2010年09月17日

統合するのは何のため

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統合医療というコンセプトが癌治療の分野に登場してもう大分経ちます。アメリカやカナダの大きな癌センターでは、程度の違いはあれ統合医療を取り入れている所が増えてきました。しかし統合医療という言葉のみが一人歩きして、その意図や具体的なアプローチについては、まだよく知られていない、或いは誤解されていることも多いように感じます。そうした疑問に答えてくれたのがSociety for Integrative Oncology(SIO/統合腫瘍学協会)のガイドラインでした。このガイドラインは、MDアンダーソン、スローンケタリング、UCSFのドクターをはじめ、各分野の専門家の共同作業により作成されており、北米に於ける統合医療の現状を理解する上で信頼の置けるソースです。

(前置き:以下の内容は癌治療に関連した統合医療に限っています。糖尿病、循環器系疾患、アレルギーなど他の分野の状況と混同されないようお願いします。)

まず、ガイドラインの中で明確にされているのはAlternative Medicine(代替医療)とComplementary Medicine(補完医療)の違いです。この2つは名称だけでなく中身も異なるのです。

代替医療は「西洋の標準的な医療の代わり」に用いられる治療方法で、その効果については科学的に証明されていないどころか、科学的根拠が全く無かったり、科学的に否定されていたりします。一方、補完医療は西洋医学の枠にはまらず、手術や投薬以外のアプローチを用いながらも、ある程度は効果が確認されている療法を指します。補完医療は現代西洋医療との併用により、副作用や精神的ストレスの軽減などを通じてQOLの向上に貢献します。

平たく言うと、正統派の西洋医学に属さない治療方法を、標準治療と相容れないもの(取って代わろうとするもの)と、標準治療を脇役として補うもの(足を引っ張らないもの)に分けて後者のみを統合しようというのが、アメリカ、カナダにおける統合医療の実情なのです。もっと砕けた言い方をすると前者は不審者、後者は子分の扱いです。

さて、統計によると癌患者の過半数は何らかの補完・代替療法を試しているそうです。ガイドラインはその理由を次のように分析しています。
●西洋医療の医師や病院(態度やシステム)に対する苛立ちや副作用への恐怖感。
●患者が受動的な立場におかれる標準治療に比べ、補完・代替療法は「自分で自分の健康の為に何かしている」という張り合いを感じる。
●代替療法は治癒に対して肯定的で希望を与えてくれる。
●周囲の人間の勧め。
●奇跡への期待。
さすがに的を得てますね。癌患者が補完・代替療法に興味を示す傾向は世界共通だそうです。

ガイドラインで取り上げられている補完療法はヨガ、太極拳、マッサージ、鍼など沢山あります。こうした療法はエビデンスに乏しいと言われていますが全く無い訳でもないようです。ガイドラインの作成者は、過去の研究結果を丹念に、科学的に検証した上で、統合の仕方について奨励点を纏めています。(対象は癌の臨床医です。)

@基本的な取り組みについては、医師は面談の際、補完・代替療法を行っているかどうかを患者に質問するべき。また、患者が補完療法を正しく理解し現実的な期待を持つよう、各療法の長所と短所について、専門的知識を有する者から指導を受ける場を設けることが勧められています。

A不安感、動揺、慢性的な痛みを軽減しQOLの向上に役立つとして勧められているのは、心と身体系の療法(ヨガ、太極拳、瞑想、リラクゼーション等)、及びグループサポート、自己表現系の療法、(心理学者による)認知行動療法、認知行動ストレス管理法です。

Bマッサージ系療法(マッサージ、指圧、リフレクソロジー、アロマセラピーなど)も、不安感や痛みの軽減目的で用いられるならOKだそうです。アロマセラピーなんてスパみたいですが、欧米では補完療法として人気なんですよ。

Cエネルギー系の療法(気功、レイキなど)は安全と見なされており、ストレスを減らしQOLの向上に役立つことも(時には)有るとされています。しかし、痛みや疲労感といった症状の軽減効果についてはエビデンスに欠けると指摘されています。

D補完療法の中で常に評価の高い鍼治療は、痛みや化学療法による吐き気、放射線治療による口腔乾燥症を緩和する為に、補完的に用いることが勧められています。エビデンス不足ながらも、場合によっては可なのがホットフラッシュ、癌による呼吸困難や疲労感、抗がん剤による神経障害などの緩和、及び禁煙の補助だそうです。

E基礎となる健康の促進にプラスになるとして勧められているのが、運動とバランスの取れた正しい食生活です。(当たり前ですよね。)特定の食事療法については触れられておらず、食生活についての相談相手は栄養士を勧めています。

Fガイドラインの中で最も問題視されているのはサプリメントの使用です。アメリカやカナダで多用されているビタミンやミネラル剤については、それらに頼りすぎず、必要な栄養素は食事から摂るよう勧めています。これも当たり前に聞こえるでしょうが、とにかく野菜嫌いの人が多く子供でもビタミン剤を飲む土地柄なので、改善の余地が大ありなのです。

Gそれから「現時点では癌予防効果の認められるサプリメントは無い」と明言しています。

Hさらに、患者のサプリメント使用状況について、医師は治療開始前に把握すべきとしています。植物系のサプリメント(漢方含む)や高ドーズのビタミン、ミネラル剤は、副作用および治療薬との相互作用がないかの判断を要します。マイナスの相互作用を起こしそうなサプリメントは、化学治療、放射線治療、免疫治療中は避けるよう指導しなければなりません。栄養補助としてではなく、抗腫瘍効果を期待してサプリメントの使用を望む患者には、専門的知識を有する者と相談するよう計らい、現実的に期待できる効果、恩恵やリスクについて正しい情報を与えるよう努めよ、と勧めています。

医師が好む好まぬに係わらず、患者は代替・補完医療に興味を持つ。であれば、その点についても積極的に話し合い、患者の自主性を尊重しながら害にならない療法へ導く、というのが統合医療に於ける医師の姿勢のようです。そして様々な療法の良し悪しは、やはりエビデンスで判断しています。(苦笑)西洋医療はどこまで行っても西洋医療。西洋医療以外の療法の評価も西洋医療の視点から行います。

ところで、ご存知の方も多いと思いますが、補完・代替医療のガイドブックは日本にもあります。こちらは患者向けで大変良く出来ています。特に「補完代替医療を利用する前に確認すべきこと」という章は、実用的で利用価値大だと思います。ただアメリカのガイドラインとの相違点も明らかです。例えば、日本版では「補完医療と代替医療は区別されていない」と記されています。(情報が古いせいかしら?)上記の通り、現在アメリカ、カナダ、イギリスなどの国では補完と代替はしっかり区別されています。一般人のレベルでは混同する人もいるでしょうが、医師は違いを理解しています。もう一つ気になったのは、日本版の資料によると、日本では「がんの進行抑制」の為に代替医療を利用している人が67.1%、「治療」が目的の人が44.5%もいるそうです。西洋の医師が聞いたらキゼツしそうな数字ですが、日本のガイドブックでは淡々と、あたかも国民性の違いか何かのように記述してありました。日本は西洋医学が主流とは言え、漢方薬が通常医療の一部となっていることもあり、伝統的に代替医療に対して肯定的なのかもしれませんね。それが良いことなのか悪いことなのかは、私には何とも言えません。

尚、北米版のガイドラインの内容について賛同しかねるという方もいらっしゃるかもしれませんが、コメント欄で長々と反論を繰り広げるのはご遠慮下さい。私の意図は、アメリカやカナダの状況はこうなんですよ〜という情報提供であり、特定の代替療法を信じて実行していらっしゃる方を否定する気はさらさらありませんので、どうかお気を悪くなさらないで下さいね。

Society for Integrative Oncologyのガイドラインのダウンロードはこちらから。
日本補完代替医療学会のガイドブックのダウンロードはこちらから。
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2010年04月25日

