2011年11月23日

ROMAの休日

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久々にブログでも更新しようかな〜と思い立って戻ってきました〜!(なんかもう戻ってくるのが恥ずかしいほど放置してあったんですが…汗)もっと久々に卵巣がんについて書いてみようかと思い乏しい資料を見渡しましたが、特にワクワクするような目新しい治療法のニュースもありません。(ガクッ)そこで検査方法についてでもウンチクをたれようかと企んでます。ちょっとだけ進歩があったみたいです。

卵巣がんの血液検査と言えばCA125。卵巣がんの人でその存在を知らぬ者は少ないと思います。CA125の数値が指標としてどれだけ頼りになるかについては状況によって異なりますし、ドクターによっても意見の相違があるようです。一般的に患者さんはドクター以上にCA125値にこだわっている方が多いという印象がありますが、どれだけ気にするかには個人差があるでしょう。

素人の私が言うのもなんですが、癌が非常に進行した状態(お腹いっぱいに広がっているとか…)では多少感度の悪い人でもCA125は大幅上昇するようですね。大幅上昇というのは少なくとも3桁、人によっては4桁の値のことです。で、癌がそうやって大暴れしている状態で化学療法を受け、よく効けばド〜ンと値が下がるし、ちょっとだけ効けば値が横ばい状態。全然効かなければ値がさらに上昇でその抗がん剤は打ち切り。と、画像検査と併用しながらCA125が治療効果測定の目安として活躍しているのは確かです。

しかし3〜4cmの大人しい腫瘍がポツンと一個あったくらいではCA125値が上昇しないことも往々にしてあるようです。一説によると初期卵巣がんの40〜50%はCA125値の上昇を伴わないとか。また20%くらいの人は初期でなくてもそんなに上昇しないとか。さらに再発で、CA125値が上昇してから画像で癌が確認される台本に沿った進行をする人もいれば、その逆でCT検査で先に小粒が見つかり後からCA125値が上がる人だっています。心当たりのある方、CA125が再発発見に導いてくれなかったのは貴方一人ではないのでガッカリしないで下さい。

ともあれ、CA125の一番の問題点は偽陽性が多いことです。単なる卵巣のう腫や子宮内膜症でも数値は上昇します。それどころか生理、妊娠、出産後、肝硬変、心不全等、様々な理由で数値が上がることがあるそうです。そのため既に卵巣がんと診断された人の経過観察には重宝でも一般の人向けのスクリーニングには適しません。では、腫瘍らしきものがあると画像で確認されたものの良性か悪性かわからないというケースはどうでしょうか?

良性か悪性かの判断が手術前につけば、悪性→婦人科の癌の専門家である婦人科腫瘍医(Gynecologic Oncologist)、良性→普通の婦人科医か外科医と効率的に振り分けることができます。執刀医が婦人科腫瘍医の方が卵巣がんの予後がいいことは複数の研究によって示されています。かと言って、全ての婦人科腫瘍(良性の方が圧倒的に多い)の手術を婦人科腫瘍医が行うことは数的に不可能なのです。婦人科腫瘍医なんて私の住む地域には一人もいません!という場合でも、手術前に癌の疑いが濃いことがわかっていれば出来るだけ経験豊富なお医者様に執刀をお願いすることはできます。逆に良性腫瘍の人の「もしも癌だったら」という心配は軽減できるかもしれません。現状では、CA125と画像、腹水の有無、閉経前か後か、家族の乳がん/卵巣がん歴など複数のファクターを総合して良性/悪性の見極めが試みられていますが、悲しいかなCA125の精度の低さが足を引っぱっているようです。

そんな中、腫瘍が良性か悪性かを調べる新しい血液検査ツールが開発されつつあります。OVA1はその一つ。CA125、beta-2 microglobulin、transferrin、apolipoprotein A1、transthyretinの計5種類の血液中タンパクの量やバランスを調べコンピューターで解析してスコアを出します。閉経前の人はスコアが5.0以上、閉経後の人はスコアが4.4以上だと悪性の可能性が高いとされています。販売元の会社(Vermillion)によると、従来の方法で癌かどうかの正しい判断が下せるのは72〜80%。臨床試験の結果、従来の方法にOVA1テストを加えると数字が92%に向上したと豪語しています。2009年9月にFDA(米国食品医薬品局)の認可がおりました。ただ宣伝しているほどの効果がないのか、はたまたお値段が高すぎるからなのか余り広まっていないようです。

もう一つはROMA(Risk of Ovarian Malignancy Algorithm)テストです。こちらはCA125とHE4という2つの腫瘍マーカーを組み合わせて分析します。(販売元はFujirebio Diagnosticsです。)HE4は米国で数年前に承認された比較的新しい卵巣がんの腫瘍マーカーです。2008年のASCOで発表された研究結果によると、経過観察中の卵巣がん患者において病気の進行と平行してCA125の上昇が見られたのが78.8%。同様にHE4の上昇が見られたのが76.2%。と感度はいい勝負。CA125に反応しない人でHE4に反応したのは23.5%。HE4に反応しない人でCA125に反応したのは31.6%なので…一応相互で補えるのかな?寛解中や治療下にある癌の動向を探るという目的では、CA125だけで調べるより若干の改善、まあCA125の感度が低い人には朗報…という程度かもしれません。

しかしHE4の真価は、悪性と良性腫瘍の識別においてCA125よりも偽陽性が少ない点なのです。つまり手術前の癌かどうかの読みにはCA125よりも役立つ可能性有りということ。そこで上記の、2つのマーカーを組み合わせる手法が登場しました。CA125とHE4、両方の値からコンピューターのプログラムによって腫瘍の悪性リスクを数値化し高低に分類するというテクノロジーです。98%のspecificity (陰性の人が正しく陰性と判断された%)まで精度を絞るとCA125が正しく上昇したのは23.9%なの対し、HE4の上昇は64.2%、ROMAテストの解析結果は71.6%…と悪性見極め率がかなり上がったと研究結果が発表されています。前述のOVA1と比較すると強みは手軽さです。従来のCA125に検査を一つ加えるだけなので手間も費用もOVA1ほどかからず、将来もっと普及するのでは期待されています。

とは言え、ついに卵巣がんにもスクリーニング登場か!と騒ぐのは気が早すぎるようです。OVA1にしてもROMAにしても対象は手術を予定している患者さん。何かできているんだけれど何だかはっきりわからない状況で、切る前に出来るだけ正しい事前情報を得て治療の助けとするのが当面のゴールです。何かできているのにも気づかない状態の人を定期的に検査して癌の早期発見を目指すレベルには達していません。どうも癌のスクリーニングというのは、罹患率の低い癌になればなるほど偽陽性の率が低くないと公益とならないようです。確かに良性で放っておいても困らない疾患が偽陽性でひっかかり次々に手術が行われたら、それによってごく少数の人の癌が見つかったとしても社会全体から見たらマイナスの方が大きいのでしょう。本人だって卵巣まるごと取られて、急に更年期突入で苦しんで、でも調べたら癌ではなかった…という事態はなるべく避けたいでしょうし。卵巣がんは幸か不幸か乳がんなどと比べると罹患率が低いので、スクリーニングの精度はハードルが非常に高くなるようです。難しいですね。

あっそれと、HE4マーカーは上皮性卵巣がんの中でも漿液性の場合に最も感度が高く、粘液性、類内膜、明細胞だと反応が鈍いという説があります。その反面、CA125値が当てにならない初期の癌(特に閉経前の方)でもHE4なら正しく反応するという結果もでています。なんだかもうどれも一長一短ですね。患者としてはやっぱり全部やってみたいって感じでしょうかね〜。

