2011年12月18日

ホリデーを乗り切るコツ

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もうすぐクリスマスですね。この時期はのんびりしたカナダもさすがに賑やかです。クリスマスが近づいてなんだかワクワクした感じが街にあふれる一方で、クリスマスまでにあれもしなくちゃ、これもしなくちゃ、と片付ける事が山積みで忙しいというのも本音だと思います。ちなみに会社やちょっとした友達とのクリスマス・パーティーは12月の1〜2週に開かれることが多く、出かける機会がグッと増えます。そしてクリスマス当日に向けて家の飾りつけや人によっては帰省の準備。クリスマス・プレゼントだって子供用だけではなく、親、兄弟姉妹、親戚など相当な数を用意しなければなりません。そんな楽しいけれど疲れるホリデー・シーズンに向けて、癌の治療中や治療が終わったばかりの人へのアドバイスの記事を見つけたので紹介します。

@無理して出かけない
クリスマス・パーティーに招待されると、あまり気の進まない集まりでもつい出かけてしまうのはよくあることです。誘ってくれた人をガッカリさせたくない…とか、伝統行事だから…とか、顔を出すのが当然だと皆が思っているから…とか色々な理由があるでしょう。しかし行きたくなかったら行かなくてもいいのです。と口で言うほど簡単ではありませんが、「誘ってくれてありがとう。でも今回はご遠慮します。」と言う勇気を持ちましょう。体力が無いときは無理をしないのが一番です。パーティに行くとなれば、ドレスを着てお化粧をして、プレゼントを買ってラッピングをして、持参できるように2〜3手料理を拵えて…としなければならないことが沢山あるのです。当日は悪天候かもしれません。病気になったら、付き合いよりも自分を優先させることがあってもいいのです。

出席予定のパーティーの直前になって体調が悪くなった場合は、無理に出かけず相手に電話して欠席する方がベターです。相手はガッカリするかもしれませんがすぐ忘れます。自分を大事にして下さい。


A他の人にやってもらう
いつもなら自分の家でクリスマス・パーティーを開くという人も多いでしょう。しかしパーティーを開くには招待状を書くのに始まり、掃除、買い物、料理など準備に多大な労力を必要とします。素敵なパーティーにしたいというプレッシャーもあります。無理をしてはいけません。a) パーティーの主催を他の人に代わってもらう。b) どうしても自分の家で開きたいのなら準備を他の人に手伝ってもらう。c) 例年より招待客の数を減らしてこじんまりしたパーティーにする。といった方法で自分の身を守りましょう。周りの人はわかってくれます。わかってくれない人がいたとしたら、その人の方に問題があるのです。

B会話をそらす
パーティーで人が集まると身体の調子を尋ねられることも少なくありません。急に自分が癌であることを意識してストレスを感じる人もいます。そんな時は思い切って「何か別の話をしませんか?」とさらっと話題を変えてみましょう。難しいかもしれませんが周りの人は理解してくれます。

C買い物は簡単にすます
クリスマスの買い物が大好きな人もいます。商店の飾りつけ、美味しそうなお菓子、サンタクロースと子供達… そういったものを見て歩くのは楽しいかもしれませんが体力を要します。人ごみの中で買い物するのは辛いがクリスマス・プレゼントは用意したい、という場合は商品券を選んだらどうでしょう。最近は、レストラン、映画館、ホームセンター等ありとあらゆる種類の商品券をスーパーで手軽に買うことができ、貰った側も重宝します。商品券では物足りないのであればインターネット上で様々なギフトを購入することができます。きちんとした業者を利用すれば安全ですし、ラッピングをして送りたい人の住所に届けてくれるサービス付きです。

D食事には気をつける
ホリデー・シーズンにはものすごい量のご馳走が食卓に並びます。その大部分は身体に良くない食べ物です。健康な人なら「一年に一度だからいいや」と食べてしまいますが、病や治療で胃腸が弱っている場合は節度を守って食べないと後で苦しい思いをするばかりです。

