2011年07月07日

しんどかった手術、いつまでも続く抗がん剤(penmachineその4)

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(カナダ、ブリティッシュコロンビア州のDerek K. Millerさんのブログ「penmachine」を紹介させていただいています。今回は第4部です。)

術前抗がん剤と放射線治療の効果が残念ながら上がらなかったDerekさんでしたが、それでも手術は決行されました。直腸にできた癌を取り去るため、直腸は全て、加えて大腸下部も切除する大きな手術です。良い執刀医に恵まれ肛門や腎臓は切らずに済みましたが、大腸の傷が癒えるまでの間はストーマ(イレオストミー)に頼る生活となりました。

話は遡りますが、2006年にDerekさんの体調が悪くなり始めた頃、主治医が癌と疑わなかった理由の一つはDerekさんの体重に変化が無かったからでした。ところが癌と診断されてからDerekさんはみるみる痩せ始めました。何度も繰り返される検査。その度に絶食したり下剤を飲んだり。そして抗がん剤と放射線。手術前の6ヶ月で11キロ、手術前後の絶食でさらに7キロ近く体重が落ちました。さらに手術後しばらくして閉塞が起きてしまい食事を取ることが出来ず、ますます痩せてトータルで7ヶ月間に23.5キロ減!と骨と皮状態になってしまいました。元凶はもちろん癌ですが、直接の原因は検査や治療でここまで痩せてしまわれたのがとても切ないです。

そんな状態でも前向きな態度を失わないDerekさんは、一日も早く回復して化学療法を再開することを望んでおられました。

今日は娘と犬を連れて4区画散歩できた。杖も車椅子も使わずにだ。家に帰ってきた時は疲れたけど、僕は歩けた。痛みは少しずつ減っている。次のキモを始められる日も近いかもしれない。7キロ近く太って、元の体重には程遠いけどまあ安心した… でも重い疲労感は変わらない。昨日は車を運転して病院に行き、ついでに外食してきたのだが、その後疲れ果てて4時間も眠ってしまった。今日は子供をマクドナルドに連れて行った後1時間横にならなければならなかった… 小さな角ながら角を曲がっているなぁと感じる。2〜3週間後には娘達を学校に連れて行けるようになるだろう。それがゴールだ。
(2007年8月23日投稿「Turning the corner」より)

化学療法は2007年10月に再開しました。Derekさんの場合、再発予防のキモではありません。直腸の癌は手術で切除したものの、肺に転移した分は手付かずです。肺の癌が縮小してなくならない限り化学療法は続く見込みでした。その第一弾はFOLFIRI(5-FU+ロイコボリン+イリノテカン)にアバスチンを加えたレジメンです。Derekさんはポートと希望を胸に埋め込んで治療を始めました。

往々にしてあることですが、初めの頃はそれ程強い副作用は出なかったようです。投薬後2〜3日は若干吐き気を感じる。しゃっくりやくしゃみが頻発する。常に鼻水が出る。また温度に対して普段より敏感になり、熱いシャワーはより熱く、冷たい飲み物はより冷たく感じるようになったくらいでした。3ヶ月後のCT検査によると肺の癌は安定状態(SD)。なくなってはくれませんが少なくとも大きくなっていませんでした。しかしアバスチンの副作用か肺に凝血が見つかりました。

そしてFOLFIRI開始から6ヶ月経った2008年3月。目安として6ヶ月続く予定だったFOLFIRIを延長すると医師から告げられました。

がっかりしたけどすごくビックリしたわけではない。CTの結果で肺の凝血はなくなったし、腫瘍も大きくなっていないことがわかったから。でもキモをしてると足止めされる。早く終わらせて身体を休め、再手術して大腸と肛門を繋いでもらってストーマ生活を終わらせたい。でもそうすることで癌が勢いづいてしまう危険がある。勿論そうなっては欲しくない。

ということは今年の予定を修正しなくてはならない。パートや在宅でもいいから何時仕事を再開できるのか?わからない。夏に家族で旅行に行けるのか?多分。キモが効果を上げて癌が最後には縮小してくれるのか?祈るのみ。

この5ヶ月間のどっちつかずの状態が終わってくれるのを待っていた。投薬とその後数日間のうんざりする副作用。普通に近い暮らしを2週間してまた投薬。髪は薄くなってきてめっきり白髪が増えた。指は乾いて変色している。鼻をかむと鼻水がピンクがかっている。でも終わってくれない。まぁいいや、としか言いようがない。

(2008年3月13日投稿「Chemotherapy will last longer than I expected」より)

ついに記念すべき日が来た。抗がん剤について誰もが語ることだ。

昨日12回目のFOLFIRIをやった後、夕食を全部吐いてしまった。癌の治療を始めてから嘔吐したことはこれまでにもあったが、キモのせいで吐いたのはこれが初めてだ。

全体的にみると抗がん剤の副作用は思ったほど重くないけれど、キモというのはゆっくりと杭で打ちつけられるのに似ている。数週間に一遍打ち付けられる。自分は割とすぐ回復している方だろうが、打ち付けられるたびに徐々に沈んでいく気がする。