亜麻色の食生活

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ささやかな食生活改善シリーズの第三弾は…ジャ〜ン、フラックスシード(flaxseed)です。フラックスシードはもともと欧米の健康食品の定番アイテムだったようですが、オメガ3(n-3系)脂肪酸が注目されるにつれて人気が上昇したように記憶しています。

脂肪と聞くと身体に悪そうですが、オメガ3脂肪酸は「善玉」脂肪。血液中のコレステロールや中性脂肪のレベルを下げて、不整脈や動脈硬化の予防に役立つと言われています。イワシ、サバ、サケなどのお魚から摂ることもできますが、フラックスシードに含まれているα-リノレン酸は植物系のオメガ3。お魚が苦手な人やベジタリアンの人にとってはとても重宝する食材です。

というわけで、フラックスシードは心臓に良い食品らしいとは前から知っていました。が、最近「あら〜癌にもいいのよ」と病院の待合室で他の患者さんから教えていただき、興味を持つようになりました。フラックスシードにはα-リノレン酸だけでなく、リグナンというポリフェノールも含まれています。リグナンには抗酸化作用およびエストロゲン様の作用があります。(イソフラボンと同じように植物エストロゲンです。)

エストロゲンというと最初に頭に浮かぶのが乳がん。大豆のイソフラボンについては、乳がんの予防効果があるvsない、ホルモン療法の効果を妨げるvs妨げない、と相反する研究結果が発表され何だか情報が錯綜している感があります。(普通の量の大豆製品を食べている分には問題ないようですが。)さてリグナン+オメガ3のフラックスシードはどうなのでしょうか。

まずはお馴染みのマウスによる実験から。ER受容体陰性の乳がんマウスを2グループに分け、半分はフラックスシード入り(10%)の餌、残りは普通の餌を与え、15週間後に腫瘍の増大や転移の度合いを調べました。普通の餌グループのマウスのうち55.6%に肺転移が見られたのに比べ、フラックス餌グループは22.2%でした。リンパ節転移は普通の餌だと88.9%、フラックス入りだと33.3%の割合で起こりました。腫瘍の数自体もフラックス入りの餌を食べたマウスの方がずっと少ないという結果がでました。

次に小規模ながらもランダムコントロールされた臨床試験。対象者は乳がんと診断されたばかりの閉経後の女性32名です。その内、19人はフラックスシード25g入りのマフィン、13人は普通のマフィンを支給され(本人はどちらか知らない)、組織診から手術までの約1ヶ月間、毎日1個ずつ食べるという楽しそうなトライアルです。そして、最初の組織検査と手術時の組織検査でのバイオマーカー値を比較したところ、フラックスマフィン組は普通のマフィン組より細胞増殖が減り、HER-2の発現も減り、アポトーシスは増えていたそうです。ただ少人数のグループだと、強い反応を示した人が2〜3人いただけでグループ全体の数値が跳ね上がったりするので、データとしてどれだけ信頼に値するのかはわかりません。ちなみにこのマフィントライアルを実施したのは、何を隠そう私のかかりつけの病院です。(笑)

似たようなトライアルは前立腺がんでも行われています。対象者は161名で手術前の1ヶ月間、@普通の食事、A普通の食事プラス1日30gのフラックスシード、B低脂肪の食事、C低脂肪の食事プラス1日30gのフラックスシード、の4組に分かれてバイオマーカーの変化を調べました。すると上記の乳がん同様、フラックスを摂った人たちの間で、普通食か低脂肪食かに係わらず細胞増殖の度合いが低下する傾向が見られました。言い換えると、腫瘍の大きくなるスピードが落ちていたということのようです。

卵巣がんに対するフラックス効果も研究されています。相手は人間ではなくメンドリなんですが…(メンドリは人間以外で上皮性卵巣がんになる代表的な生き物だそうです。本当かなぁ?)実験はシンプルで、メンドリ達を半分に分けて普通の餌またはフラックスシード10%入りの餌で飼育。1年間経過観察しました。卵巣がんの発症度は普通の餌でもフラックスシード入り餌でも似たり寄ったりでしたが、病気の進行度には大きな差が出たそうです。フラックス組のメンドリは、卵巣がんになってもあまり転移・進行していないケースが多かったのだとか。メンドリに効くものが人間にも効くかどうか…今後の更なる研究を期待しています。

個々の研究結果はちょっと頼りない感じがしますが(研究者の方、生意気言ってすみません!)、並べて見ると多少は説得感があるような… フラックスシードには癌を完全に予防したり、まして治癒させたりする大それた力はないにしろ、癌の進行を遅くするくらいの効果はあるのかもしれない…という気がしてきました。

フラックスシードの食生活への取り入れ方には幾つかオプションがあります。一番手っ取り早い(?)のはサプリ。色々な製品がありますが、フラックスシードオイルの入ったソフトジェルタイプが多いようです。また瓶入りのフラックスシードオイルも売っています。オイルと言っても加熱してはいけないらしいので炒め物に使うわけにもいかず、これを生で舐めるくらいならソフトジェルの方がいいなぁと個人的には思います。ドレッシングを手作りするような人なら上手に使いこなせるのでしょうね。ただ、オイルやオイル系のサプリはα-リノレン酸たっぷりの反面、リグナンが含まれていません。両方摂りたい人はフラックスシードそのものの方がいいかもしれません。種の形のままのフラックスシードを入手した場合は、必ずコーヒーグラインダーなどで挽いてから使って下さいね。種の形のままだと非常に消化が悪く腸閉塞になりかねません。自分で挽くのが面倒くさい人にはパウダー状のフラックスシードもあり、手軽に使えるので私は愛用しています。料理の得意な人なら、小麦粉などに混ぜてマフィンやパンケーキを焼いたら美味しいでしょうね〜。日本食だったらお好み焼きにも使えるかも。残念ながら私はそういう技術のいる調理は無理なので、単にヨーグルト、ハマス、アーモンドバター、マヨネーズなどにせっせと混ぜて食べています。スープのトロミ付けにも使えてとても便利です。混ぜるだけ〜という所が私にピッタリです。

ところでフラックスシードは日本語で「アマ二」だそうです。ん〜そんな日本語があるとは知らなかった。漢字では甘煮→×、尼似→×、亜麻仁→◎です。ひとつ勉強になりました。
posted by leo at 15:57| Comment(2) | 食生活/補完・代替医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月17日

がんに効くFacebook

FacebookのAnticancerコミュニティで「Online Kill-A-Cancer-Cell-athon」(がん細胞を殺せ−オンラインマラソン)というのをやっています。

Anticancer, A New Way of Life on Facebook


主催しているのは「Anticancer: A New Way of Life」の著者であるDr. David Servan-Schreiberです。開催日は4月18日(日)…といっても北米時間なので日本より半日遅れていると思います。何をするかと言いますと、参加者は当日下のリストに含まれるanticancer foodのうち3品食べる、というだけの至って簡単なルールです。世界で最大規模のSNSであるFacebookを通じて食生活の改善を呼びかける試みのようです。

Anticancer Food List:
− 芽キャベツ
− ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ
− にんにく、玉ねぎ、エシャロット
− ほうれん草、ウォータークレス(オランダガラシ)
− ターメリック、ブラックペッパー
− ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー
− ダークチョコレート(カカオ70%以上)
− 緑茶

食生活がもともと健康的な日本の人から見たら笑っちゃうような企画かもしれませんね。でも欧米、特にアメリカやカナダには野菜嫌いで、ピザとフレンチフライとコーラだけで生きてるような人がまだまだ沢山いるのです。そのレベルの人達にとっては、この程度の改善でも十分意義があるような気がします。