↑この点については私からも補足します。欧米の人も最近は大分食事に気をつけるようになってきました。また経済的な面からも毎日ステーキなんか食べていたらエンゲル係数が高くなりすぎてて家計を圧迫します。だから肉、特に赤い肉(牛、豚、羊)はあまり食べない人が増えています。しかしホリデー・シーズンになると話が別なようです。この人たちはやっぱり肉食なんだなぁと実感するようなメニューに出くわします。例えば食前のつまみに生ハムやらサラミやらが出てくることがよくあるのですが、それがすき焼きのお肉(大盛り)くらいの量なのです。(そもそも加工肉は身体に一番悪いんじゃなかったかしら???)それを全部平らげたあとにメインの料理がまた肉の塊。甘いものだってオンパレードです。ケーキ、アイスクリーム、チョコレート、クッキー、キャンディー… 日本の上品なクリスマス・ケーキとは比較にならない砂糖の量です。見ているだけで歯が痛くなりそうです。

でも身体に悪そうな料理を美味しそうにムシャムシャ食べてる周りの人が健康で、サラダをつついている私が癌になったということから考えても、「肉食=癌になる」という法則はあまり当てにならないようです。ま、それだけ人間の体は複雑に出来ているということなのかもしれません。

日本も年末年始は忘年会、新年会などイベントが多いですよね。買い物に出かけると気晴らしになるし、家族や親しい友人とわいわい囲む食卓は普段より食欲をそそるのも事実です。癌になったからってソファで休んでばかりはいられません。でも健康な人と全く同じではないことも忘れない方がいいのでしょう。付き合いや義理立てはほどほどにして無理はしない。体調がすぐれない日はお休みする。手の抜き方を覚える。言い換えると、自分の身体を労わりながら社会生活を楽しむ方法を見つけるということだと思います。

それでは皆さん、楽しいクリスマスをお過ごし下さい!

(最後に全く関係ないですがクリスマス・ソングをひとつ。「Have Yourself a Merry Little Christmas 」です。オリジナルのJudy Garlandもいいですが私はこのColdplayのバージョンが大好きです。)



(ビデオの画像は元々静止画です。音声のみお楽しみ下さい。)
posted by leo at 17:09| Comment(7) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月13日

癌ブログ考

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また更新が途切れてしまいました。

最近なかなか書く気になれないのは:
@ネタが見つからない(新しい治療法も出てこないし…)
A面倒くさい(アメリカ癌研のツイッターですら最近チェックを怠ってるし…)
の他に
B癌ブログというもの自体に疑問を感じてきた
という理由もあります。

自分が癌になった時、覚書のようなつもりで深く考えずにブログを始めたものの、癌という深刻な病を題材にしたブログには様々な問題があるような気がしてきたのです。

同じ病気になった方の参考にしてほしい、というのがブログの一番の狙いですが、癌患者と言っても十人十色。標準治療(抗がん剤)派、代替療法派、無治療派など人それぞれです。他の病気であれば医師の言う事に従っていれば治ることが多いので、患者もあまり悩まないのかもしれません。しかし
@癌は転移、再発していると現代医学の粋を集めても治すことができない
A他の病気と比べて治療が荒っぽく、放射線や抗がん剤といった健康な人間には明らかに害となるようなことでも、癌を殺す為に耐え忍ばなければならない
といった厳しい現実から、患者、家族、外野と素人が入り混じって、ああでもない、こうでもないと意見を戦わせるような(不毛な)事態も起きてしまうようです。

そんなわけで、私は自分自身のことにはなるべく触れずに癌の一般情報のような記事中心へ方向転換して続けてきました。自分のことを詳しく書いてあれこれ意見されるのは、正直「うざい」と感じたからです。それでも他の人の治療経過が気になり、ほかの癌ブログを読むことはありました。そして一般的に癌の闘病ブログには:
@ブログ主が元気になっても続けていると外野がしらける
Aブログ主の病状が悪くなると盛り上がり、閲覧数やコメント数が上がる
Bクライマックスはブログ主の死
という何かやりきれないパターンが存在することに遅ればせながら気付いたのです。

一度ブログとしてインターネット上に載せてしまうと誰が読むか選ぶことはできません。ブログの人気が上がれば上がるほど、癌になったことのない健康な読者が小説やドラマを楽しむのと同じ調子で読む可能性は高くなります。なにしろ事実は小説より奇なりです。さらに、主人公が死ぬお話は昔から不思議と人気を集める傾向があります。