ああ久しぶりにきちんと文章を書いて緊張しました。またがんばって時々更新するようにしま〜す!
posted by leo at 16:29| Comment(2) | 卵巣がんニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月28日

再発治療の始め時

冷えるな〜と思っていたら夜の間に雪が舞っていたようです。道路に降った雪はさすがにすぐ溶けてしまいましたが、草地の上は白い粉をまぶしたような状態で昼間日が照っても消えません。今年は暖かかったので雪も例年よりは遅めです。

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(ここから本題)
癌は再発しないのが一番です。でも、もし再発してしまったら治療はいつ始めるべきなのでしょうか。一刻も早く発見して、すぐさま癌を叩きたいと思っている人が多いのではないかと思います。ただ再発卵巣がんに関しては、治療開始が早すぎてもメリットがないという意見のドクターもいらっしゃるようです。もちろん個人差はあるでしょう。動きの早い癌、のんびりした癌。長い寛解の後再発した癌、短期間で再発した癌。答えは一つではないのかもしれません。

日本でもよく知られている医学雑誌「The Lancet」に、再発治療の開始を多少遅らせても生存期間に違いは出ない、という研究結果が発表されたのは10月初めのことです。この臨床試験はヨーロッパで1996年に始まり、約9年間に卵巣がんの患者さん1442名が参加しました。初期治療を終え経過観察に入った人達のCA125を3ヶ月に1回測定して、数値は臨床医にも患者にも伏せておくという方法を取りました。そしてCA125が正常値上限(多分35)の2倍以上に上昇した529名を無作為に2つのグループに分け、一方のグループでは速やかに再発治療開始。もう片方のグループでは症状が現れるまで無治療で経過観察を続けました。2つのグループの治療開始時期の差は4.8ヶ月。早期開始組はトータルで受けた化学治療の回数が遅延組より多く、サードラインの治療を始めた時期も4.6ヶ月早かったそうです。それでも再発後の全生存期間の中央値は、早期開始組が25.7ヶ月、遅延組が27.1ヶ月とほぼ同じ。この結果をふまえ、研究を担当したドクターは経過観察中のCA125測定の意義について疑問を投げかけています。

イギリスのDaily Mail紙に載った記事では、治療遅延を歓迎する患者さん、心配する患者さん、双方の意見が紹介されています。治療遅延を支持する理由は、体調がいいのに数値が上がっただけで治療を再開するとQOLが下がり、治療を受けるだけの人生になってしまうから、と個人的にかなり頷ける内容です。しかし、CA125が上昇すると間もなく腹水が溜まってお腹がパンパンになり苦しい思いをするので、それを待たずに先手を打って治療を始めてほしい、という意見の人もいました。やはり人それぞれのようですね。

さて、上記の研究結果に対して異議を唱える声が上がったのは、万事において積極的な攻めを好むアメリカだったのは自然の成り行きでしょう。反論の趣旨としては、臨床試験で治療に用いられたのはカーボプラチンやタキソールなど、ありきたりの抗がん剤ばかりで最新の分子標的薬、血管新生阻害薬が使われなかった。言い換えると、再発治療の開始時期で予後に違いが出なかったのは古臭い治療法のせいだ、と言いたいようです。暗にヨーロッパの癌治療はアメリカより遅れているとほのめかしている感じです。そればかりか、ヨーロッパのような公的な健康保険制度の下では、自由の国アメリカのようにあらゆる薬を試すことができないからだ、とそこまではっきりとは言いませんでしたが、チクチクと嫌味っぽく突いていました。

ちょっと感じ悪いですが、もしかしたら当たっている部分があるかもしれません。ただし、この反論を共作で執筆し「The Lancet」に投稿したアリゾナとミシガンの二人のドクターは、両方とも多数の製薬会社から研究資金、コンサルタント料、スピーチの謝礼など受け取っています。(「The Lancet」を含む欧米のきちんとした医学雑誌では、研究者や論文の著者と外部団体との金銭的な結びつきを公表するのがルールなので、こういう世知辛い事実もむきだしです。)

CA125が上がったの下がったのという話は、個人的にはどうでもいい…というか自分とは関係ないことのように感じ、一喜一憂したこともありません。何し私の場合、直径3cmくらいの癌が4つも5つも急成長していた時でさえCA125は上昇しなかったのです。現在もCTの画像には小粒が写っていますがCA125値は6。ひと月程前、試しに一応測ってみましたが注射のされ損でした。CA125値の上昇を治療開始の判断材料にするとしたら一生治療は受けなくてすみそうです。そういう意味ではCA125重視の意見の方が私にとって都合がいいような気がします。

(追加リンク:本文で取り上げたCA125と再発時期の臨床試験に関するもう一つ別の割と詳しい記事
posted by leo at 10:08| Comment(0) | 卵巣がんニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月16日

ジョギングより散歩がベター

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前回、卵巣がんのリスク要因である出産経験や経口避妊薬使用の有無などについて書きました。その際、例としてオランダの疫学調査結果を引用させていただいたのですが、その研究の名称は「The Netherlands Cohort Study on Diet and Cancer」で、食生活や運動など生活習慣全般が癌の罹患率に与える影響について調べるのが目的でした。一般的に食生活や運動は癌のリスク要因として真っ先に頭に浮かぶ事柄のような気がします。しかし癌との因果関係を科学的に実証するのが難しい因子であることも知られています。また癌と一口に言っても、部位、種類によって何がリスクとなり、どの程度深く係わっているのかは異なるので、十把ひとからげにしては考えるのは危険です。

ということで、ここからは卵巣がん限定で上記のオランダの調査を中心に、食事や運動との関係についての研究を幾つか紹介させていただきます。尚、癌の疫学調査というのは薬の臨床試験などとは全く性質が異なり、複数の似たような調査を比べると結果が相反することも少なくありません。ですから私が例に挙げる調査結果イコール普遍的事実と取らず、参考データとして捉えてていただければと思います。(注:リスクとは卵巣がんに罹患するリスクのことであり再発との関係は不明です。)

まずは運動から始めましょう。オランダの調査では「職業以外の身体的活動(non-occupational physical activity)」について質問しており、通勤、買い物、犬の散歩、散歩、自転車、庭仕事など日常生活範囲内で身体を動かすことを指しています。身体的活動が一日に30分以下の人と比べると、30〜60分、60〜90分、90分以上の人は、それぞれリスクが22%、14%、28%減という結果でした。都市部に住んでいると、公共交通機関の発達と交通渋滞の相乗効果から車に頼らず生活することも可能なのですが、郊外や地方ではどこへ行くにも車を使い、駐車場と目的地の建物の間しか歩かない人も多いようです。(アメリカやカナダは特にその傾向が強いように思います。)そういう状況であれば、歩いたり自転車に乗ったりする機会を意識的に増やした方がいいのかもしれませんね。余暇に徒歩や自転車で散策するのも身体に良さそうです。週に1〜2時間の散策で34%、2時間以上で35%のリスク減と出ました。