「Anticancer: A New Way of Life」は日本語にも翻訳されているようです。日本語版のタイトルは「がんに効く生活−克服した医師の自分でできる統合医療」だそうです。生活習慣とがんを結びつけた類の本の中では穏健派というか常識的というか、きちんと度をわきまえた内容だと思います。例えば、既に癌になった人に対しては、まず西洋医学の癌治療を受けることが前提で、生活習慣の改善だけで癌が治ると説いているわけではありません。また予防効果に関しても、健康的なライフスタイルは発がんリスクを軽減すると指摘しているだけで、絶対に癌にならないとは言っていません。極端な食事療法を推奨しているわけでもありません。さらにServan-Schreiber氏は精神科のドクターなので、「気の持ち方」について論じているチャプターは特に考えさせられました。私の個人的な意見ですが、Jane Plantの「The No-Dairy Breast Cancer Prevention Program」やT. Colin Campbell の「The China Study」(どちらもいささか論旨が偏りがち?)よりも有益な本だと感じました。

それから…ちょっと不純な理由ですがこの人(Dr. David Servan-Schreiber)、結構素敵なんです。写真で見るとそうでもないけど、テレビでインタビューされているのを見たら、細面+フレンチアクセントの英語で… つい画面に釘付けになってしまいました。癌(悪性脳腫瘍)になる前は、イラクやユーゴスラビアなどの紛争地帯でボランティア医師として活躍され、Médecins Sans Frontières(国境無き医師団)アメリカ支部の設立者の一人なのだとか。う〜ん、講演会とかあったら絶対行っちゃうんだけどな〜。でももしかしたらゲイの方かも… まっそれでもいいけど。長生きして下さい!

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猫好きなんですね。趣味も合いそう〜。
posted by leo at 16:10| Comment(4) | 食生活/補完・代替医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月13日

幸せの黄色い粉

あまり自慢にはなりませんが、私の生活習慣は癌になってからもほとんど変わっていません。そもそも卵巣がんの主要リスク要因は、子供を産んでいない、避妊用のピルを服用していない、といった今となっては変えようもないようなことばかりだし… というのは、まあ言い訳ですね。(避妊用ピルは身体に悪いものだとばかり思っていました。一生一代の不覚です。)

食生活もほとんど病気前と同じですが2〜3新しく始めたことがあります。一つは毎日お茶を飲むようになったこと。以前から午前中はコーヒー、午後はお茶だったのですが、午後のお茶をハーブティーから緑茶に変えてみました。出来るだけ濃く淹れたものを飲むようにしています。

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もう一つは調理する際ターメリック(turmeric)を使うようになったことです。といってもスープや卵焼きに加えるだけなんですが。その簡便さが料理が億劫な私に合っています。

ターメリックはカレー粉の黄色い色を出しているスパイスです。ターメリック自体は辛くもなくカレー独特の強い香りもなく、香辛料というより着色料に近い感じがします。着色力は非常にパワフルなので、使った鍋や皿は速攻ですすいでおかないと黄色い色が染み付いてしまいます。この色素はクルクミン(curcumin)というファイトポリフェノールで、癌の予防効果がある…かもしれないと考えられています。

アメリカNCIの資料によると、クルクミンはシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素の阻害による抗炎症作用やら、プロテインキナーゼC抑制による細胞シグナル伝達の中断やら、何だか難しいプチ分子標的剤のような働きをするそうです。単なるカレー粉の原料とあなどれない力があります。

クルクミンの抗悪性腫瘍効果については試験管や動物実験で、大腸がん、乳がん、肺がん、食道がん、メラノーマなど様々な癌に対して有効であるという結果がでています。卵巣がん絡みの研究もあります。例えばミシガン大学では、白金に耐性のある卵巣がん腫瘍を使ってApo2L/TRAILとクルクミンの効き目を調べました。Apo2L/TRAILは、癌細胞を狙い撃ちしてアポトーシスを誘引するという大変魅力的な実験薬なのですが、そのお薬の効き目がクルクミンの併用によって増加したそうです(試験管内)。それどころかクルクミン単剤でもアポトーシス効果が見られたと報告されています。一方MDアンダーソンでは、ドセタキセルとクルクミンを組み合わせて、3種類の卵巣がん腫瘍組織に対し縮小効果の有無を調べました(試験管とマウス)。結果は上々で96%、77%、58%とどの腫瘍も縮小しました。ちなみに3番目(58%)の腫瘍は複数の抗がん剤に耐性ができている厄介な腫瘍でした。クルクミン単剤の効き目はMDアンダーソンの実験でも認められ、3種類の卵巣がん全てを半分くらいのサイズに縮小する力があったそうです。

こうした研究結果を読むと、クルクミンの効果が強力なのか癌が軟弱なのか考えてしまいます。癌って試験管やマウスの体内では割と簡単に退治されてしまうように思えませんか?それが一度人間の体内に出来ると不死身の悪漢に変貌してしまうんだから本当に不思議ですね。

ともあれクルクミンが将来がん治療薬への道を歩むかどうかは、今後人間を対象にしたトライアルをしてみないとわかりません。ハイテクな分子標的薬と比べ、あまりお金になりそうにもないクルクミンに興味を示す製薬会社があるかどうかは…?

ところでターメリックの日本名はウコンだそうです。言葉は知っていましたが民間薬として使われていたとは知りませんでした。でも日本のウコンサプリは、2日酔い解消とかダイエットとか、カナダでは全く聞いたことのないような効能を前面にうたっているのでちょっとビックリしました。所変われば何とやら…ですね。カレールゥのメーカーもウコンのサプリを売り出していたりして、なんだか微笑ましいです。まあ何に効くとしても身体に悪いものではなさそうなので安心しました。
posted by leo at 10:38| Comment(4) | 食生活/補完・代替医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月17日

100年前の免疫療法

現代の医学における癌の3大治療は手術、放射線、化学療法です。
癌という病気は、この3大治療法を駆使しても克服できたり、できなかったりという状態なので、3大治療法が確立する以前の癌治療の効果は相当低かったものと思われます。勿論その時代は、他の病気(現代では簡単に治せる病気も含め)で亡くなる人も多かった筈なので、癌だけが恐ろしい病気という意識はなかったのかもしれません。

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そんな時代の話です。NYのメモリアルホスピタル(現在のスローンケタリング)にWilliam Coleyという医者がいました。専門は骨肉種だったそうですが、Coley's toxinsと呼ばれるワクチンを開発して癌の治療に用いたことで知られています。Coley's toxinsは、死んだ化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)が主成分で、これを患者に投与することによって免疫を刺激して癌の治癒を促そうという試みでした。化膿レンサ球菌が選ばれたのは、19世紀後半にドイツの医師が、この細菌の投与で患者の悪性腫瘍を縮小させた例があったことと、丹毒(レンサ球菌による感染症)に罹患した後、首の悪性腫瘍が自然消失した患者にDr. Coley自身が出会ったからだと伝えられています。この実験的な免疫療法は1891年に始まり、Dr. Coleyの死後も1950年くらいまで細々と続けられていたそうです。

Coley's toxinsが癌にどの程度効き目があったのか、それを判断するのは困難です。というのは当時(20世紀初頭)は、治療の有効性を統計的に判断するという手法は存在せず、個々のカルテの記録も、現代の水準からすると客観性や正確さに欠けている可能性があり、言い換えれば結果の悪かったケースは省かれているかもしれないのです。といった制約はあるものの、Dr. Coleyのワクチン治療を受けた患者128名と、現代の標準治療を受けた同じ病状の患者1675名を比較する研究は行われました。なんと生存率はほぼ同じだったそうです。(苦笑)その他、リンパ腫の治療でキモとColey's toxinsを併用したらキモだけの場合より奏功率が倍になったとか、手術不能の肝臓がんの生存期間を延ばしたとか、ぽつりぽつりとトライアルは行われています。が、医学の主流派からは無視されている状態のようです。

Coley's toxinsは、熱処理済みとはいえ本物の細菌(バクテリア)を投与するので発熱、悪寒といった感染症の症状が伴いました。しかし、この発熱は副作用ではなく治療の狙いでした。細菌が身体に侵入することによる免疫刺激効果が発熱によりさらに高まる… Dr. Coleyはその仕組みを科学的、免疫学的に解明していた訳ではありませんが、経験と直感から「効果がある」という信念を持っていたようです。発熱という要素は、内と外という違いこそあれ現在の温熱療法と同じ発想のように思えます。癌細胞が熱に弱いというだけでなく、熱は樹状細胞を刺激してT細胞の活性化を促すという研究結果もあるそうです。

