2010年06月05日

トロピカルな悩み

tropical birds.jpg

She is hot.
英語でよく使われる表現です。恋愛対象としてとても魅力的なことを指します。セクシーと似ています。

更年期の症状で悩まされている女性にとっては、何か皮肉な響きがあります。

癌のリスクは年齢に伴い上昇しますが、上皮性卵巣がんも患者の過半数は60代以上。閉経後に癌になるケースが多いそうです。運悪く閉経前に卵巣がんになってしまった場合は、手術による卵巣切除をきっかけに更年期がいきなり始まります。似た状況は子宮がんや乳がんでも起こります。

日本語では卵巣欠落症と呼ぶのが正しいのかな?英語では更年期はmenopause、卵巣切除で始まった更年期はsurgical menopause、抗ホルモン療法などの薬物治療で起こった更年期はchemo-induced menopauseと言います。人工的に突然始まった更年期は、徐々に起こる普通の更年期よりも強い症状を伴うことが多いそうです。

私自身は普通の人より10年くらい早く自然に閉経(自慢にもなりませんが…汗)、更年期突入後に発病したため、手術や化学療法の影響は全くありませんでした。しかもカナダという国は1年の内8ヶ月は肌寒い、少し寒い、寒い、とても寒い、寒くて死にそう、という「寒い」のバリエーションなので、多少身体が火照っても気にならないどころか、むしろ都合が良いくらいなのです。そんなわけで更年期への対処の仕方については正直あまり知識もありません。何が効くのか人によって違うことと思いますが、様々な症状の中で一番代表的なホットフラッシュを中心に、北米で比較的よく用いられる緩和法のみ幾つかピックアップしてみました。(漢方については日本在住の人の方がよくご存知でしょうから、今回は含みません。)

ホルモン補填療法(HRT)
更年期の症状を抑える上で最もパワフルなのはホルモン補填療法です。それは間違いないようです。しかし残念ながら不安材料があるのも事実です。ホルモン補填療法には、エストロジェンのみ補填する方法とエストロジェンとプロジェステロン(プロジェスティン)の両方を補填する方法があります。エストロジェンのみだと子宮がんのリスクが上がると言われており(卵巣がんのリスクが若干上がるという説も…)、子宮筋腫などで子宮を切除してしまった人以外は、エストロジェンとプロジェステロンの両方を補填することの方が多かったそうです。(注:過去形)

長い間、欧米の女性は閉経後にホルモン補填療法を受けるのが普通でした。ホットフラッシュなど更年期の症状を抑えるためだけではなく、骨粗しょう症や心臓病の予防効果もあると考えられていたからです。ところが2002年、アメリカのNational Institutes of Healthの一部であるWomen's Health Initiativeの行った大きな調査で、エストロジェン+プロジェステロンのホルモン補填療法は乳がん、心臓病、脳卒中などのリスクを上げるというショッキングな結果が出ました。それ以降、ホルモン補填療法を受ける人の数は激減。これに伴い乳がんになる人の数も減少したそうです。(減ったといっても8人に1人は乳がんになってますが…)

そんな悲しい歴史のあるホルモン補填療法ですが、現在もケースバイケースでしっかり用いられています。ただ、以前の様に何年もダラダラと大量に使い続けるのではなく、症状の重い期間のみ症状緩和に必要な最小限の量を投薬する、という慎重な態度に変わったのです。当たり前のことに思えますが、薬漬けの西洋社会では大問題になるまで使いすぎの弊害に気づかなかったのでしょうね。卵巣切除による更年期の場合、子宮も一緒に摘出していますのでエストロジェンのみのホルモン補填となります。エストロジェンのみの場合は、乳がんや心臓病のリスクは上がらないそうですからご安心を。また、ホルモン補填が骨粗しょう症の予防に役立つのも確かなようです。

抗うつ剤
ホットフラッシュに抗うつ剤?と驚かれる方もいるかもしれませんが、SSRI(セレトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セレトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬)といったうつ病のお薬は、微量の投与でホットフラッシュを抑える力があるそうです。中でもVenlafaxine(Effexor)は効果が高いらしく服用している人も多いと聞きました。この薬は、特に抗ホルモン療法中の乳がんの患者さんで、激しいホットフラッシュに悩まされているのだがエストロジェンを補填するわけにいかない場合などに勧められます。卵巣がんの患者さんの中でも、どうしてもホルモン補填が嫌でVenlafaxineを選ぶ人は大勢いるようです。