しかし、身体を動かせば動かすほどいいという訳ではありません。スポーツに参加したりジムでトレーニングしても卵巣がんのリスクに良い影響は出ないようです。それどころか、統計的に有意な差ではありませんが、週に1時間以上スポーツをする人はしない人よりリスクが高くなる傾向があります。激しい運動をすると卵巣がんのリスクが高くなる、というのは素人の頭では不思議に思えますが、別の疫学調査でも同様の結果が出ています。米国アイオワ州で約42,000人の女性(55〜69歳)を対象に実施された調査では、軽い運動(散歩、ゴルフ、ボーリングなど)と激しい運動(ジョギング、テニス、水泳、エアロビクスなど)に分けて質問したところ、やはり激しい運動をする人の間でリスクが高めであることがわかりました。

さて、食生活については運動以上に関係が複雑なのか過去の疫学調査の結果もまちまちです。誇張やデマも飛び交いやすい分野で、何を信じて良いのやら…とため息をつきたくなることもありますが、とりあえず特に関心の高い乳製品について見てみましょう。結論から言いますと、オランダの調査では乳製品の摂取と卵巣がん罹患率の間に相関関係はありませんでした。牛乳、ヨーグルト、チーズとカテゴリー別に、摂取量低、やや低、やや高、高と4段階に分けて罹患率を比較したものの、差異はなし。ラクトース(乳糖)の摂取量でも差異はなし。唯一違いが認められたのは乳脂肪。1日に31g以上乳脂肪を取っている人はリスクが1.53倍という結果でした。

公平を期すため別の研究結果も紹介しておきます。スウェーデンで約61,000人(38〜76歳)を対象に行われた疫学調査では、一日に4サービング以上の乳製品を取っている人のグループは2サービング以下のグループと比べてリスクが1.6倍増。漿液性卵巣がんに絞ると2.0倍だったそうです。サービングとは1回に食べたり飲んだりする基準量で、牛乳なら250ml、ヨーグルトなら175g、チーズなら50gくらいです。乳製品のカテゴリー別では牛乳が最も影響大のようで、1日に2サービング以上飲む人は、ほとんど飲まない人(週に1サービング以下)より1.3倍(漿液性は2.0倍)罹患率がアップしていました。

オランダとスウェーデン。どちらも北欧。民族的にも近い2つの国から食い違う調査結果が出てしまう。それほど食生活のリスクは判定しにくいのです。データの精度が低くなる理由の一つとして、卵巣がんになる人の絶対数が少ないことが挙げられます。欧米諸国の中でも北欧は卵巣がんの罹患率が比較的高いそうです。それでも卵巣がんになったのは、オランダ:約62,000中282名(11年間)、スウェーデン:約61,000人中266名(13年間)。統計のサンプル数としてはギリギリの頭数です。それ以外の理由としては、スウェーデンの牛乳の方がオランダの牛乳より濃くて乳脂肪も乳糖も沢山入っているだろうとか、スウェーデンの乳牛の方がオランダの乳牛より添加物の多い配合飼料を食べているだろうとか、妄想とジョークの域を出ないことしか思いつきません。

食生活や運動と癌の関係は単純明解からは程遠く、原因とは言えないまでも無関係とは言い難く、欧米の政府機関、癌研、病院などではバランスの取れた食事と適度な運動を奨励しています。直接癌と関係なかったとしても、他の病気(心臓病、糖尿病など)に対する予防効果があることは医学的に明らかなので、やっておいて損はないという意味だと解釈しています。その程度?とガッカリなさらないで下さいね。因果関係をどこまで信じるかは結局のところその人次第。私自身はどちらかと言うと生活習慣を変えることに消極的なのですが、歩いて通勤したり(交通費をケチっているという部分もありますが…)、毎日ブロッコリーを食べたり緑茶を飲んだりしているのは、心のどこかで「もしかしたら」と思っているからなのでしょう。
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2010年10月09日

少子化と卵巣がん

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人はどうして癌になるのでしょうか。

癌は、肺気腫(アスベスト)や子宮頸がん(HPVウィルス)などごく一部を除くと原因がはっきりわかりません。原因とは別にリスク要因というのがあって、生活習慣、生活環境、遺伝、体型など様々ですが、これは要因に当てはまると統計的に癌になる確率が高いらしい…発がんに関係しているかもしれない…といった可能性レベルの話です。かなり確実と見なされているリスク要因でも100%からは程遠く、その顕著な例は肺がんだと思います。喫煙が肺がんのリスクを倍増するのは間違いありませんが、運よく肺がんにならない喫煙者は大勢います。その一方で、自分も家族もノン・スモーカーなのに肺がんになってしまうお気の毒な方もいらっしゃいます。恐らく人の健康と言うのは色々な要素の組み合わせ、積み重なりで保たれているのでしょう。しかも一つの因子がある種の癌のリスクを上げ、別の種類の癌のリスクを下げることもあり、常に1+1=2とはならないのが身体の不思議さです。

さて卵巣がんのリスク要因として、年齢、家系や遺伝(BRCA1/BRCA2遺伝子変異)以外で有力視されているのが、出産歴、初潮から閉経までの年数、経口避妊薬、避妊手術(卵管結紮術)、子宮摘出など、女性ホルモン及び生殖機能に係わる事柄です。こうしたリスクが癌の罹患率に影響を及ぼす度合いについては、主に疫学調査を通じて研究されています。

実例の一つとしてオランダの疫学調査結果を紹介します。この調査は1986年から2002年にかけてオランダで実施され、総計で6万人以上の女性(55〜69歳)が参加しました。その内、調査期間中に卵巣がんになった375名と、コーホートの2331名(癌になった人のグループと年齢、身長、体重、家族内の卵巣がん歴、などの構成がほぼ等しくなるよう無作為抽出した、癌にならなかった人のグループ)を比較しました。

まず出産については、全く出産経験のない女性に比べ、子供を一人でも産んだことのある女性は卵巣がんになるリスクが29%低いという結果でした。子沢山になればなるほどリスクは下がり、子供の数が3〜4人だと34%減、5人以上だと47%減。10人以上産んだらリスクがゼロになる(!)のはさすがに無理としても、南米、アフリカ、東南アジアなど子供の数の多い地域は、欧米と比べて卵巣がんの罹患率が低いのは事実です。

どうやら卵巣というのは、排卵するのが主な任務でありながら、休みもなく毎月せっせと働かされるとストレスがたまってご機嫌斜めになるようです。妊娠期間は排卵しなくてもいいわけですから、卵巣にとっては骨休みとなる筈なのに、私はその休暇を一度もあげずに申し訳ないことをしたと思います。

妊娠しなくても排卵を止める方法はあります。経口避妊薬を服用することです。そのせいかピルを使用したことのある人は、無い人より卵巣がんになるリスクが29%も低いそうです。特に5年以上飲み続けた人は53%もリスクが減少するという結果でした。服用の時期としては20代、30代の方が40代以降よりメリットが大きいようです。経口避妊薬を使用すると子宮内膜がんにも罹りにくくなると聞きました。しかし残念ながら乳がんのリスクは少し増してしまいます。あちらを立てればこちらが立たず。難しい選択ですが、私が10年、15年前にこうした事情を理解していたら、ピルの服用に対してもっと前向きに考えていたでしょう。(人工的に排卵しないようにするなんて絶対体に悪い!と当時は思い込んでいました。)

また、手術による避妊法(卵管結紮術)も卵巣がんのリスクを下げるそうです。卵管を縛っても排卵がなくなるわけではありません。生理も来ます。では何故リスクが減少するのかというと、排卵しにくくなるとか、女性ホルモンの量が減るとか、子宮から発がん性物質が入り込まなくなるとか、仮説は幾つか立てられているものの詳しいメカニズムは不明です。避妊手術前の診察で、ごく初期の卵巣がんが発見されることも時折起こるため、スクリーニングのような役割があるとも言えます。オランダの調査は避妊手術に関する質問を含んでいませんでしたが、卵管結紮術を受けた人は卵巣がんで亡くなる確率が36%低くなる、という別の調査結果が過去に発表されています。