Coley's toxinsが一般化することなく、寂しくすたれてしまったのは何故でしょうか。
理由の一つは、Dr. Coleyがワクチンのフォーミュラや投与方法を統一しなかったため、他の医師が治療法として採用しづらかったのことです。またタイミング的に、放射線治療への関心が高まっていた時期であったのも一因です。とどめは抗がん剤の登場でした。第二次世界大戦中の化学兵器開発から偶然の産物として発見された抗がん剤ですが、それ以前の治療法よりは頼りになり将来性もあると皆の期待が集中しました。な〜んて、こういう書き方をするとあたかも私が代替治療の信奉者であるかのような誤解を受けそうですが、そうではありません。念のため。元を辿ると核兵器や化学兵器と同じところに行き着いたとしても、放射線治療や化学療法が多くの人の命を救ったり延ばしたりしているのは間違いありません。癌だけではなく、狭心症の治療薬としてニトログリセリンが使用されている例もあり、医学の武器が戦場の武器と繋がりを持つことだってあるんです。

話をColey's toxinsに戻しますと、Dr. Coleyのワクチンは現代医学の中でそのまま用いるには、あまりにも前時代的でナンセンスですが、目の付け所は悪くなかったように思えます。失敗作として投げ捨てられ、その後ろくに研究されなかったのは少し残念です。(これは日本の丸山ワクチンにも言える話ですが。)最近になって免疫療法は人気が再燃していますが、過去半世紀に抗がん剤研究の10分の1、20分の1でもワクチン開発に力を注いでいたら今頃何か見つかったのでは…と思わないでもありません。


参照したサイトはここここここです。
posted by leo at 22:20| Comment(6) | 食生活/補完・代替医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月09日

スーパーD

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近年最も注目を集めているビタミンは、なんといってもビタミンDです。
ビタミンDというと、カルシウムの吸収や骨の代謝を助ける、つまり骨を丈夫にするビタミンだと思っていました。ところが最近では、ビタミンDの恩恵は骨だけに限らず多岐にわたっており、免疫をコントロールする上でも重要な働きをしているという見方が増えてきました。

例えば:
風邪やインフルエンザに罹りにくくする。
年をとってから呆けるのを防ぐ。
喘息発作の頻度を減らし、症状を軽くする。
多発性硬化症(MS)のリスクを減らす。
関節リューマチのリスクを減らす(女性)。
(タイプ1)糖尿病のリスクを減らす。
高血圧や心臓病のリスクを減らす。

など次々と嬉しくなるような可能性が示唆されるようになりました。もちろん可能性は可能性にすぎません。絶対にそうである、と断定するために必要な直接証拠(エビデンス)はまだ不十分で研究段階と言えます。それでもドラッグストアに並ぶビタミンDサプリメントの数がここ一年で大きく増えたのは間違いありません。

ビタミンDと癌との関係についても既に研究が始まっていますが、結果は様々で専門家の意見が分かれている状態のようです。私が最も興味深いと思ったのは、アメリカで1179名の閉経後の女性対象に行われたトライアルです。参加者はサプリメントとして毎日カルシウム(1500mg)を摂るグループ、カルシウムとビタミンD(1100IU)の両方摂るグループ、何も摂らないグループの3つに分けられ、調査は4年間続きました。すると、何も摂らないグループに比べてカルシウムを摂ったグループは47%、カルシウムとビタミンDを摂ったグループは60%も癌の罹患率が低い、という結果が出たのです。ただこのトライアルは、もともと骨折の頻度を調べるのが主目的で、癌の発生率の比較は2次目的でした。そのこととビタミンDのみ摂取するグループがなかった点が足を引っ張り、ビタミンDと癌との係わりを立証するには弱いエビデンスとなってしまいました。

賛成論と慎重論が行き交う中、一足先にビタミンDを臨床に採用している病院もあります。その一つがNY州バッファローにあるロズウェルパーク癌センターで対象は乳がんです。乳ガン患者の70〜80%はビタミンD不足な上、ビタミンD不足と再発率とを結びつけた研究もあることから、ビタミンDを大量に投与する新療法を開始したようです。ロズウェルパークは以前から免疫療法のトライアルをやっていたりして、新しい治療法に対して積極的な病院という印象があります。この試みがどうでるか、それはまだわかりません。しばらく前にビタミンC療法が話題になったものの効果はいまひとつだった、という例もあるので、期待しながらも期待しすぎない方がいいのかもしれません。

ビタミンDの癌予防効果をサポートする状況証拠としてよく挙げられるのは、癌発生率の北高南低傾向です。癌になる人の数は、緯度の高い北に位置する国(ヨーロッパ、北米)に多く、赤道に近い南に位置する国(南アジア、中南米、アフリカ)に少ないことは知られています。たまたま北には経済的に裕福な国が多く、南には発展途上の国が多いため、癌を一種の文明病のように解釈している人もいますが、ビタミンDが関与しているということになれば話が変わってきます。ビタミンDは食べ物から摂ることもできますが、主な源は太陽の光です。年間を通じて強い日差しをさんさんと浴びていたらビタミンD不足にはなりません。

カナダのような北国では冬場の日照時間は本当に短いのです。朝目が覚めるとまだ真っ暗。出勤時には日が昇ってきますが、夕方会社を出るとすでに真っ暗。少なくとも4ヶ月は、お日様をろくに見ない毎日が続くのです。地理的にビタミンD欠乏になりやすいという事実を考慮し、カナダの癌協会はビタミンDのサプリメント(一日1000IU)を摂取することを勧めています。

卵巣ガンも北高南低の癌です。WHOが開発した世界175ヵ国のデータベースを集計したところ、卵巣ガンの罹患率は北、南半球共に緯度の高い地方に高く、赤道に近い地方との差は5倍もあるそうです。卵巣ガンと日光(特にUVB)の量、そして体内に生成されるビタミンDの量との間に何らかの関係があるのかどうか、更なる研究が待たれます。

皮膚でビタミンDを生成するためには、サンスクリーンをつけずに10〜15分間の日光浴を最低週2回は行わなければなりません。ここで問題になるのは、紫外線は皮膚ガン(メラノーマ)の原因になるということです。東洋人は白人ほどメラノーマのリスクが高くないので、1日15分の直射日光はベネフィットの方が大きいような気がします。日焼けは美容の敵だと思っていましたが、健康は美容より大事ですよね。短時間の日光浴、適量のサプリメント、食事(スキムミルク、鮭缶)でビタミンDの補給に努めるのは、手軽に出来る補完療法ではないでしょうか。

情報源:ビタミンD(一般)閉経後女性対象のトライアルロズウェルパークの新療法卵巣ガンの南北差
posted by leo at 19:35| Comment(8) | 食生活/補完・代替医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月15日

感謝祭のお食事考

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カナダでは10月の第2月曜日がサンクスギビングデー(感謝祭)です。今年は12日でした。サンクスギビングにつきものの食べ物というと、詰め物をしたターキー(七面鳥)に甘酸っぱいクランベリーソース、デザートのパンプキンパイなどが挙げられます。こうした肉中心の西洋料理は健康に良くないという意見も聞きます。確かにこれらの料理をフルコースで食べたら、カロリーも脂肪も摂取過多になりそうです。ただ素材を一つずつ見ると必ずしも身体に悪いものばかりではありません。

ターキーは鶏肉によく似ていて、鶏よりさらにあっさりした口当たりです。肉は全てだめと主張している極端な食事療法もありますが、医学的・科学的に食べ過ぎると癌や心臓病のリスクが上がると指摘されているのは、レッドミート(牛、豚、羊など生の状態が赤いお肉)と加工肉(ハム、ソーセージなど)で、チキンやターキーは含まれていません。

