2009年05月23日

アメリカのガン難民

日本でガン難民というと、まともな治療を受けられなかったり、治療の術がありませんと見放されてしまうガン患者さんを指すようです。(違っていたらごめんなさい。)

アメリカの場合、日本の国民健康保険や、カナダやヨーロッパの公的ヘルスケアのようなシステムではなく、主に雇用者を通じたプライベートの保険で医療費をまかなう仕組みになっています。不況で職を失う人が増えるということは、健康保険を持たない人も多くなるということです。さらに、不況で税収入が減ると公立病院の予算が削られ、保険のない人向けの医療補助も少なくなってしまいます。そんな状況下で、失業して保険も失ったガン患者はどうなるのでしょうか。

このビデオは"60 minutes"というドキュメンタリー番組で今年4月に放映されました。ラスベガスで、公立病院の外来の癌クリニックが閉鎖された為に治療を受けられなくなり、経済的理由による『ガン難民』になってしまった人達の話です。(アメリカでも他の州ではここまでひどくないようです、念のため。)

癌クリニック閉鎖 パート1




癌クリニック閉鎖 パート2



明らかに頭脳明晰な病院のCEO。さぞや高給、高待遇なんでしょうね。顔にシミやシワもなくお美しい。エステとかボトックスとかしょっちゅうやってそうです。別にこの人が悪人というわけではないのでしょうが、途方にくれている患者さん達とのコントラストがあまりにも激しくて、やるせない気持ちになりました。

同じ高収入でもスピリトス医師は顔つきが違います。ハートの大きさの違いかな?こういう人が主治医だったらいいのに、と思わずにいられませんでした。


posted by leo at 19:16| Comment(3) | 医療保険制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月14日

待ち時間とスキャナーの台数

数日前に、カナダの保険制度について良い点を書いたので、困った点も挙げておこうと思います。

一番問題になっているのは待ち時間の長さです。のんびりしたお国柄というレベルを超えたのろさです。
The New England Journal of Medicineの記事(2006年4月)によると、平均待ち時間は:
外科手術(一般)10.4週
神経外科手術18.8週
整形外科手術40週

急を要する癌治療でも
放射線治療を受けるまで5.7週
化学治療5.6週

と、とにかく待たされるのです。私もそうとう待ちましたが、もっと待っている人も沢山いるようです。それでも国民が死に絶えないところをみると、多少治療が遅れてもどうにかなってしまうということなのかもしれません。しかしイライラするのは確かです。フランス語圏のケベック州では、股関節置換手術を1年以上待たされた患者が、政府を相手に訴訟を起こした例もあるそうです。

待ち時間が長い原因のひとつは、税金で医療をまかなっているせいなのか、病院の運営がお役所っぽいところにあるような気がします。効率を上げてサービスを向上しよう、という民間企業の精神とは無縁の世界です。患者が沢山待っていても、それが当然みたいな雰囲気だし、患者も患者で、予約をすっぽかしたり、血液検査も受けずにキモにあらわれたりする人が結構いて、どっちもどっちなのかもしれません。

医者の数が少ないという話もききます。アメリカの方が給料が高いため、金につられてカナダを離れる医者やナースも少なくないようです。

そんなことを考えていたとき、ふとネットでOECDのヘルスデータというのを見つけました。
そのデータでカナダ日本を比較すると興味深いことがわかりました。
人口1000人あたりの医者の数(2004年):
カナダ→2.1人 日本→2.0人 OECD平均→3.0人
人口1000人あたりのナースの数:
カナダ→9.9人 日本→9.0人 OECD平均→8.3人
人口1000人あたりの病院のベッド数:
カナダ→3.0 日本→8.4 OECD平均→4.1
やはり日本はベッド数が多いですね。

でももっと驚いた、というかはっきり言ってぶっ飛んじゃったのはこれです。

人口100万人あたりのCTスキャナーの台数
カナダ→10.8台 日本→93台 OECD平均→18台
人口100万人あたりのMRIの台数
カナダ→4.9台 日本→35台 OECD平均→8.0台

スゴイ!さすがハイテクの国ジャパン!ハードウェアでは世界でトップだよ。
それにひきかえカナダの貧乏くさいこと。カナシ〜(涙)。

valentine.jpg

あっそれから、
肥満の人が人口に占める割合は
カナダ→22.4% 日本→3.0%
だそうです。日本人痩せてる〜。カナダ人メタボです〜。

でもアメリカ人はもっと太ってるよ。(アメリカ→30.6%) フフフ…





posted by leo at 18:10| Comment(2) | 医療保険制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月09日

医療保険制度A

公の医療保険を所得税でまかなうと、所得税はどれだけ高くなるでしょうか。そういうことにも興味のある人がいるかもしれないので、サンプルの給与計算をしてみました。

例:
年収56,000カナダドル(約4,233,410円)←注 為替レートにより変わります。
扶養家族なし、オンタリオ州居住(州によって州税率が違う)
隔週給(お給料は2週間に一度がカナダで最も一般的)