手術がらみでもう一つ。子宮筋腫などの理由で子宮を切除した人は、子宮がんだけでなく卵巣がんのリスクも低くなります。オランダの調査では50%減と出ました。卵巣も取ってしまえば更にリスクが減るのでしょうが、閉経前の女性が卵巣を失くすと、突然激しい更年期障害に見舞われて大変なのは皆さんよくご存知の通りです。ですから予防目的で健康な卵巣を切除するのは、BRCA遺伝子変異のある方とか、進行性乳がんでホルモン受容体がネガティブな方とか、やむにやまれぬ事情がある場合に限られています。子宮については切除しても後遺症が少ないので、出産の予定がないのであれば良性の疾患でも子宮とサヨナラした方がいいのかもしれません。お腹に傷が残るし、手術は身体に負担をかけるので切らずに治したいと思う方も多いでしょうが、使わない臓器が体内に居座っていると病気のリスクを上げるだけ、という見方もできます。生理痛などに悩まされることもなくなりスッキリしますよ。

最近カナダで、良性疾患で子宮切除手術を行う場合、一緒に卵管も切除すると(卵巣は残す)卵巣がんのリスク軽減により効果的、という声が上がっています。これは奨液性卵巣がんの約30%は卵巣本体ではなく卵管から始まっている、とする仮説に基づいています。卵管を失くしても身体に支障をきたすことはありませんが、子宮のみ切除するのに比べると手術が多少複雑になるため、現時点では子宮だけ取るのが一般的なやり方らしいです。他に理由が無いのに卵管だけ切除するのはどうかと思いますが、子宮を切るついでに卵管も、というのであれば患者側の抵抗感は少ないような気がします。

20歳で結婚して22歳で初出産。それから2年おきに子供を4〜5人産み全員母乳で育てる。という風にしたら、卵巣がん、子宮体がん、乳がんのどれにも罹りにくくなるのでしょうね… しかし社会の仕組みも人のライフスタイルも変わった今、そういう生き方をするのは難しいです。結婚しない。結婚しても子供は作らない。子供を作るとしても時期を遅らす。欧米も日本も少子化の傾向はすすむ一方です。ここ半世紀に起こった急激な変化が、女性の身体にどんな影響を与えているのか。女性特有の癌の増加にどう係わっているのか。考えると少し悲しくなります。もっとも他にもリスク要因はありますし、リスクはあくまでもリスク。当てはまらない人の方が多いのでしょうが… 癌になるのを恐れるあまり100年前の状態に戻ろうとするのではなく、前進する形で何か改善策があるといいですね。20代で出産、育児をするための経済的な援助(無利子の出産ローンとか)、教育費の低減、および子育てを終えた30〜40代が社会進出しやすくなるよう雇用体制の見直し等、社会全体で取り組んでほしい問題だと思います。
posted by leo at 16:27| Comment(0) | 卵巣がんニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月02日

ティールリボンあれこれ

過去形になってしまいましたが、9月はアメリカ、カナダで「卵巣がん認識月間(Ovarian Cancer Awareness Month)」でした。と言っても10月のピンクリボンとは比べ物にならないほど小規模で、正直なところ卵巣がんになった私ですら忘れていました。しかし地味ながらも有志の方々が各地で様々なイベントを催して下さり、大変ありがたく思っています。

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一番多いのはマラソン、ウォーカソンの類です。写真はOvarian Cancer Canada主催の「Walk of Hope」。カナダでは何故かバグパイプのおじさんが必ず行進の先頭に立ちます。

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摩天楼を誇るシカゴでは、National Ovarian Cancer Coalitionが「Light the Town Teal」を企画し、ウィリスタワー(旧名シアーズ)、トランプタワー他、20の 高層オフィスビルからティールのライトが夜空を照らしました。

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ティールリボンつきの可愛いカップケーキ「Teal Velvet」を作ってくれたのはワシントンDCのベーカリーGeorgetown Cupcake。9月限定販売で、売り上げは100%Ovarian Cancer National Allianceに寄付されました。

Ovarian Cancer CanadaNational Ovarian Cancer CoalitionOvarian Cancer National Allianceは、どれも卵巣がんのサポート団体で、社会全体における卵巣がんの認識を向上し早期発見を訴えたり、卵巣がん研究予算の増加を国や関係機関に要請したり、研究資金の寄付を募ったりするのが主な活動内容です。)

Ovarian Cancer National Allianceの創立者の一人であるSusan Lowell Butlerさんは、ご自身も卵巣がんを患っています。9月のティールリボン期間に合わせ、NCI(米国立がん研究所)がButlerさんのインタビューをYouTubeで公開しました。



(埋め込み画像が見れない方はこちらを試して下さい→リンク

Butlerさんが卵巣がんステージIIICと乳がんステージII、という同時多発の癌攻撃に見舞われたのは52歳の時のことでした。近親者には卵巣がんになった人も乳がんになった人もおらず、青天の霹靂だったそうです。

まず卵巣がんの切除手術を受け、術後のキモセラピーは標準治療ではなく臨床試験に参加しました。治験で試されていたのはシスプラチン+サイクロフォスファマイド+パクリタキセルという組み合わせを、通常より高い用量で投与するレジメンでした。激しい骨髄抑制が予想される治療のため、AHPCS(autologous hematopoietic progenitor-cell support)という造血促進剤が初めから併用されました。当然のことながら副作用は非常に強く、49名の参加者のうち多臓器不全で亡くなったかたが一人、重症が一人という正に命を賭けた臨床試験でした。Butlerさんは6サイクルをどうにか乗り切り2度目の開腹手術。目に見える癌は残っていなかったにもかかわらず、更にダメ押しでもう2サイクル(計8サイクルの高用量化学療法)。その後、乳がん治療のために乳房全摘出手術と放射線療法を受け、仕上げにタモキシフェンを5年間服用しました。文字通り壮絶な治療生活だったと思います。

Butlerさんが二重の癌診断を下されたのは1995年のことです。そして治療終了後は完全寛解となり13年間もキャンサーフリーでした。2年前、大腸内視鏡検査で再発した卵巣がんが発見され、以来再発治療を受けています。

Butlerさんは、ご自身の体験を通じて卵巣がん治療の昔と今について次のように語っています。

1.臨床試験の重要性
特に予後が厳しい病状であれば、思い切って治験に参加することで長期生存のチャンスを掴む可能性があります。Butlerさんは、13年間の寛解は実験的に行われた高用量レジメンのおかげだと感じていらっしゃるようです。(ちなみにこの3種抗がん剤レジメンは、有害事象のリスクが高すぎたせいか、治験の枠外では用いられることもなく自然消滅状態です。)

2.QOLの向上
進行、転移、再発した癌が不治なのは(稀に例外があるにしても)、残念ながら昔も今も変わりません。しかし現在はよく効く制吐剤が開発され、化学治療中のQOLが保たれるようになってきました。従業員12名を抱える事業主であるButlerさんは、再発治療を受けながらフルタイムで仕事を続けています。病気と共生していく上で治療の副作用緩和は重要事項です。その点においては確実に進歩しています。欧米ではシスプラチンでさえ外来で点滴しており、白血病など一部の病気を除けば、日帰りキモセラピーは当たり前の状況です。キャリアと両立させている人も珍しくありません。