アメリカで50万人の男女(50〜71歳)を対象に先ごろ行われた食生活と健康の調査によると、レッドミートを沢山食べる人のグループ(1日平均約127グラム)は少ししか食べない人のグループ(1日平均約14グラム)に比べて、調査期間中(約10年間)に亡くなったり病気になったりする人の割合が多かったことが判明しました。癌に関しては、特に食道がん、肝臓がん、大腸がん、肺がんで、レッドミートを沢山食べる人と食べない人の間に発生率の差が認められました。同様に、加工肉を沢山食べる人のグループ(1日平均約42グラム)は、あまり食べない人のグループ(1日平均3グラム)に比べて大腸がんと肺がんになりやすいという結果もでました。ただし卵巣がん、乳がん、前立腺がんなどでは肉の消費量と罹患率の相関関係は認められませんでした。この研究の他にも過去に似たような調査結果が複数発表されていることから、アメリカやカナダの癌研、癌協会はレッドミートと加工肉の消費を減らすよう促しています。ちなみにカナダの癌協会はレッドミートは週に255グラム以下、加工肉(硝酸塩が入っているので)なるべく避け、たま〜に食べる程度にするようすすめています。

評価が下り坂のビーフやポークにひきかえ、チキンやターキーは魚と一緒のホワイトミートのカテゴリーに入り、良質なタンパク源として人気を博しています。調理法は皮なし(ササミ♪)で蒸したり焼いたりがいいようです。(唐揚げはだめですよ〜。)

サンクスギビングの話に戻りますが、ターキーの詰め物によく使われるのはワイルドライスです。ワイルドライスは厳密にはお米ではなく、湖や川岸に生えているイネ科の草の実だそうです。北米では昔ネイティブインディアンの方達が主食にしていたと聞きました。カナダのワイルドライスは田んぼでなく自然の水辺で栽培されており、伝統的なナチュラルフードとして名物になっています。ワイルドライスは黒くて長米よりもっと細長く、日本米の感覚でふっくら炊くのは無理ですが、詰め物やスープの具にすると美味しいです。玄米以上に栄養豊富という説がありますので雑穀ファンの方は是非お試し下さい。

サンクスギビングのターキーはクランベリーソースで食べるのがスタンダードです。甘酸っぱい、なんだかジャムっぽいソースと肉の組み合わせは日本人の味覚にはあまりマッチしない気がします。でもクランベリーは膀胱炎や歯肉炎防止に役立つのに加え、ポリフェノールの一種アントシアニンが豊富でトップクラスの抗酸化作用もあります。さらに、ラボの実験によると癌の予防や治療の補完効果があるかもしれないという情報も流れました。さらなる研究が現在進行中のようです。クランベリーは非常にすっぱくて生では食べられません。一番手軽なのはジュースですが、マフィンやスコーンなどにもクランベリー入りのものをよく見かけます。(と〜っても美味しいです。)

…とウンチク話を書いてきましたが、実は私は料理の才能ゼロなので、まともなサンクスギビングディナーを自力で用意したことはありません。親切な方に誘っていただいた時だけおすそ分けを頂戴しています。

レッドミートと癌についての情報はここここここを参照しました。
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2009年05月16日

塩分と脂肪

まずはこちらの写真をごらん下さい。

salty restaurant food.jpg

CSPI(Center for Science in the Public Interest)という団体による、レストランチェーンのメニューの塩分量調査でワースト1に輝いたレッドロブスターの『アドミラルフィースト』です。7106mgというのはソディウム(ナトリウム)の量で、これは食塩相当量18gにあたります。梅干100gに含まれる食塩相当量22gと比較しても、かなり塩分が多いですよね。塩分の取り過ぎは高血圧の原因となり、心臓や腎臓の障害をひきおこしかねないだけでなく、胃がんの発生にも関与しています。

カナダのハートアンドストロークファウンデーションとアメリカのハートアソシエーションは、どちらも1日のソディウム量を2300mg(食塩相当量5.8g)以下にしろと言ってます。ちなみにこの食塩量は、お醤油36gまたは味噌53gと大体同じです。日本では現在1日あたりの食塩平均摂取量が13.5gで、これを10g未満に減らすよう厚生労働省が勧めています。

こうして比べてみると日本は塩分に関してゆるいですよね。

だがしかし…
もう1度上の写真を見てください。

問題は塩分だけじゃない、というか塩分以上の問題があるのではないか、という気になりませんか?

▼量が多すぎる(写真には入ってないが、実際はビスケットとレモネードもついてくる)
▼脂っこすぎる(揚げ物だらけ+クリーム仕立てのロブスター+サラダドレッシング)

つまり、この料理は間違いなく脂肪過多、カロリー過多なんですよね。

もちろんカナダ人やアメリカ人も、野菜や果物を沢山食べ、乳製品はローファットなものを選び、赤い肉(牛、豚、羊)より白い肉(鶏、ターキー)や魚を食べる方が健康的だとわかっています。そして肥満を恐れています。(健康上プラス見た目。)実際太めの人が多いので切実です。でもだからと言って、西洋人の食生活を全部捨てるわけにもいかないのです。

脂肪に関しては飽和脂肪酸とトランス脂肪酸という悪玉脂肪を特に避けるようにしています。最近はスナック菓子でも何でも『ノートランスファット』って書いてあるものばかり売ってます。不飽和脂肪酸はコレステロールを下げる善玉脂肪なので、油断している人が結構いますが、それでも脂肪は脂肪なのでカロリーは高く肥満の原因になります。

肥満は糖尿病や心臓病と深い関係があるばかりでなく、卵巣がんや乳がんのリスク要因のひとつでもあります。高脂肪の食生活もリスクを上げるのではないかと疑われています。(まだ科学的に実証はされていないようですが。)

日本では、脂肪、動物性タンパク、砂糖の摂取については、かなり厳しく目を光らせている人が多いように見受けられます。この3つをほぼ全面的に避けようとしている人もいるようです。この3つは摂り過ぎると健康に良くないのは確かなので、それはそれでいいのかもしれませんが、外から見ていると何だか不思議な感じもします。

というのは、平均的日本人の脂肪、動物性タンパク、砂糖の摂取量は、もともと欧米人のそれと比べたらずっと少ないのです。それを増やさぬよう努めるのは理解できますが、さらに減らそうと神経質になる必要があるのでしょうか?その一方で、国際的水準からみて明らかに摂り過ぎの塩分に対しては、あまり心配していないように見えるので、それが不思議でたまりません。

西洋人が西洋人の食生活をやめられないのと同様、日本人も日本人の伝統的な食生活の中心となるものについては、簡単に変えることはできない、変える気も無いということなんでしょうか?自分達の食文化で重要でないものは、身体に良くないと思ったらどんどん削れるけど、大事なものはあきらめられないってことでしょうか?

塩分や炭水化物は減らしても平気だけど、クリーム味の料理や超甘のデザートはやめられないカナダ人やアメリカ人。肉や乳製品をやめるのは苦にならないけど、味付けは味噌や醤油でして、お煎餅や漬物も食べたい日本人。

食文化とはよく言ったもので、食べ物って本当に文化の中心なんだなって感じます。


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2009年04月25日

野菜をもっと食べましょうA

vege.jpg

『FOODS THAT FIGHT CANCER』という本の話の続きです。

ファイトケミカルを多く含む食品のうち、この本の筆者の一押しなのはアブラナ属の野菜、特にメキャベツとブロッコリーです。アブラナ属の野菜にはグルコシノレートという化合物が含まれていて、これらの野菜を噛んで食べることでグルコシノレートは分解され、ミロシナーゼという酵素と混ざり合ってイソチオシアネートというファイトケミカルを生成します。(舌を噛みそうな名前ばかり…)メキャベツはグルコシノレートの含有量が特に多いのでオススメ。ブロッコリーはスルフォラファンという、イソチオシアネート類の中でも特に抗癌効果の高い種類のファイトケミカルを含んでいるので、これもオススメ。ただしグルコシノレートは水溶性で、ミロシナーゼは熱に弱いので、調理は手早くしないと効果が薄れてしまいます。またアブラナ属野菜がファイトケミカルの力を発揮するためには、よ〜く噛むことでグルコシノレートをイソチオシアネートに変えてあげなければなりません。グルコのままだと何もしないようです。