さらに、Gabapentin (Neurontin)という抗てんかん薬もホットフラッシュに効果があるようです。元来の目的が抗うつ、抗てんかんと聞くと抵抗がある人もいるでしょうし、こうした薬に副作用や依存症といったリスクはつきものです。しかし医師の処方に従って微量を必要な期間だけ服用するのであれば、それほど恐れる必要もないような気がします。マイナス面はあっても、それでQOLが大きく向上するのであれば試す価値があるという考え方です。まあ判断は人それぞれですよね。過去のトライアルによるとVenlafaxineは60%、Gabapentinは49%、それぞれホットフラッシュの強さを軽減したそうです。

ブラックコホシュ(black cohosh)
更年期の症状を抑えると言われるハーブ類は西洋にも東洋にも色々ありますが、欧米で一番人気があるのはブラックコホシュです。もともとは北米のインディアンの人たちの間で民間療法として使われていた薬草だそうです。ホルモン補填や抗うつ剤と比べると効果は落ちますが、Remifeminというブランドのブラックコホシュは臨床試験でホットフラッシュの減少が一応確認されています。(Remifemin以外の製品の効果については不明です。)ブラックコホシュは肝障害を起こすのではと危惧する見方もありますが、症例が少ないのと因果関係が明確でないことから、一般にはあまり問題視されていないようです。それよりも重要なのはサプリだからといって、化学療法や抗ホルモン療法の最中に勝手に服用しないこと。必ず医師と相談の上決めるべきです。シスプラチンの効果を妨げるという説もあるので治療が済むまで待った方がいいかもしれません。

夢の新薬?
Femarelleというのは比較的新しいお薬です。(というか、薬として承認されているわけではないからサプリになるのかな?)大豆に由来していますが単なるイソフラボンとは一味違う、薬理学的研究に基づいて開発されたエストロジェン受容体調整剤(Selective Estrogen Receptor Modulator)なのだそうです。サプリとは思えない立派な一般名でしょ。ホットフラッシュを抑え骨密度の低下を防ぐ一方、子宮内壁を厚くすることも乳がんを増大させることもない、という触れ込みです。本当にそうだとしたら画期的〜。イスラエル生まれのFemarelle、ヨーロッパでは既に使用されています。製薬会社の資料によると試した女性の76%に症状緩和が見られたとか。アメリカでダブルブラインドのきっちりコントロールされたトライアルを行う予定になっているので、どんな結果が出るか楽しみです。

薬やサプリ以外だと鍼や催眠術(冗談じゃなくて)は結構効果があるらしいです。あとは運動。(熱を持って熱を制す?)エアコンと扇風機の家電療法でしのいでいる人も多そうです。が、更年期症状の強さは個人差がありますので他の人が我慢してるから自分も、と無理をしないことが一番大切だと思います。
posted by leo at 17:48| Comment(3) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ホットフラッシュのことなら、試しました。ありとあらゆるものを。
抗うつ剤のVenlafaxine 75mgは、すごい目まいと吐き気で、
救急車を呼ぶべきか迷ったぐらいです。夜も眠れないほどでした。
イソフラボン&ブラックコホシュのサプリも、全然効果がありませんでした。
(イソフラボンに抗がん作用があると聞いたので、とりあえず今も服用しています。)
漢方薬の丹皮もだめでした。
食事療法で、夏野菜を食べたり、枝豆や豆腐を毎日、毎食、食べたりもしました。
今はEstradiol 0.5mgを服用しています。これは一番低い量ですが、
3週間後ぐらいから、暑くてたまらない症状がほとんどなくなりました。
もちろん、まだ1日に2〜3回は、ホットフラッシュになりますが、軽いです。
(ホルモン剤のPremarinというホルモンクリームも試しましたが、ホットフラッシュには効きませんでした。)
ホルモン剤のおかげで、今少し快適に過ごせるようになりました。
Posted by yoshiko at 2010年06月06日 09:58
yoshikoさんのホットフラッシュは随分と手強いようですね。
でもEstradiolが効いて良かった。女性ホルモンの減少が
原因である以上、ホルモン補填に勝るものはないのでしょう。
私はもともと女性ホルモンの少ない性質だったのかしら。
yoshikoさんの場合、女性ホルモンたっぷりだったのが
急に卵巣が無くなって身体が変化についていけなかったの
かもしれませんね。人間の身体は複雑にできてますね。


Posted by leo at 2010年06月06日 16:58
買取 時計
Posted by marc 時計 at 2013年08月03日 19:30
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