2011年11月23日

ROMAの休日

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久々にブログでも更新しようかな〜と思い立って戻ってきました〜!(なんかもう戻ってくるのが恥ずかしいほど放置してあったんですが…汗)もっと久々に卵巣がんについて書いてみようかと思い乏しい資料を見渡しましたが、特にワクワクするような目新しい治療法のニュースもありません。(ガクッ)そこで検査方法についてでもウンチクをたれようかと企んでます。ちょっとだけ進歩があったみたいです。

卵巣がんの血液検査と言えばCA125。卵巣がんの人でその存在を知らぬ者は少ないと思います。CA125の数値が指標としてどれだけ頼りになるかについては状況によって異なりますし、ドクターによっても意見の相違があるようです。一般的に患者さんはドクター以上にCA125値にこだわっている方が多いという印象がありますが、どれだけ気にするかには個人差があるでしょう。

素人の私が言うのもなんですが、癌が非常に進行した状態(お腹いっぱいに広がっているとか…)では多少感度の悪い人でもCA125は大幅上昇するようですね。大幅上昇というのは少なくとも3桁、人によっては4桁の値のことです。で、癌がそうやって大暴れしている状態で化学療法を受け、よく効けばド〜ンと値が下がるし、ちょっとだけ効けば値が横ばい状態。全然効かなければ値がさらに上昇でその抗がん剤は打ち切り。と、画像検査と併用しながらCA125が治療効果測定の目安として活躍しているのは確かです。

しかし3〜4cmの大人しい腫瘍がポツンと一個あったくらいではCA125値が上昇しないことも往々にしてあるようです。一説によると初期卵巣がんの40〜50%はCA125値の上昇を伴わないとか。また20%くらいの人は初期でなくてもそんなに上昇しないとか。さらに再発で、CA125値が上昇してから画像で癌が確認される台本に沿った進行をする人もいれば、その逆でCT検査で先に小粒が見つかり後からCA125値が上がる人だっています。心当たりのある方、CA125が再発発見に導いてくれなかったのは貴方一人ではないのでガッカリしないで下さい。

ともあれ、CA125の一番の問題点は偽陽性が多いことです。単なる卵巣のう腫や子宮内膜症でも数値は上昇します。それどころか生理、妊娠、出産後、肝硬変、心不全等、様々な理由で数値が上がることがあるそうです。そのため既に卵巣がんと診断された人の経過観察には重宝でも一般の人向けのスクリーニングには適しません。では、腫瘍らしきものがあると画像で確認されたものの良性か悪性かわからないというケースはどうでしょうか?

良性か悪性かの判断が手術前につけば、悪性→婦人科の癌の専門家である婦人科腫瘍医(Gynecologic Oncologist)、良性→普通の婦人科医か外科医と効率的に振り分けることができます。執刀医が婦人科腫瘍医の方が卵巣がんの予後がいいことは複数の研究によって示されています。かと言って、全ての婦人科腫瘍(良性の方が圧倒的に多い)の手術を婦人科腫瘍医が行うことは数的に不可能なのです。婦人科腫瘍医なんて私の住む地域には一人もいません!という場合でも、手術前に癌の疑いが濃いことがわかっていれば出来るだけ経験豊富なお医者様に執刀をお願いすることはできます。逆に良性腫瘍の人の「もしも癌だったら」という心配は軽減できるかもしれません。現状では、CA125と画像、腹水の有無、閉経前か後か、家族の乳がん/卵巣がん歴など複数のファクターを総合して良性/悪性の見極めが試みられていますが、悲しいかなCA125の精度の低さが足を引っぱっているようです。

そんな中、腫瘍が良性か悪性かを調べる新しい血液検査ツールが開発されつつあります。OVA1はその一つ。CA125、beta-2 microglobulin、transferrin、apolipoprotein A1、transthyretinの計5種類の血液中タンパクの量やバランスを調べコンピューターで解析してスコアを出します。閉経前の人はスコアが5.0以上、閉経後の人はスコアが4.4以上だと悪性の可能性が高いとされています。販売元の会社(Vermillion)によると、従来の方法で癌かどうかの正しい判断が下せるのは72〜80%。臨床試験の結果、従来の方法にOVA1テストを加えると数字が92%に向上したと豪語しています。2009年9月にFDA(米国食品医薬品局)の認可がおりました。ただ宣伝しているほどの効果がないのか、はたまたお値段が高すぎるからなのか余り広まっていないようです。