アブラナ属野菜以外で、癌の予防に役立つとこの本で挙げるられているのは:
▼ニンニク・玉ねぎ
▼大豆
(注:ニンニクやイソフラボンはサプリや加工品より、そのままの食品の方が望ましいそうです。大豆の場合、枝豆とか炒った豆とかが一番いいようです。)
▼ベリー系の果物(ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、クランベリーなど)
▼トマト(トマトのファイトケミカルであるリコピンは熱や油と相性がいいので、生より調理した方が量が増すそうです。)
▼柑橘類の果物
▼赤ワイン(生の葡萄のレスベラトロールは吸収が悪く、グレープジュースはワインのような熟成期間がないため、レスベラトロールの量が少な目になってしまうようです。)(注:赤ワインも含め、全てのアルコールは乳がんのリスクを上げるという説もあります。)
▼緑茶(カテキンを十分引き出すために、じっくり濃い目に入れることを勧めています。)
▼ターメリック(ウコン)
▼フラックスシード(オメガ3脂肪酸が豊富)
▼チョコレート(カカオ70%以上のダークチョコに限る)

ということです。あまり目新しいものはなかったですね。(笑)
日本で人気の海藻類とかが入っていないのは、要するに西洋人は海藻を食べないからだと思います。ヒジキの砒素問題などもあって、海藻は毒ではないかと心配している人もいるようです。

重ねて強調しますが、この本は一般的な癌予防の為に食生活の見直しをする必要性を説いているだけで、既に癌になって治療中の方にはあてはまらない部分もあると思います。例えばタモキシフェン使用中の方は大豆の摂取量に気をつけるとか、ベルケイド使用中の方は緑茶を控えるなど、治療中の場合は治療効果の妨げにならぬよう是非お気をつけ下さい。

最後に、筆者が要注意食品として注意を促しているのは次のような食品です。

レッドミート(牛、豚、羊)は少なめに(週に70-80gくらいは可)
加工肉製品(ソーセージ、ハム、ベーコンなど)→亜硝酸ナトリウムを含んでます。加工魚肉製品も同様かもしれません。
バーベキューなど、直火の上で直接焼いた肉(多分魚も)は、焦げてなくても危険。
塩→とくに塩を保存のために使っている食品(漬物など)

まぁこういう本が売れてますというだけの話です。いちいち本気にして神経質になりすぎると、ストレスが増えて免疫が落ちてしまうかもしれませんので、バランスを取りながら気楽に構えた方が良いような気もします。食生活と健康は無関係ではありませんが、本当に食生活だけで癌が予防できるなら、誰も苦労しないでしょう。
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2009年04月23日

野菜をもっと食べましょう@

先日の記事で、北米では食事療法に対する興味は日本より少なめと書きましたが、ヘルシーな食生活への憧れは強いようです。

こんな本が売れてます。

foods fight cancer.jpg

『癌と闘う食品−食事で癌を予防する』
というタイトルで、末期の癌が食事で治るという本ではありません。

まず背景として理解していただきたいのは、平均的な北米人は野菜を少ししか食べないということです。野菜の調理法もあまり知らない人が多いのか、野菜というと冷凍のグリーンピースとか、ジャガイモのフレンチフライとか、ニンジン・ブロッコリー・カリフラワーなどを生のままサワークリームなどつけて食べるとか… これじゃ野菜好きが増えないわけだ、と妙に納得するようなつまらない食べ方をしてることが多いのです。

本の趣旨としては、色々な種類の野菜を毎日沢山食べることで癌になるリスクを減らそう、ということです。(注:完全にベジタリアンになれと言ってるわけではありません。また、リスクが減ると言ってるだけで、絶対に癌にならないとは言ってません。)

なにしろ西洋人の学者(モントリオールの分子医学研究者)が書いた本なので、食事の本と言っても理屈っぽく、チャプターごとに科学的根拠を挙げ連ねています。

要約すると次の通りです。

人間の身体は沢山の細胞が寄り集まってできています。

何らかの原因で、細胞内のDNAが傷つき不良化した細胞が現れます。

これらの不良細胞が本格的な癌細胞に変貌し、腫瘍を作るほど成長・増殖していくには、乗り越えねばならない数々の条件があるのだそうです。

例えば、正常な細胞は、死んだり傷ついたりした細胞と取って代わる、という正当な目的がない限りむやみに生殖しない、という基本ルールがあります。癌細胞が成長する為には、このルールを無視する力を得なければなりません。また、細胞のDNAが修復不可能なほど損傷した場合、その細胞は自殺(アポトーシス)するようプログラムされているそうです。この自然のプログラムすら蹴散らせるほど強力にならないと、癌細胞として存在し続けられません。患者や医者を悩ませる殺しても死なないような、成熟した癌細胞に変貌する道のりは結構長いのです。

この成長過程で、抗がん効果のある成分を豊富に含んだ野菜や果物を食べていると、癌がまだ不良中学生のレベルであるうちにやっつけるチャンスがある、というのがこの本の筆者の説であります。

また野菜や果物には、分子標的剤に使われる分子化合物に似た働きをする分子が含まれていて、癌が血管形成しようとするのを阻止する助けとなる、とも述べています。

上記の理論を基に、筆者が注目しているのはファイトケミカルです。ファイトケミカルは、日本でも研究されている学者さんがいると思いますが、野菜や果物に含まれているビタミンやミネラル以外の化合物(栄養素)です。抗酸作用があることは以前から知られていましたが、抗癌作用についても次第に期待されるようになってきました。

長くなってしまいましたので、どんな野菜や果物がどんなファイトケミカルを豊富に含んでいるか、その具体例についてはまた明日ということにします。




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2009年03月29日

体力をつけたい週末

昨日はアースデイでしたね。
我が家でも8時半から1時間、キャンドルライトで過ごしてみました。

earth day.jpg

さて延び延びになっている化学治療。来週こそは4回目をやってもらわないと困る、とのんきな私もさすがに真剣になってきました。ヒキツケを起こした後、何となく頭痛のする日があったり、軽い立ちくらみを感じたりしているので貧血気味なのかも。そこでこの週末はしっかり食べてよく寝て、体力をつけようと思っているのですが…

寝る方は問題ないとして、食べる方が… というか、食べること自体は大好きなのですが、料理するのが… つい億劫で… かといってテイクアウトは量が多すぎるし、冷凍食品の類は嫌いだし。というわけで、ライ麦パンにハマス(豆のペースト)を塗ったのとサラダとかで終わりになってしまうことが多いのです。(恥ずかしくて書きたくなかったよ〜。)

赤血球については、去年2回目の手術の後ヘモグロビンの数が落ちてから、医者に言われて鉄と葉酸のサプリを取るようにしているのですが、好中球の方はどうしたものやら。まあ正攻法でいくならタンパク質とビタミンB12ですよね。
ビタミンB12は、基本的に動物系の食品からしか取れません。豊富な食べ物というと:
牛のレバー(とても無理。生まれてから一度も口にしたことがありません。多分死ぬまで食べることはないでしょう。)
ハマグリなどの貝類(これも無理。好き嫌いが多い私。)
鮭やマス(食べられなくはない…がめったに食べない。)
牛肉(食べられなくはない…がめったに食べない。)
少し量は減りますが、ヨーグルト、チーズ、卵、ツナなどもビタミンB12を含んでいます。(この辺のアイテムは調理が不要もしくは簡単なのでなるべく食べるようにしています。)また栄養素を補強したシリアルというのも売っていまして、これにスキムミルクをかけて食べるという手もあります。

日本のサイトで、白血球を増やす食べ物としてよく名前があがっているのがバナナですね。ファイトケミカルを含んでいるからということだと思うのですが、身体によいのは間違いないとしても白血球を増やすというのはどうなんでしょうか?カナダやアメリカでは、バナナはポッタシウムが豊富なことから、高血圧や心臓病予防に役立つ食品として人気があります。

