2011年05月13日

癌ブログ考

oak tree.jpg

また更新が途切れてしまいました。

最近なかなか書く気になれないのは:
@ネタが見つからない(新しい治療法も出てこないし…)
A面倒くさい(アメリカ癌研のツイッターですら最近チェックを怠ってるし…)
の他に
B癌ブログというもの自体に疑問を感じてきた
という理由もあります。

自分が癌になった時、覚書のようなつもりで深く考えずにブログを始めたものの、癌という深刻な病を題材にしたブログには様々な問題があるような気がしてきたのです。

同じ病気になった方の参考にしてほしい、というのがブログの一番の狙いですが、癌患者と言っても十人十色。標準治療(抗がん剤)派、代替療法派、無治療派など人それぞれです。他の病気であれば医師の言う事に従っていれば治ることが多いので、患者もあまり悩まないのかもしれません。しかし
@癌は転移、再発していると現代医学の粋を集めても治すことができない
A他の病気と比べて治療が荒っぽく、放射線や抗がん剤といった健康な人間には明らかに害となるようなことでも、癌を殺す為に耐え忍ばなければならない
といった厳しい現実から、患者、家族、外野と素人が入り混じって、ああでもない、こうでもないと意見を戦わせるような(不毛な)事態も起きてしまうようです。

そんなわけで、私は自分自身のことにはなるべく触れずに癌の一般情報のような記事中心へ方向転換して続けてきました。自分のことを詳しく書いてあれこれ意見されるのは、正直「うざい」と感じたからです。それでも他の人の治療経過が気になり、ほかの癌ブログを読むことはありました。そして一般的に癌の闘病ブログには:
@ブログ主が元気になっても続けていると外野がしらける
Aブログ主の病状が悪くなると盛り上がり、閲覧数やコメント数が上がる
Bクライマックスはブログ主の死
という何かやりきれないパターンが存在することに遅ればせながら気付いたのです。

一度ブログとしてインターネット上に載せてしまうと誰が読むか選ぶことはできません。ブログの人気が上がれば上がるほど、癌になったことのない健康な読者が小説やドラマを楽しむのと同じ調子で読む可能性は高くなります。なにしろ事実は小説より奇なりです。さらに、主人公が死ぬお話は昔から不思議と人気を集める傾向があります。

ブログ主が癌で亡くなるとブログの人気が急上昇する現象は、日本ばかりでなく海外でも見られます。

カナダ、ブリティッシュコロンビア州のDerek K. Millerさんは、2007年に大腸がんステージIVと診断されました。もともと執筆や編集の分野で活躍されていた方で、ブログも自分のホームページを立ち上げた2000年から続けており、特に闘病ブログという趣旨ではありませんでした。癌になってからの経緯や治療生活については時おり言及される程度だったようです。

悲しいことに、Derekさんは5月3日、41歳の若さで世を去られました。亡くなる前にブログの最後の記事を用意し、自分の死後に投稿するよう友人に託しました。その記事は大きな反響を呼び、公開後Derekさんのブログの閲覧数は爆発的に伸び、アクセスが300万を超えてサイトが一時パンク状態になった程でした。(英語だと世界中の人が読みますからね。)

“Here it is. I'm dead, and this is my last post to my blog.”
で始まり
“I loved you deeply, I loved you, I loved you, I loved you.”
という妻への言葉で締めくくられる最後の投稿は、確かに非常に胸を打つ内容でした。

文を書くのが大好きだったDerekさんにとって、最後の思いを文章にして発表し人生の締めくくりとするのは自然な成り行きだったのかもしれません。また思春期の子供さんが2人いらっしゃるので、その子達のために父親の形見として残してあげたいという気持ちもあったのかもしれません。

ただ世間の受け止め方が…何と言うか…こういう美談を求めていた…みたいな感じで。それがちょっと引っかからないこともないです。

私は物書きではありませんし、次世代に送る適当な言葉も思いつきそうにないので、自分の死はプライベートのままにしておきたいなぁと思います。(あっこんなこと書いたら病気がすごく悪化しているのではないかと心配される人もいるかもしれませんね。そうではないです。調子が良いとは言いませんがそこまで悪くもないです。まだしばらく人生を謳歌できる筈と期待しています。)