3.分子標的剤への期待
他の癌では既に標準治療の一部として活躍している分子標的剤ですが、卵巣がん治療に於いても研究がやっと本格化してきました。それに伴い将来は治療が個別化していくことも期待されています。テーラーメイドと言うのは誇張だと思いますが、例えばHER2陽性乳がんのハーセプチンとか、EGFR遺伝子変異のある非小細胞肺がんのタルセバとか、その程度の個別化でも全くの十把一からげ状態より望ましいのは間違いありません。誰に効くかが絞り込めれば費用の面でも無駄な出費を抑えることができ、保険制度も助かるでしょう。自分の腫瘍にピッタリの分子標的剤を見つけること、それがButlerさんの一番の希望です。

何だか纏まりがつかなくなりましたが、「癌との闘い」というのは個人と社会の両方のレベルに存在するのだと思います。患者一人一人は、手術を受けたり抗がん剤を試したり、QOLと延命を量りにかけて悩んだり… 自分のことだけで精一杯という人も多いはずです。社会全体としての、将来癌の犠牲になる人を減らすための取り組みに目を向ける余裕がない人もいるかもしれません。しかし癌になっても社会の一員であることに変わりは無く、やはり次世代の為に出来る事をするのは生きる張り合いとなります。癌の認識運動というのは、運悪く病気になった人とそうでない人の架け橋のようなものなのかもしれません。


(追記)
Susan Lowell Butlerさんは2010年12月18日、15年の闘いを終え旅立たれました。ご冥福をお祈りいたします。
posted by leo at 16:52| Comment(6) | 卵巣がんニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月03日

これからの10年

新しい年が来ました。
去年は1月6日が生まれて初めてのキモセラピーの日だったので、柄にもなく神妙な心持ちで過ごしたお正月でしたが、今年は緊張感のないまったりした休日を楽しんでいます。再発防止のために今年はこれをやるぞ〜みたいな年頭の決意は別にありません。相変わらずピーナツ食べて夜更かししてます。初夢は体重計に乗ったら思ったより軽くてホッとした、という笑える夢でした。(家には体重計がありません。)

今年は新しい10年の始まりでもあります。
1990年代はカナダに来て大学に行きなおし、そのまま永住を決め、と成り行きまかせでしたが新しいことに沢山チャレンジした10年間でした。
2000年代は生活の基盤も固まり、老後に向けて貯蓄をしながら淡々と過ごしていたのに、終盤になって癌が見つかるという大ハプニングに見舞われ、波乱ぶくみの10年間となりました。
2010年代はどうなるでしょうか?どういう10年にしたいかという以前に、この10年をサバイブできるのかというのが問題なのですが、そういう状態にも慣れてしまって特に不安でも何でもなくなりました。もともと長期計画を立てる性質ではないので、毎日を悔いのないように、やりたい事をやって、無理をせず、なるようになれの精神で暮らしています。

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ところで卵巣ガンの治療はこれからの10年でどう変わるでしょうか?
1990年代はカーボプラチン、タキソールの登場でファーストラインのレジュメンが変わりました。それ以前のCAP(サイクロフォスファミド、ドキソルビシン、シスプラチン)と比べると多少効果が上がったようです。また、シスプラチンが抜けたことで副作用がマイルドになったのは大きな改善点だったように感じます。
2000年代はカーボプラチン+タキソールの黄金時代で、様々な薬の治験は絶え間なく行われていたものの、スタンダードのレジュメンには変化がありませんでした。分子標的剤が次々と開発され、他の幾つかの癌の治療に組み込まれていった中、卵巣ガンはトラディショナルな殺細胞性抗がん剤だけで、若干取り残された感もありました。

2010年代は、卵巣ガン治療にまた少し変化が現れるのではないかという気がします。
まず長々と治験をし続けてきたアバスチン。理論上、アバスチンの血管生成阻害という働きは、他の癌と比べ卵巣ガン治療に特に適しているのだそうです。それを裏付けるかのように、再発者対象に行われたトライアルではアバスチン単剤でも効き目を示し、中央値で4.5ヶ月の無進行期間を得ることができました。これを受けて始まったカーボ+タキソール+アバスチン、という新レジュメンの有効性を調べる治験も既に終盤にさしかかっている様子です。実施されたのは2つの大規模なトライアルで、GOG218(Gynecology Oncology Group)は参加者2000人、ICON7(Gynecological Cancer Intergroup)は1500人です。どちらもステージIIIとIVの人が対象で、ICONはGOGよりアバスチンのドーズが低いという治験デザインになっています。大がかりな治験が行われるのはそれだけ見込みがあるということなのだと思います。もし期待通りの結果がでれば、中核となるコンビにアバスチンが加わる可能性は大いにあります。

一方、従来のカーボプラチン+タキソールという組み合わせで、タキソールの投与を毎週にするという試みが日本で行われ、大変良い結果(無進行期間が中央値で11ヶ月延長)だったと話題になっています。ウィークリーの場合、一回のタキソール投与量は3週に一度より少ないのですが累計では多くなります。そのせいか効き目だけでなく副作用も強化しまったのがちょっと残念です。アメリカは化学療法の方針が個々のオンコロジスト(腫瘍内科医)の判断によるので、クリニックによっては早速取り入れている所もあると聞きました。といってもスタンダードのレジュメンが今すぐ変わるわけではないらしく、これからアバスチンとの絡みを調べたり、タキソールの量を減らして効果の違いを見たり、まだあれこれトライアルをしてみなければならないようです。が、ゆくゆくはタキソールはウィークリーになるかもしれませんね。日本はせっかく自国の治験結果があるのですから、患者にとってプラスになるという確信があるのなら、海外の動向に左右されないで、さっさと週一に切り替えるというのも有りではないでしょうか。

もう一つは、ここ数年見直されてきた抗がん剤の腹腔投与。シスプラチンとタキソールをポートから腹腔内に直接流し込むことにより、無進行期間を5.5ヶ月、生存期間を16ヶ月延ばすことができた(対象はステージIII)、という治験結果(GOG172)が発表されたのは4年前のことです。ところがこの治療法は効果の割りに普及率が低いようです。副作用が激しく、カテーテルから感染のリスクもあり、入院が必要な場合も多く、「キモは外来」に慣れている北米の病院にとって抵抗がある(?)等いくつかの理由が考えられます。アグレッシブな治療に慎重なカナダではほとんど行われてきませんでしたが、とうとう独自の治験を始めることになりました。ステージIIB以上対象で、術前キモ(IV)+手術+術後キモ。術後キモはIV(静脈投与)、IP(腹腔投与)でタキソール&シスプラチン、IPでタキソール&カーボプラチンの3グループに分かれる、というデザインです。こんな恐ろしい治療がスタンダードのファーストラインになったらどうしましょう。あっでも再発は対象外みたいだから私はもう心配しなくていいのか。

なんだかこうして見ると、これからの10年間に卵巣ガンの治療は激しさを増しそうで不安です。それで寿命が1年延びたとしても、やっぱり気が進みません。寿命が10年延びるのなら考えるけど1年じゃね。だったら生存期間がちょっと短くてもマイルドな治療で普通に近い生活を送る方が自分には合ってると思います。アバスチン単剤で使わせてくれるといいな〜。
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2009年10月31日