もう一つはROMA(Risk of Ovarian Malignancy Algorithm)テストです。こちらはCA125とHE4という2つの腫瘍マーカーを組み合わせて分析します。(販売元はFujirebio Diagnosticsです。)HE4は米国で数年前に承認された比較的新しい卵巣がんの腫瘍マーカーです。2008年のASCOで発表された研究結果によると、経過観察中の卵巣がん患者において病気の進行と平行してCA125の上昇が見られたのが78.8%。同様にHE4の上昇が見られたのが76.2%。と感度はいい勝負。CA125に反応しない人でHE4に反応したのは23.5%。HE4に反応しない人でCA125に反応したのは31.6%なので…一応相互で補えるのかな?寛解中や治療下にある癌の動向を探るという目的では、CA125だけで調べるより若干の改善、まあCA125の感度が低い人には朗報…という程度かもしれません。

しかしHE4の真価は、悪性と良性腫瘍の識別においてCA125よりも偽陽性が少ない点なのです。つまり手術前の癌かどうかの読みにはCA125よりも役立つ可能性有りということ。そこで上記の、2つのマーカーを組み合わせる手法が登場しました。CA125とHE4、両方の値からコンピューターのプログラムによって腫瘍の悪性リスクを数値化し高低に分類するというテクノロジーです。98%のspecificity (陰性の人が正しく陰性と判断された%)まで精度を絞るとCA125が正しく上昇したのは23.9%なの対し、HE4の上昇は64.2%、ROMAテストの解析結果は71.6%…と悪性見極め率がかなり上がったと研究結果が発表されています。前述のOVA1と比較すると強みは手軽さです。従来のCA125に検査を一つ加えるだけなので手間も費用もOVA1ほどかからず、将来もっと普及するのでは期待されています。

とは言え、ついに卵巣がんにもスクリーニング登場か!と騒ぐのは気が早すぎるようです。OVA1にしてもROMAにしても対象は手術を予定している患者さん。何かできているんだけれど何だかはっきりわからない状況で、切る前に出来るだけ正しい事前情報を得て治療の助けとするのが当面のゴールです。何かできているのにも気づかない状態の人を定期的に検査して癌の早期発見を目指すレベルには達していません。どうも癌のスクリーニングというのは、罹患率の低い癌になればなるほど偽陽性の率が低くないと公益とならないようです。確かに良性で放っておいても困らない疾患が偽陽性でひっかかり次々に手術が行われたら、それによってごく少数の人の癌が見つかったとしても社会全体から見たらマイナスの方が大きいのでしょう。本人だって卵巣まるごと取られて、急に更年期突入で苦しんで、でも調べたら癌ではなかった…という事態はなるべく避けたいでしょうし。卵巣がんは幸か不幸か乳がんなどと比べると罹患率が低いので、スクリーニングの精度はハードルが非常に高くなるようです。難しいですね。

あっそれと、HE4マーカーは上皮性卵巣がんの中でも漿液性の場合に最も感度が高く、粘液性、類内膜、明細胞だと反応が鈍いという説があります。その反面、CA125値が当てにならない初期の癌(特に閉経前の方)でもHE4なら正しく反応するという結果もでています。なんだかもうどれも一長一短ですね。患者としてはやっぱり全部やってみたいって感じでしょうかね〜。

ああ久しぶりにきちんと文章を書いて緊張しました。またがんばって時々更新するようにしま〜す!
posted by leo at 16:29| Comment(2) | 卵巣がんニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
久しぶりの更新♪嬉しいです(*^o^*)
日々の生活が充実しておられるのだろうとは思いつつ 同じ病を抱える身としては あれこれ要らぬ心配もしたりして勝手に気を揉んでいたりで お元気な様子で安心しました♪

私も再発してからもCA125は一桁で 画像検査が頼りです。
まぁ僅かな数値の変化に一喜一憂するのもしんどいので これもいいかなぁなんて思っていました。
でも夏頃から2桁に上昇。まだ基準値内なのに やっぱり気持ち悪いもんですね(笑)

今まで何の問題もなかったCT撮影の造影剤でアレルギーが起きたり ハイカムチン投与後にいきなり高熱が出たり ちょっとトラブルが起きてます。
長らく抗がん剤を続けていると 身体も変化していくのでしょうね(^_^;)
Posted by ぷもりん at 2011年11月24日 11:06
ぷもりんさん
ご心配おかけしてすみません。幸い元気にやっております〜。

投薬後の発熱は心配ですね。ハイカムチンは骨髄にきついらしい
ので気をつけて下さいね。造影剤のアレルギーは、私はまだ
なったことがないのですが、技師の人から毎回「今まで大丈夫
だったとしてもアレルギーが起こることがありますよ」って
言われるのでドキドキして検査を受けてます。

お互い無理せず、でもしぶとく行きましょうね。
Posted by leo at 2011年11月24日 22:10
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