だけど今、妻が夕食の準備をしている。子供達のためにカップケーキを焼いている。今日は吐かないぞと思う。これは進歩だ。

(2008年3月28日投稿「Dubious milestones」より)

腫瘍内科医に会う時は期待しすぎないようにしている。現実的に考えて、肺の腫瘍が少し大きくなったか、少し小さくなったか、同じ大きさか…そんなものだと思って行く。奇跡的になくなったとか劇的に大きくなったとかは考えないようにしている。

そしてそれが僕の実際の状況だ…キモは肺の腫瘍を消去することはないものの増大を食い止めているようだ。FOLFIRIはあと2回、15回と16回目をやったら終了だ。やっと治療が休みになる。6月いっぱい休んでその後運が良ければ新しい治験に参加する。アバスチンよりもっと新しい分子標的薬だ。抗がん剤の効き目を増幅してくれるかもしれない。

キモの副作用から解放されるのはうれしい。週末に家族とビクトリアにでも行こうか。楽しいことがあったら何でもやろう。

(2008年5月6日投稿「More of the same」より)

抗がん剤で治療をして、しばらく休薬して、その後また化学療法。それがDerekさんの日常となりつつありました。

(次回に続く)
posted by leo at 07:23| Comment(4) | 本やブログなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
検査結果を聞きに行く度 みな同じような思いを味わっているのでしょうね。
私も初めのうちは 抗がん剤で腫瘍が完全消失することを期待していたけれど 少しずつ期待度は低くなり 増大していませんように・・もし悪くなっていてもほんの僅かでありますように・・と変わっていきました。

leoさんは現在は特に治療はされていないのですか?
私はまもなく5thラインの治療を始めることになっています(~_~;)
体力はあるのですが やはり骨髄はダメージが蓄積しているようです。
卵巣癌は比較的緩やかな経過を辿る癌なのでしょうか。
今はまだ罹患する前と変わりないような生活を続けていますが いつか坂道を転げるように一気に状況が悪くなって行くのかと考えると気持ちが滅入ります。
でも 普通になんでも楽しめる貴重な時を 鬱々と過ごしてはもったいないと!と気持ちを奮い立たせています。
Posted by ぷもりん at 2011年07月08日 13:06
ぷもりんさん
まもなく5thラインなのに普通の日常生活を続けていらっしゃる
ということは、それだけ身体が強いのでしょうね。
すばらしいことです。あやかりたいです。
経過は人それぞれのようですよ。人によっては一度目の
再発で癌が猛進する場合もあると聞きました。

私は最近やっと2度目のカーボプラチンを始めたのですが
2年も間をおいたのに毒は蓄積してるみたいでゾッとしました。
完全に無治療にはしませんが、抗がん剤は最小限の使用に
とどめておくことで担当医と話をつけてあります。
Posted by leo at 2011年07月10日 12:36
2年間の無治療でも毒は残っているのですね。
私は術後のファーストライン(TC6クール)終了後 半年待たずに再発したので それ以来ずっと薬を変えながら治療を続けている状態です。
自覚症状もないし マーカーは一桁だし もしかして再発自体が間違いなんじゃないか?と何度も疑ったほど元気です(笑)

でも 卵巣癌ってこんなふうにノンビリと経過を辿る人も結構いるんだそうですね。

私も完全無治療を貫く勇気はないけど 出来るだけ減量してもらうようにお願いしています。
でも大学病院だし 患者の希望通り行かないことも多いようです。

カナダと日本では 治療の方法も主治医と患者の関係なども随分違いがあるんでしょうね。
最小限のカーボプラチンで副作用はどんな感じですか?
効果が出ることを祈っています♪
因みに私はハイカムチンです。
Posted by ぷもりん at 2011年07月12日 15:27
ぷもりんさん
最小限の使用というのは、少量の抗がん剤を使うという意味では
ありません。少量の抗がん剤を用いた治療は残念ながら
まだエビデンスがないので、カナダではご法度です。
自覚症状のない再発癌は、CT画像で確認できても治療しない
ということなのです。で、症状が顕著になったら治療します。
ちょっと博打風で、患者の側は特に度胸がいりますよ。
検査の度に癌が大きくなっていくのを知っていながら
無治療で過ごすのですから。でも医師監督下の無治療で
あぶなくなったら即治療を開始できることがわかっているので
私はあまり心配していません。
一旦治療開始したら通常の量の抗がん剤を使います。
タキソールをパスしたのも、私が抗がん剤の使用はミニマムに
したいと希望したからで、ドクターも本人の意志を尊重してくれます。

今のところ効いてるみたいです♪
ぷもりんさんも頑張って下さいね。
Posted by leo at 2011年07月19日 07:17
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