少数派の悩み

lamb.jpg

卵巣ガンと一口に言いますが、実際には卵巣にできた様々な悪性腫瘍の総称なので、グループ名とでも言ったほうが正確なのかもしれません。ただ、卵巣ガンの90%くらいは上皮性(epithelial)のため、一般的には卵巣ガンと言ったら上皮性卵巣ガンを指すようです。

上皮性卵巣ガンは更に組織型の違うサブタイプに分かれています。頭数が一番多いのは漿液性(serous)で尚且つ悪性度の高い(グレード2、3)タイプです。いやらしいことに、この種の癌はしばしば突発的(de novo)に発生するそうです。つまり病変が時間をかけて癌化するのではなく、いきなり癌が出現してサァ〜っと散らばってしまうわけです。そのせいか漿液性は発見時に既にステージIII以上であることが多いのが現状です。救いは白金やタキサンといった抗がん剤に反応しやすいことで、進行癌であっても初期治療後は寛解することが珍しくありません。再発率も非常に高いのですが、その話は暗くなるのでやめにして今日の主役、少数派の話に移りたいと思います。

漿液性の次に多いのは類内膜(endometrioid)です(欧米の話)。類内膜型も抗がん剤にはよく反応する一方、漿液性のようにすぐ広がることはないので、卵巣ガンの中では最も予後のいいタイプだと言われています。といってもいい事ずくめではないようです。人によっては類内膜卵巣ガンと子宮内膜ガンの多発に見舞われることがあります。この場合、転移なのか多発なのかが手術後の組織検査まではっきりわからないらしく、また手術自体が癌の多発を想定して行われるとは限らないので、それぞれの癌のステージを決める際に医者の間で意見の相違が生まれたりして、靄に包まれたような診断を受けることがあるそうです。さらに、術後のフォローアップが卵巣ガンは化学療法、子宮体ガンは放射線療法が基本なため、両方受けなければならなかったという人もいます。聞くだけでも大変そうです。

粘液性(mucinous)と明細胞(clear cell)は、どちらも欧米では数が少なく『珍しい癌』の部類に入るようです。両タイプ共、比較的転移しにくくステージIのうちに発見されることが多いので、全体的に予後は決して悪くはありません。(特に粘液性)その反面、この2タイプは比較的抗がん剤が効きにくいという評判があり、手術で癌が取りきれなかった場合や再発の際に治療が難しくなる可能性がでてきます。これらの組織型にもっと適した抗がん剤はないのでしょうか?

粘液性卵巣ガンは腫瘍の組織が大腸の上皮組織に似ているそうです。そんなことからイギリスでは、オキサリプラチン+カペシタビンという大腸ガンの治療に使われる薬と、標準コンボのカーボプラチン+タキソールを比較するトライアルが始まりました。対象は粘液性の人に限られているそうなので、規定を満たすだけの参加者がちゃんと集まるのかどうか心配ですが、興味深い治験だと思いました。

明細胞型の人の期待を集めている薬として最近耳にするのがトリセル(temsirolimus)です。再発者対象の治験が幾つか行われており、組み合わせとしてはカーボプラチン+タキソール+トリセルやドキシル+トリセルなどがあるようです。トリセルはmTORキナーゼ阻害剤で話題の新薬のひとつです。腎臓細胞ガンの治療用としては既にアメリカFDAの認可がおりています。明細胞は卵巣、子宮のほか腎臓ガンにも見られるそうです。そしてどの臓器で出来た明細胞も遺伝子的に似通っていることから、腎臓細胞ガンの薬が明細胞卵巣ガンにも効果があるかどうか、現在試しているところなのです。この薬がよく効くということにでもなったら、また日本で大騒ぎになりそうですね。ただ癌の治験は結果がでるまで何年もかかるので気長に行く末を見るしかありませんが。

最後にまた漿液性に戻りますが、漿液性でも悪性度の低い(グレード1)ケースは漿液性全体の10%くらいしかなく、悪性度の高いグループと色々な面で違いがあるようです。悪性度が低いと進みが遅いので基本的に予後はいいのですが、抗がん剤が非常に効きにくいので再発すると治療が困難です。MDアンダーソンの記録によるとキモ奏功率4%という超低空飛行なのです。近年遺伝子の研究がすすみ、低悪性度の漿液性卵巣ガンは境界悪性腫瘍(LMP)により近いことが判明し、高悪性度の漿液性とは根本的に違うタイプだと考えられるようになりました。といってもまだそれに合った治療法は確立されておらず、とりあえず今のところはホルモン療法(レトロゾール)くらいしか頼るものがないようです。

本当に病気と言うのは様々で、それぞれに悩ましい問題を抱えていますね。

多数のサイトを参考にしましたが主なところだけリンクをつけておきますね。(遺伝子話のまとめ記事粘液性の治験トリセルの治験低悪性度の漿液性

それにしても明細胞は英語で検索しても研究者の名前が日本人ばっかりで驚きました!
posted by leo at 20:26| Comment(2) | 卵巣がんニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月26日

希望の口紅

早いもので9月もあと少しで終わりです。
アメリカやカナダでは9月はOvarian Cancer Awareness Month(卵巣ガン認識向上月間)です。ちなみに10月はBreast Cancer Awareness Month(乳ガン認識向上月間)で、街中ピンクリボンだらけになります。それに負けじと今月はいたる所でティールリボンを見かけました…というのはウソです。卵巣ガンは患者数も少なく知名度も低いので、強化月間の盛り上がりも実は小規模でした。

peony.jpg

そんな地味〜な卵巣ガンですが、意外なことに華やかな企業の支援を受けていることを知りました。化粧品やヘアケア商品を作っているロレアルは、1997年から卵巣ガン研究のための基金を募ったり、病気の正しい知識(初期症状、リスク要因など)の普及に努めているようです。またColor of Hopeというキャンペーン用のメイク製品を扱っており、単品の場合売り上げ1点につき1ドル、セットの場合は5ドルがOvarian Cancer Research Fund(OCRF)というNPOに寄付されることになっています。さらに今年の9月1日より、OCRFとCancerCare(別のNPO)とのタイアップにより、Hope Lineと呼ばれる卵巣ガン専用のトールフリーサービスを立ち上げました(1-877-OV-HOPE-1)。電話をするとガン患者を専門にしているソーシャルワーカーからカウンセリングを受けられるそうです。(アメリカのみなので残念ながら私は使えませんが…)

とてもオサレなColor of Hopeのホームページはこちらから、Hope Lineのページはこちらからどうぞ。

企業が何らかのチャリティに係わり儲けの一部を社会に還元する、というのは北米では当たり前のことになっています。もちろん営利企業ですから、イメージアップで売り上げアップを狙うという側面もありますが、寄付として集めたお金はきちんとその目的のために使われています。ワラをもつかむ思いの人に得体の知れないものを売りつけて儲けよう、という発想とは根本的に異なります。

ロレアルのサイトは、さすが化粧品会社だけあって垢抜けていて、ガンの話をしているとは思えないほど綺麗です。が、卵巣ガンを商品化しているという印象は、私は受けませんでした。ガンになった人のほとんどは、ガンと診断されるまでは自分がガンになるとは考えてもみなかったのではないでしょうか。身体の不調を感じながら放っておいたために、ガンが進行してしまうこともよくあると思います。ガンという病気にとって早期発見がいかに重要かを考えると、現在健康な人に卵巣ガンという病気のことを知ってもらうことは非常に大切です。そういう意味ではガン協会などの固いサイトよりも、こうした企業サイトの方が親しみやすくていいような気がします。(健康な人がガン協会のサイトを見るとは思えませんし。)病気の辛い面、苦しい面に触れていないという点も、テーマが「希望」であることを考えると仕方ないように思います。