まあ白血球増加に効き目があってもなくても、とりあえずシリアル食べるときは、バナナも切って入れようかな〜と思ってます。ミルクと相性もいいし。あとは、鮭缶買ってきてサンドイッチにでもしようかしら。脳の働きを助けるというオメガ3も入ってることだし。骨髄といい脳といい、長年の不摂生でスタミナ不足になっているのかも。面倒くさいとか言ってないで、栄養のあるものを食べなくては…
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2009年03月04日

便秘対策

化学治療を始める前にナースさんが、キモ中一番よくある副作用は便秘だ、と言いました。その時私は「吐き気じゃないの?」と怪訝に思ったのですが、要するに吐き気を止めるお薬の副作用が便秘だったのです。

私は若い頃、日本でしょっちゅう便秘になっていたのに、当時は慣れっこであまり苦になりませんでした。カナダに来て以来、水が変わったせいか、はたまた生活がのんびりしているせいか、毎日スッキリとお通じに恵まれるようになりました。そんなわけで、急に便秘になると結構辛いのです。

よくよくになったら下剤を使うしかないのですが、出来れば使わずになんとかしたいものです。だって薬の副作用を抑えるために薬を飲んで、その薬の副作用を抑えるためにまた別の薬を飲んで…なんて薬のチェインメールみたいじゃありませんか。

便秘対策に野菜や果物はやはり欠かせませんよね。ごぼうなんか繊維が豊富そうですが、残念ながらカナダの普通のスーパーでは見かけません。そこで芽キャベツ、ブロッコリー、アスパラガス、パイナップル、リンゴなどを食べるようにしています。特に芽キャベツは栄養価が高く、繊維も沢山含んでいるのでおすすめです。

食事だけでは治らない頑固な便秘には、こちらのお助け隊のお世話になります。

fiber.jpg

真ん中上がドライフルーツのイチジク、下がナツメヤシ(デーツ)です。どちらも繊維がと〜っても豊富です。イチジクはギリシャやトルコからの輸入物が多く、ほのかに甘くて独特の噛み応えがあります。ナツメヤシも中近東原産ですが、今はカリフォルニア辺りで栽培しているのが出回ってるようです。見た目はいまいちですが、甘いのでそのままかじってもよし、料理に混ぜるもよし、と活用範囲も広く気に入っています。プルーンに似てますが、私はデーツ党なのです。

薄紫の錠剤は繊維のタブレット。どうしても食欲のないときは、ジュースでこれを飲みます。朱色のソフトジェルはドキュセイト・ナトリウムで、下剤というより便を柔らかくするお薬です。それでもダメだったら、オレンジ色の小さな錠剤。これはドキュセイトとセンナのミックスです。

それから、ちょっと荒っぽいですが、お風呂上りによ〜く冷やしたミルクをコップ一杯一気飲み、というのもやってみました。(普段これをやったらお腹ゴロゴロになります。)

たかが便秘、されど便秘なのです。
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2009年02月22日

緑茶パワー

北米での緑茶人気は、過去17年間上昇の一途であったように思います。

ひと昔前は、日本食品店か、中国系・韓国系のスーパーにでも行かないと手に入らなかったのが、今では普通のスーパーで買えます。品質は今ひとつで、入れると緑というより薄茶だったりします。カナダ人が緑茶にミルクや砂糖を入れて飲んでいるのを見ると、いまだに笑いそうになります。(抹茶アイスの存在を考えると、ミルクと緑茶は以外にマッチするのかもしれません。)

green_tea.jpg

お茶として飲むだけでなく、サプリ(錠剤)やスキンケア(乳液、クリーム)でもグリーンティーは大流行です。詳しい知識に基づいているというより、「緑茶イコール健康」というイメージが一般的に浸透しているようです。日本人の私としては嬉しいような、困惑するような不思議な気持ちになります。

緑茶の効能としては、癌、心臓病、高血圧、認知障害の予防や、ダイエット効果などがうたわれています。実際のところどうなのかは、まだ調査中のようです。研究結果も肯定的なものと否定的なものと様々です。

緑茶には抗酸成分のフラボノイド、タンニンが豊富な他、強力なポリフェノールのカテキンが4種類も含まれています。そのうちの一種でEGCGと呼ばれるカテキンは、腫瘍の細胞死を促したり、血管形成を阻害したりするのではないか、と考えられています。ラボでの実験は盛んに行われており、また日本では、血液中のEGCG濃度と胃がん罹患との関係を調べる大がかりな追跡調査も実施されました。

ただ、最近になって、EGCGを含む緑茶成分が、分子標的剤ボルテゾミブ(ベルケイド)の働きを阻害するという実験結果がでた為、ボルテゾミブを使用中の患者さんは緑茶、特にサプリ(高濃度の緑茶抽出物)は避けるよう強く勧められています。

その他のマイナス材料としては、タンニンが鉄の吸収を悪くするので、鉄剤を取っている人は、その前後に緑茶を飲まないようにした方が良いそうです。

取り方を誤ると治療の足をひっぱりかねない緑茶ですが、その成分をうまく活用して病気の予防や健康の促進に役立てようとする試みは、現在も続いています。

隣の州ケベックの病院では、ステージ3、4の卵巣がん患者で寛解中の人を対象に、緑茶が再発を遅らせることができるかどうか調べる臨床試験中だそうです。結果は数年先までわかりませんが、参加された方たちの寛解が一日でも長く続くよう祈っています。

今日の情報源はこれこれこれです。
posted by leo at 18:35| Comment(0) | 食生活/補完・代替医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月21日

葡萄で健康に?

私がカナダに来たのは1991年です。
90年代は、カナダでの生活の基盤作りに必死で、またネットにも今ほど親しんでいなかったため、日本での出来事に疎くなっていました。アガリクスがブームになっていた、ということも去年自分が癌になるまで知りませんでした。今は海草系のサプリが流行っているようですね。興味津々でネット上の記事など読んでいます。

カナダ人やアメリカ人もサプリは大好きです。ただ流行るものが日本とは少し違います。例えば、ニシンやサバなどに含まれている脂肪酸のオメガ3のサプリは、実際の食生活で魚より肉を食べることの方が多い北米の人達の間で大ヒットとなりました。

resveratrol.jpg

さて最近、こちらの癌の掲示板で何度か目にしたのがグレープシードとレスベラトロールです。レスベラトロールは、3週間くらい前に60 Minutesというドキュメンタリー番組でもとりあげられていました。

レスベラトロールは葡萄の皮に含まれている抗酸化成分で、この成分が豊富な代表的な飲み物は赤ワインです。フランス人は、高脂肪の食生活にもかかわらず心臓病が少ないって知ってますか?それは赤ワインをよく飲むからではないか、といわれています。そんなことから、レスベラトロールが循環器系の病気の予防に役立つのでは、と期待されるようになりました。

レスベラトロールの主な働きは抗酸化や抗炎症です。さらに不要な化学物質を体外に排出するための酵素を、肝臓から作り出す手助けをすることもできるらしいです。もしかしたら癌に対しても効き目があるかもしれない、と希望をもっている研究者の方もいらっしゃるようです。まだラボやマウスの段階ですが、がん患者対象の臨床試験も予定されているということです。

また、赤ワインをよく飲む人の間で、肺がんや前立腺がんが少ないというデータもあるようです。ただ、これも一般的な統計なので、他の要素が絡んでいる可能性はあり、赤ワインで癌が防げると短絡的に考えない方が安全かもしれません。特に女性は、アルコールが乳がんのリスクを上げることを考えると、レスベラトロールの摂取は慎重にした方が良いのかもしれません。

葡萄は皮だけでなく種も身体に良さそうです。
グレープシードには、プロアントシアニジンというポリフェノール(抗酸成分)が含まれていて、ラボの実験によると、エストロゲンの生産量を減らす効果が見られました。乳がんを予防するために、実際にグレープシードを使ってエストロゲンを抑制をする臨床試験が、現在進行中だそうです。