PS: 過去ログを読んだところ、Derekさんのブログは実に素晴らしい内容だったので来週あたりからボチボチ紹介させていただこうかと思っています。
posted by leo at 13:13| Comment(6) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
leoさんお久しぶりです。
ブログを始めてしまうと、確かに大変ですよね。
でも私は、少しでも同じ癌患者の人を励ましてあげられるならと思うと、
ブログ大歓迎なんですけどね。
でもこれって思い違いかもと思ったりもして。
コメントするのも、もっと深く考えないと、と後から反省してしまうことも多いです。
これからも、無理をなさらないで、お体お大事に。
Posted by yoshiko at 2011年05月14日 11:51
leoさんのお考え、なんとなくわかる気がします。
確かにブログを書かれている方が亡くなるとアクセスやコメントが増えますよね。
そういうのは少しつらく思えたりしました。
でも少しずつでもブログを更新してくださっていると、同じ病気の人が元気でいてくれるんだなと
それだけで嬉しいんです。

うまく伝えられなくてごめんなさい。
私はleoさんの文章が好きですよ〜。
Posted by がっちゃん at 2011年05月14日 19:56
yoshikoさん、お久しぶりです。
同じ病気の人がどうしてるのかって、やはり気になりますよね。
特に癌と診断されてすぐの人は不安だし、迷うこともあるし
経験者談を読んでみたいというのは自然な流れだと思います。
その反面、人は人、自分は自分、みたいに割り切って
考えることも必要なんでしょうね。
がん患者だけのSNSみたいなのが増えればいいのかな?
でもそれも誰でも登録できるから同じことだったりして。
yoshikoさんもお体をお大事にして下さい。
Posted by leo at 2011年05月16日 16:43
がっちゃんさん、お元気そうでなによりです。
いつも読んでくれてどうもありがとう!

そうなんですよね…特に病気がかなり進んでいる人のブログは
自分も心配で読んでしまうし、励ましコメントを置く人も
善意からそうしているは分かるのですが…
が〜っと盛り上がって、その方が亡くなりしばらくすると
熱心なファン(健康な方も多数含まれているでしょう)は
他に感情移入できるものを探して流れていくのかと思うと
なんだか空しく感じられて。癌の人にとっては、他の癌の人が
亡くなるとやはり落ち込んでしまうし。難しいですね〜。
ブログのテーマを癌以外にして、癌の話は時々書くくらいが
いいのかな〜。考えちゃいます〜。
Posted by leo at 2011年05月16日 16:56
様々なブログを読んで、考えてしまう事
しばしばありますね。
病状が厳しい?と自分に重ねて心配だったり
不安になったり・・・でもサバイバーと
言われる程に長生きできて改めて
しみじみ思う事は、がん患者が辿る経緯は
本当に、ほんとに十人十色だという事。

leoさんのブログは楽しみなブログの
ひとつです。同じ卵巣がんという事も
ありましょうが、多岐に亘り情報発信
して下さいますし、参考になります。
まぁ知識を得る事は必ずしも良い事ばかりではありませんが(^へ^)納得のいく選択肢を選べる糧にはなりますよね。
今回のアバスチンもその結果でした。
エビデンスのない高額な免疫治療を
した事もありましたが、コストパフォーマンスから考えても。それでも血液毒性はかなり少ないものの、高血圧は降圧剤の
お世話になってますが。
納得のいく治療は
結果次第で、初めから納得できるものは
ないのですが・・・

Derekさんのブログは実に素晴らしい内容だったので来週あたりからボチボチ紹介させていただこうかと思っています。

楽しみに待っていまさう♪


Posted by 海愛 at 2011年05月17日 05:49
海愛さん、

またもやコメントの返事が大幅に遅れてしまいました。
いかに放置状態であるかがわかってしまいますね。
申し訳ないやらお恥ずかしいやら言葉が見つかりません。

人によると思いますが、私も自分が受ける治療について
出来るだけ詳しい知識を得たいタイプです。
医師は、この薬とあの薬を合わせた方が効果がでやすい
と説明してくれても、具体的に何%とか何ヶ月の差なのか
についてはふれないことも多いようですね。細かい数字を
言っても患者にはわからないと思っているのか、患者を
ガックリさせないように気を使っているのか…

とにかくアバスチンが効いて良かったですね〜!
Posted by leo at 2011年05月29日 17:27
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