIVと診断されました。もともと執筆や編集の分野で活躍されていた方で、ブログも自分のホームページを立ち上げた2000年から続けており、特に闘病ブログという趣旨ではありませんでした。癌になってからの経緯や治療生活については時おり言及される程度だったようです。

悲しいことに、Derekさんは5月3日、41歳の若さで世を去られました。亡くなる前にブログの最後の記事を用意し、自分の死後に投稿するよう友人に託しました。その記事は大きな反響を呼び、公開後Derekさんのブログの閲覧数は爆発的に伸び、アクセスが300万を超えてサイトが一時パンク状態になった程でした。(英語だと世界中の人が読みますからね。)

“Here it is. I'm dead, and this is my last post to my blog.”
で始まり
“I loved you deeply, I loved you, I loved you, I loved you.”
という妻への言葉で締めくくられる最後の投稿は、確かに非常に胸を打つ内容でした。

文を書くのが大好きだったDerekさんにとって、最後の思いを文章にして発表し人生の締めくくりとするのは自然な成り行きだったのかもしれません。また思春期の子供さんが2人いらっしゃるので、その子達のために父親の形見として残してあげたいという気持ちもあったのかもしれません。

ただ世間の受け止め方が…何と言うか…こういう美談を求めていた…みたいな感じで。それがちょっと引っかからないこともないです。

私は物書きではありませんし、次世代に送る適当な言葉も思いつきそうにないので、自分の死はプライベートのままにしておきたいなぁと思います。(あっこんなこと書いたら病気がすごく悪化しているのではないかと心配される人もいるかもしれませんね。そうではないです。調子が良いとは言いませんがそこまで悪くもないです。まだしばらく人生を謳歌できる筈と期待しています。)

PS: 過去ログを読んだところ、Derekさんのブログは実に素晴らしい内容だったので来週あたりからボチボチ紹介させていただこうかと思っています。
posted by leo at 13:13| Comment(6) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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