まぁ欲を言えばキモセラピー中の女性向け無料メーク講習会もほしいかな〜。
posted by leo at 16:28| Comment(5) | 卵巣がんニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月02日

続・小さな一歩

今日(現地時間ではまだ7月1日)はカナダデーという祝日でした。
カナダデーはアメリカの7月4日のようにドラマチックな歴史もなく、国外ではほとんど知られていませんが、カナダの地味な独立記念日であります。アメリカと違い独立戦争はなく、カナダ諸州の植民地が集まって一つの国を作ろうと代表団をイギリスに送り、議会で承認されビクトリア女王によって宣言された、という友好的独立でした。それが起こったのが1867年7月1日。ちなみに1867年に日本では大政奉還がありました。つまりカナダの独立国としての歴史は、日本の明治維新後の歴史とほぼ同じくらいの長さなのです。若い国でしょ。

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さて、先日書いたASCO(American Society of Clinical Oncology 米国臨床腫瘍学会)の総会は学術ネタの宝庫なので、またいくつか卵巣ガン絡みの研究結果をピックアップしてみたいと思います。がっくりくるようなのしかないんですが、これが現代医学の姿なのだということを知っていただきたいという気持ちもあります。悲観的になる必要はありませんが、患者も家族も現実から目をそらすべきではないと感じます。

1.CA125値上昇は再発治療開始の指標となるか?

調査:ファーストライン治療を終えた患者のCA125を3ヶ月おきに測定し、値が基準値上限(35)の2倍を超えた時点で2つのグループに分け、グループ1では直ちに治療開始し、グループ2では症状、または臨床上再発が確認された後に治療を開始したもの。

結果:2つのグループ間に生存率の差は見られず。よって再発チェック用の定期的なCA125測定は価値がない。

感想:フフフ…うちの病院じゃ以前から症状がでてくるまで再発治療はしない方針でしたよ。この研究が行われたのはヨーロッパ。カナダと似た公立の医療システムなので費用対効果について厳しく目を光らせているのがわかります。

2.ファーストラインのカーボ+タキソールにジェムザールを足したら効果はあがるか?

調査:ステージIC〜IV対象。2つのグループに分けグループ1はカーボ+タキソール+ジェムサイタビンの3本立て、グループ2はカーボ+タキソールの初期治療を行う。

結果:無進行期間、生存率共にジェムザールを加えてもメリットなし。この結果は病気がかなり進行している患者群(IIB〜IV)でも比較的初期の患者群(IC〜IIA)でも同じ。

感想:製薬会社はさぞがっかりしたことでしょう。薬を増やせばいいってもんじゃないんですよ。効果は変わらず副作用だけ増えて残念でした。

3.タキソールの導入はステージIII、IVの生存率を延ばしたか?

調査:アメリカの卵巣ガン統計を3つのグループに分け生存率を比較。グループ1(1988-1991、タキソール導入前)、グループ2(1992-1997、セカンドラインでタキソール承認)、グループ3(1998-2003、ファーストラインでタキソール承認)。

結果:ステージIIIの2年生存率はグループ1→64%、グループ2→68%、グループ3→70%。ステージIVは39%、41%、42%。よってタキソールの導入は進行卵巣ガンの生存率を延ばしたと言える。ただ延び幅はあまり大きくない(特にステージIV)。

感想:ステージIIIだって生存率6%しか上がってないのですが… ステージIVの延び幅に至っては、この研究を行った医師団をして『臨床的には最小で実のところ意味の無い』と言わしめたほど。(clinically minimal and indeed not significant) レポートはさらに『新しい、もっと効く薬が切実に必要』と続きます。( a desperate need for new and more active drugs)
別にタキソールを敵視しているつもりはありませんが(少ししてるけど)、効き目について過信している風潮もあるように思えます。実際はこんなものなのです。というかタキソールは良い薬なのだけど、それ以上にガンが強いってことなんでしょうね。

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ところで先週の金曜日(6月26日)にCT撮ってきました。暖かい日だったし、バリウム沢山飲んで水分補給もばっちりだったので、注射は一回ですんなりいきました。結果は後のお楽しみです。どうかな〜。なんかまた水が溜まってるような気がしないでもないんだけど。進行してるって言われたら治療再開の前に旅行したいな〜。
posted by leo at 16:19| Comment(4) | 卵巣がんニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月21日

小さな一歩

6月も半ばを過ぎ、カナダもようやく初夏を感じさせる日が続くようになりました。といっても気温は昼間が22-23℃、夜が12-13℃くらいです。日本の基準からしたら、まだ肌寒いという感じかもしれませんが、なにしろ私が最後に日本の夏を経験したのは1991年なので、23℃は十分夏の気温です。来週は25℃を越えそうだと天気予報で言ってました。と聞いただけで、ん〜暑そう〜と思うのは、暑さに対する免疫がなくなってしまったからなんでしょうね。

woofstock.jpg

写真は先週末(6/13〜14)、家の近くでやっていた『ウーフストック』というイベントです。昔あった有名なロックの野外コンサート『ウッドストック』をもじった名前のこのイベントは、まぁ犬のお祭りみたいなもので(だからウーフ)、歩行者天国の道沿いにはペット用品、フード、保護団体、美容院、クリニックなど、犬に関するありとあらゆるサービスのテントが軒を連ねました。ファッションショー、美犬コンテスト、犬芸コンテストなどもあり、すごい人出(犬つき)でした。

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さて本題ですが(一応ガンがテーマのブログなので)、5月29日から6月2日までASCO(American Society of Clinical Oncology 米国臨床腫瘍学会)の総会がありました。有名な学会なので日本でも日経メディカルなどで取り上げられているようですが、発表された研究の要旨をASCOのサイトで見る限り、卵巣ガンに関してはあまりパッとした発見はなかったように思われます。一生懸命やってる医者の先生、研究者の方々には申し訳ないのですが、彼らにとって意義のある科学的、医学的進歩(小さな一歩)と、患者にとって意味のある治療の改善、生存率の向上(大きな一歩)の間にあるギャップを感じます。

発表された研究の内のひとつは、BRCA変異のある乳ガンと卵巣ガンの新しい治療薬についてでした。

BRCA1とBRCA2というのは、本来DNAを安定させ細胞が勝手に増殖するのを抑える役目を担っている遺伝子なのですが、変異して機能を果たさなくなってしまっている場合があります。そして変異したBRCA1とBRCA2を持って生まれてきた人は、乳ガンや卵巣ガンにかかるリスクが他の人より高いのだそうです。

BRCA変異はヨーロッパ系ユダヤ人の方や北欧の方に多く見られるそうですが、それ以外の人種、民族でも変異したBRCAの人は存在します。だからといって、誰も彼もが遺伝子検査をすればいいかというと、そういう訳ではないのです。ユダヤ人以外の人の場合は、次の条件に当てはまる場合にBRCA変異の有無を調べる価値があるようです。
−1等親の家族(母、姉妹、娘)の2人以上が乳ガンになり、その内の1人は50歳以下でガンになった。
−2等親(祖母、叔母、伯母)以内の家族、親戚の3人以上が乳ガンになった。
−1等親の家族で両胸が乳ガンになった人がいる。
−2等親以内の家族、親戚の2人以上が卵巣ガンになった。
−2等親以内の家族、親戚に乳ガンになった人と卵巣ガンになった人がいる。
−2等親以内の家族、親戚に乳ガンと卵巣ガンの両方になった人(多発)がいる。
−親戚に男性で乳ガンになった人がいる。