給与 2,153.85
国民年金 99.25
雇用保険 37.26
所得税 437.50
手取り 1,579.14

さらに、雇用者単位で会社の年金、積み立て預金、グループ保険、募金などある場合は、上の手取り金額から更に差し引かれます。

収入が上がれば税率も上がります。

昨日も書きましたが、オンタリオ州の場合、州の保険料を別途支払う必要はありません。上の所得税に込みになってます。

例えば専業主婦や退職後で、所得税を払っていなくても、保険料を支払う必要はありません。もちろん、そういう方たちも州の保険で同じようにカバーされています。

どうでしょう。税金高すぎますか?それとも高い税金でも払う価値があると思いますか?私は払う価値があると思います。

maple2.jpg

といっても、いいことばかりではないのです。

まず、「病院での治療費がタダ=医療費がタダ」ではありません。

例えば、歯科治療は州の医療保険の対象外です。ですから歯医者さんに行く場合は
1.会社のグループ保険(掛金は会社持ち又は50/50)
2.個人の保険(掛金は自分持ち)
3.全額自己負担
のいずれかとなります。

整体、鍼、マッサージなども同様です。(私の鍼治療は自己負担です。)

病院の差額ベッドも同様です。

お薬代については、病院内で服用するものに関しては州の保険でカバーされます。家で服用する薬は病院の窓口ではもらえません。処方箋を渡されて薬屋さんで購入します。その場合は上の3つのオプションに加えて
4.州のドラッグプラン
があります。

州のドラッグプランは、普通の医療保険(州民全員カバー)とは別枠で、必要な人だけ申請します。(オンタリオの場合)
掛金はありませんが、薬代が税金差し引き後の世帯収入の4%以上になる場合のみカバーされます。


まあ大体こんなところでしょうか。

カナダでは少なくとも、病人が、経済的な理由で治療できなかったり、治療が家計の大きな負担になったりすることはありません。カナダの政府はお高くとまっているようなところもあり、必ずしも好きではありませんが、この医療保険制度を作り上げた点だけは「エライ」と拍手を送りたいと思います。
posted by leo at 15:14| Comment(2) | 医療保険制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月08日

医療保険制度@

カナダという国は、
アメリカのすぐ隣で、アメリカに似ていて、でも違うところもあって、アメリカより影が薄くて、
カナダ人はカナダはすごくいい国だと思っているのだけれど、なんだかちょっと自信がなくて、
カナダ人は皆アメリカの大統領が誰だか知ってるけど、アメリカ人はカナダの首相の名前なんて知らなくて、
…そんなちょっとさびしい状況の中で、カナダ人が、かなりの確実で、アメリカに「勝った」と思っているものがあります。

それは「パブリックヘルスケア」(公営の医療保険制度)で〜す。

maple.jpg

病気になるまで考えてみたこともなかったのですが、いざ病気になってみたら、これが本当にありがたいものだということがわかりました。まさに、骨身にしみております。

なにしろ去年から、手術・入院(2回)、定期的な診察、血液検査、エコー、CTスキャン、化学治療と、色々やり放題なわけですが、基本的に全部タダなのです。というか、タダじゃないんだけど、自己負担はゼロなのです。今までのところ、病院の窓口でお金を払ったのは、救急車の車代50ドルだけです。あとは治療が済んだら、会計なしでさようなら〜。保険会社とのやりとりもなし。手間いらず、金いらずの治療生活なのです。これも全てパブリックヘルスケア様のおかげ。

どういう仕組みになっているかといいますと、要は税金でまかなっている、ある意味とてもシンプルなシステムなのです。

医療保険制度の運営は州に任されています。が、資金のかなりの部分は国の所得税から回ってきます。さらに州政府は州独自の税金を課して、残りの部分をまかないます。例えばオンタリオ州の場合、雇用者(法人)が払うヘルスタックスと、個人が払うヘルスプレミアムという2種類の州税があります。ヘルスプレミアムといっても、結局は税金なので、所得税にひっくるめて徴収され、日本の国民健康保険のように別途に支払う必要はありません。

このシステムでは、裕福な人のお金が生活に苦しい人のために使われ、健康な人のお金が病気に苦しむ人と共有されます。高収入、高額納税者で、なおかつ大病もせず、医療保険をあまり使わずに生きる人がいる一方、生活保護すれすれで、ろくに税金を払ったこともないのに、病気になってタダで治療を受けている人もいるわけです。

それでも、不公平だと文句を言っている人を見たことがありません。皆、パブリックヘルスケアに満足しているようです。選挙前に、街角でインタビューとかすると、有権者は口をそろえて、税金はヘルスケアに使ってほしいと言っています。

また例によって長くなってきたので続きは明日にします。
posted by leo at 17:06| Comment(0) | 医療保険制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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