また、別のラボ実験結果によると、グレープシードは、ドキソルビシンの乳がんへの効き目を増す働きもあるということです。もちろん、これも臨床試験をしてみないと確かなところはわかりませんが。

乳がんや前立腺がんの例ばかりで、卵巣がんの例が出てこないのは個人的にちょっと残念ですが、患者数の多い癌は、当然研究や臨床試験の数も多くなるので仕方ないですね。

今日の情報源はこちらこちらです。
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2009年02月06日

鍼に行ってきたよ

今日生まれて初めて、鍼というものを体験してきました。

porcupinefish2.jpg

別に鍼で癌が治るとは思っていませんが、体の状態を全体的に向上するのには役立つかもしれない、とほのかな期待をかけて行ってきました。

カナダで鍼師というと、大抵は中国人の方か、こちらで鍼のコースをとった西洋人の方です。私はそういう方たちに偏見はありませんが、たまたま日本の鍼師の資格を持つ日本人の先生が見つかったので、その方(K先生)にお願いすることにしました。もちろん、卵巣がんのことも、化学治療中だということも説明しました。

鍼には痛そうなイメージがありますよね。私なんか怖がりだから大丈夫かな〜と心配していたんですが、実際やってみると、時々チクンとする程度でした。あ〜良かった。刺す場所によるみたいで、全然感じない箇所とチクリと痛む箇所がありました。使用する針は使い捨てで、感染症の話も聞かないので、衛生的には問題ないものと思われます。(絶対そうあって欲しいです〜。)

K先生の治療はお灸を併用するので、文字通り、お灸もすえていただきました。お灸と聞くと、また一層コワイのですが、たま〜に一瞬あつっと感じただけでたいしたことありませんでした。先生の腕がいいのか、私が鈍感なのか、それとも本来そういうものなのかよくわかりません。

鍼を始める前に、いつものように下調べとして、NCI(米癌研)のご神託を仰いだのですが、別に否定的なことは書いてなかったです。免疫力を強める点に関しては、「化学治療中の免疫システムを強める助けとなるかもしれない」、という慎重な表現を使っています。化学治療の副作用に関しては、「臨床試験により、抗がん剤による吐き気・嘔吐を軽減するエビデンスがでている」、としています。

鍼は、少なくとも標準治療を妨げるものでなさそうですし、程度ははっきりしないものの、身体に何らかの良い効果をもたらすことは確かなようです。それで費用的にも、マッサージなどとそう変わらないので、しばらく試してみるつもりです。(マッサージの方が気持ちはいいんだけどね〜。健康への貢献度を考えると、多少チクチクしても鍼を選びます。)


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2009年02月01日

抗がん剤治療中の食事

処方していただいた吐き気止めの薬が幸いよく効くので、比較的楽に過ごしている方だと思いますが、それでも抗がん剤投与の後4-5日は食欲がでません。なんと表現すればよいのかわかりませんが、なんとなく胃の粘膜もやられているなぁ、という感じで、食べてなくても消化不良みたいなむかつきがあります。

治療が始まる前にミクシィなどで、麺類や果物(メロンとか)がいいという話を読み、とりあえず食べられそうなアイテムを事前に買っておきました。

抗がん剤治療中のおすすめメニューも日本とカナダでは違います。
初めての化学治療の後、ナースさんから試すように言われたのはBRATダイエット(Bananas、 Rice、 Apple sauce、 Toast)です。

バナナ、お米、トーストはわかるけど…
え〜っアップルソース?
アップルソースというのはリンゴをグズグズに煮て、ちょっと甘みをつけてあるしろもので、あまり食欲をそそるとも思えないのですが… まあリンゴを摩り下ろして食べるのと似た発想なのかしら。

chemo meal.jpg

アメリカ癌協会ですすめているのは:

キモ当日

プロテインドリンク
トースト、クラッカー、お米、プリッツェル
ジュース(リンゴ、クランベリー、グレープ)
ジンジャーエール、スポーツドリンク
アイスキャンディー、シャーベット、ゼリー

キモ後

肉、魚(調理方法→煮る、焼くOK 揚げるのはNG)
卵、低脂肪ミルクで作ったクリームスープ、低脂肪ヨーグルト
クラッカー、トースト、シリアル、ベーグル、麺類、お米
じゃがいも、ジュース
カフェインの入っていない炭酸飲料、アイスティー
スポーツドリンク、シャーベット、ゼリー
スポンジケーキ、バニラウェイファー、プリン
アイスキャンディー、プリッツェル

(タンパク質中心。甘いものがいっぱいでオカシイ…)
(野菜については、食べられたら食べて、でも食欲がなかったら無理しないで、だそうです。野菜が嫌いな人も多いからだと思います。)

さて、日本でもオフィシャルな情報では、栄養補助食品(プロテインドリンク)やタンパク質の豊富な食品をすすめています。(世界共通ですね。)

興味深いのは、食欲がないと野菜を食べられない北米人と対照的に、日本人は食欲がないとタンパク質の豊富な食品を、においなどから敬遠することが多いのだそうです。

もうひとつ対照的なのは、カナダ・アメリカの情報によると、抗がん剤治療期間は、香辛料のきいた食品は避けるようすすめているのに対し、日本ではカレーなど、辛いものや濃い味のメニューで食欲を刺激することもあると説いています。これも食文化の違いのあらわれでしょうか。

ちなみに、私自身食べやすいとおもったのは:
(しょうがのたっぷり入った)焼きそば
(しょうがのたっぷりのった)冷奴
イングリッシュマフィンとライ麦パン
ヨーグルト、豆乳、メロン、洋ナシ、
ローストしたジャガイモ、グリーンサラダ
などでした。

タンパク質足りてないですね。ハイ、明日プロテインドリンク買ってきます。


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2009年01月30日

グレープフルーツとクランベリー

癌の予防や治療効果に関わりがあるといわれる食品は沢山あります。
ただ、ほとんどの説は大まかな統計やラボの実験結果等を基にしていて(ひどい場合は理論のみ)、臨床試験のエビデンスはあまりないようです。

そんな中でグレープフルーツとクランベリーがちょっと気になっています。

grapefruit & cranberry.jpg


グレープフルーツは色々な薬と相互作用を起こすことで知られています。専門家でないのでいい加減な説明しかできませんが、グレープフルーツに含まれる成分によって、ある薬は代謝が遅くなり薬の作用が強くですぎたり、別の薬は吸収が妨げられたりするようです。
抗がん剤の中でグレープフルーツの影響を受けるとされるのは:
ビンカアルカロイド系のビンブラスチンやビンクリスチン
トポイソメラーゼ阻害薬のエトポシド
ホルモン療法のタモキシフェンやエキセメスタン
分子標的薬のエルロチニブやゲフィチニブ
などです。

私の使っているカーボプラチンには作用しなさそうですが、一応念のため治療をはさんで1週間くらいはグレープフルーツ(生、ジュース)を避けています。そんなにしょっちゅう食べるものでもないから、あんまり苦にならないし。

逆に治療の前後に意識的に取るようにしているのがクランベリー。
ラボの実験で、クランベリーはプラチナ系抗がん剤の卵巣がんに対する効果を6倍にした、というニュースを聞いたからです。具体的には、プラチナに耐性のできた卵巣がん組織に、まずクランベリージュースの抽出物、その後抗がん剤を投与し、抗がん剤のみの組と比べたのだそうです。

まだこれから動物実験を経て臨床試験までいきつかないと、ものになるかどうか全然わかりません。でもそんなに待っていられないから、リスクを承知でクランベリー祭りをしています。生で食べられる果物ではないので、ジュース、ドライフルーツ、サプリで取ってます。元々好きな食べ物なので、この実験結果を口実に食べまくってるだけという気もしますが。(独特の酸っぱさが美味〜。)
posted by leo at 17:38| Comment(0) | 食生活/補完・代替医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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