心当たりのある人は遺伝子検査をしてもらうことはできます。が問題は、検査して遺伝子に変異があることがわかっても、ガンを100%防ぐ手立てのないことです。マンモグラフィーや腹部の超音波検査などの頻度を上げて早期発見に努めるか、もしくは健康な乳房や卵巣を切除してしまうという強攻策にでるか。どちらにしても、自分はガンになる可能性が高いとわかって生きるのは精神衛生上良くない、という見方もできます。知らない方がずっと幸せな場合もあるので、検査すべきかどうかは人によると思います。

ともあれ、今回の研究で効き目があるとされたのはオラパリブ(olaparib)という分子標的剤で、トライアルは参加者が乳ガン、卵巣ガン各50名くらいの小さなものですが、1日400mg投与の場合の奏功率が38%(乳ガン)、33%(卵巣ガン)でした。参加者は皆すでに化学療法を2〜3回受けており、既存の抗がん剤が効かなくなっている状態なのを考慮すると、奏功率の数字は悪くないですよね。サンプル数が小さいのは気になりますが。それと奏功するというのは、単に病気の進行を遅らせているだけの話なので、『治す薬』と早とちりしないことが肝心です。また、この分子標的剤はBRCA変異している人だけに効くようなので(少なくとも現時点では)、それ以外の乳ガン、卵巣ガンの人は誰かが他のお薬を見つけてくれるのを待ちましょう。

(最初に書いた通り、患者の大きな期待を満たすほどの研究成果は容易に上がってこないのですよ…)

参照したのはこれこれこれです。
posted by leo at 17:26| Comment(4) | 卵巣がんニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月14日

ミクロの決死圏

卵巣ガンは3つの種類に大別されます。約90%以上は上皮性で、漿液性、粘液性、類内膜、明細胞など組織型によってさらに分かれます。上皮性の他には胚細胞と性索間質という異なるタイプの卵巣ガンがあり、どちらも稀なガンです。稀なガンということは、患者の数が少ない一方で研究もあまりされないので、かかってしまった人にとっては厳しい状況です。

blue sky.jpg

先ごろ、性索間質性卵巣ガンに最も多い顆粒膜細胞腫の原因と考えられる遺伝子エラーが特定されました。と聞いても、素人にはふぅ〜んとしか言いようがないのですが、どうやらこれは非常に画期的な発見のようです。ガンが細胞の病気である以上、狂ったように増殖するガン細胞のどの遺伝子がどう変異してしまっているのか、それを解明することが真に有効な治療法を確立するために必要だからだと思います。

6月10日付けのNew England Journal of Medicineに発表されたこの研究は、バンクーバーの科学者グループによって、最新のDNAシークエンシング技術を用いて行われました。小さなDNAを構成するさらに小さなヌクレオチド。卵巣の顆粒膜細胞腫に30億対あるというヌクレオチドの中の、ある一つの壊れたヌクレオチドが、このガンの犯人だというのです。まさにミクロの決死圏のような話です。

遺伝子エラーが特定されたことにより、それに照準をあわせた治療法の開発が可能になるのですから、性索間質性卵巣ガンの方にとっては、待ちに待った朗報と言えるでしょう。

そればかりではありません。今回の研究の成功により、DNAシークエンシング技術が臨床現場で大いに役立つことが証明されました。今後同じ技術を用いて、他のガンの遺伝子エラーも徐々につきとめられるのでは、と期待が高まります。

研究グループの一員、遺伝病理学者のデビッド・ハンツマン博士によると、個々のガンのDNAシークエンスを解読する力は、テーラーメイドの癌治療へ向けての大きなステップなのだそうです。同じガンでも人によって病気の進行も治療の効き目も違うのは事実です。でもそんな個人の違いは、お仕着せの治療を受けた後に結果論として扱われているのが現状です。一人一人のガンの遺伝子エラーの違いを初めから治療に反映できれば、個人レベルで効果を上げ副作用を軽減することが可能になるのではないでしょうか。

遺伝子研究は進みの早い分野なので、夢が現実になる日もそう遠くないのかもしれません。それでも実用化には50年くらいかかるのかな…?30年でどうかな…?

参考記事はこれこれです。
posted by leo at 16:14| Comment(2) | 卵巣がんニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月15日

CA125でスクリーニング

crocus.jpg

卵巣がんの細胞がCA125を産生することから、この腫瘍マーカーを卵巣がんのスクリーニングに使えないか、と考える専門家もいらっしゃいます。

卵巣がんの治癒率が低いのは、病気が進行するまで発見されないことが多いからです。早期(ステージI)発見できれば、5年生存率は90%だといわれています。乳がんのマンモグラフィーや子宮頸がんのPAPテストのような効果的なスクリーニング法があったら、沢山の人の命が救われることでしょう。

CA125の問題は精度の低さにあります。卵巣がんでなくても陽性になったり、卵巣がんなのに陰性になることがよくあります。(ばりばり卵巣がんの私の数値も一般的にみたら陰性の範囲内です。)過去のリサーチによると、ステージIの卵巣がんの場合、真の陽性の結果がでる確率は50%だそうです。このためCA125のみを基準にスクリーニングすることは推奨されていません。

ではCA125とエコーを組み合わせたらどうでしょうか。

2月のInternational Journal of Cancerに発表されたオランダの調査結果によると、スクリーニングの効果は期待できないということでした。この調査は、遺伝的に乳がん・卵巣がんになる確率の高い女性(BRCA遺伝子に変異のある方)を対象に行われたのですが、対象者241名が計470回のスクリーニングテスト(CA125とエコー)を受けたところ、卵巣がんを発見できたのは3人だけで、3人とも既に進行がんだったそうです。

ところが今月になって、英国で進行中の別の調査のニュースが入ってきました。CA125をうまく使えば、エコーと組み合わせて有効な定期健診ができるかもしれない、というグッドニュースです。20万人以上の閉経後の女性を対象にしたこの調査では、CA125の数値自体より数値の変化を重要視しています。対象者は、ランダムにスクリーニングなし、エコーのみの定期健診(年1回)、エコーとCA125の定期健診の3グループに別けられ、検診と観察を10年間続けるというものです。最終結果は2014年まで分からないのですが、中間発表では、エコーのみで75%、エコーとマーカーの組み合わせで90%の卵巣がんが見つかったということです。しかも発見された卵巣がんの半分は初期だったそうです。またエコーのみのグループでは、診断を確認するために何回もテストを繰り返したり、手術をしてみたら癌ではなかったというケースが多かったのに比べ、CA125も取り入れたグループでは短期間に、より確実に癌を発見できました。

オランダとイギリスの調査結果が相違している原因一つには、対象者の年齢層があるのかもしれません。オランダの調査では35歳以上の比較的若い人が含まれているのに対し、イギリスの調査は閉経後の50から74歳の女性が対象です。CA125は閉経後の女性の方がはっきり反応がでると言われています。

卵巣がんのリスクが年をとるにつれて上がることも考慮に入れると、閉経後は毎年エコーとマーカーを記録して、前年との推移を観察していったら、癌の早期発見につながるのでは思うのですが、どうでしょうか。
私のマーカーも微量ながら確かに変化しています。

参考にした情報ははこれこれこれです。
posted by leo at 17:41| Comment(0) | 卵巣がんニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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