ブログ主が癌で亡くなるとブログの人気が急上昇する現象は、日本ばかりでなく海外でも見られます。

カナダ、ブリティッシュコロンビア州のDerek K. Millerさんは、2007年に大腸がんステージIVと診断されました。もともと執筆や編集の分野で活躍されていた方で、ブログも自分のホームページを立ち上げた2000年から続けており、特に闘病ブログという趣旨ではありませんでした。癌になってからの経緯や治療生活については時おり言及される程度だったようです。

悲しいことに、Derekさんは5月3日、41歳の若さで世を去られました。亡くなる前にブログの最後の記事を用意し、自分の死後に投稿するよう友人に託しました。その記事は大きな反響を呼び、公開後Derekさんのブログの閲覧数は爆発的に伸び、アクセスが300万を超えてサイトが一時パンク状態になった程でした。(英語だと世界中の人が読みますからね。)

“Here it is. I'm dead, and this is my last post to my blog.”
で始まり
“I loved you deeply, I loved you, I loved you, I loved you.”
という妻への言葉で締めくくられる最後の投稿は、確かに非常に胸を打つ内容でした。

文を書くのが大好きだったDerekさんにとって、最後の思いを文章にして発表し人生の締めくくりとするのは自然な成り行きだったのかもしれません。また思春期の子供さんが2人いらっしゃるので、その子達のために父親の形見として残してあげたいという気持ちもあったのかもしれません。

ただ世間の受け止め方が…何と言うか…こういう美談を求めていた…みたいな感じで。それがちょっと引っかからないこともないです。

私は物書きではありませんし、次世代に送る適当な言葉も思いつきそうにないので、自分の死はプライベートのままにしておきたいなぁと思います。(あっこんなこと書いたら病気がすごく悪化しているのではないかと心配される人もいるかもしれませんね。そうではないです。調子が良いとは言いませんがそこまで悪くもないです。まだしばらく人生を謳歌できる筈と期待しています。)

PS: 過去ログを読んだところ、Derekさんのブログは実に素晴らしい内容だったので来週あたりからボチボチ紹介させていただこうかと思っています。
posted by leo at 13:13| Comment(6) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月27日

CTスキャン考

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大地震に伴う原発事故については、在カナダ日本人の間からも不安の声が上がっています。住み慣れた我が家を離れて不自由な避難生活を送っている周辺住民の方々、危険と知りつつ復旧作業にあたる現場作業員の方々、せっかく育てた農産物を処分しなければならない農家の方々… さぞ苦労されているでしょう。一日も早く問題解決に向かうよう祈っています。

放射能の危険性について語る際に、しばしば引き合いに出されるのが医療現場での被爆です。放射線は癌の治療に用いられるばかりでなく、様々な検査にも使用されています。特にCTスキャンは普通のレントゲン等と比較して浴びる放射線の量が多いので、恩恵とリスクをよく考えた上で撮るかどうかを決めるべきと言われています。

アメリカのRadiologyInfo.org(患者向けの放射線情報サイト)によると、被爆量は以下の通りです。単位はミリシーベルトで、括弧内は自然に浴びる放射線量との比較と発がんリスク増加度です。

歯医者さんで撮るレントゲン:0.005 mSv (自然放射線1日分、発がんリスク増加→ほとんど無し)
胸部レントゲン:0.1 mSv (10日分、リスク→最小限)
マンモグラフィー:0.4 mSv (7週間分、リスク→とても低い)
頭部CT:2 mSv (8ヶ月分、リスク→とても低い)
胸部CT:7 mSv (2年分、リスク→低い)
腹部CT:15 mSv (5年分、リスク→低い)

そして、私たちがよく撮る造影剤なしでピピピっと1回、造影剤を入れてピピピっともう1回する腹部CTスキャンでは、被爆量も倍となり30 mSv (10年分、リスク→中くらい)です。

随分多いのねと思う方もいらっしゃるでしょう。でも喫煙に比べたらささやかな発がんリスク増加だそうです。また医療被曝の結果がんになって死ぬ確率は、高速道路の自動車事故で死ぬ確率と比べても低いと聞いたことがあります。

つまるところ、CTスキャンが本当に診断に必要であれば恩恵の方がリスクより大きく、多少被爆してもCTを撮る価値があるのだと思います。問題はあまり必要ないのに(レントゲンやエコーで十分なのに)CTスキャンを撮ってしまう「CT乱用傾向」が一部の医療現場で見られる点にあります。昨年発表されたアメリカの癌研究所(NCI)の試算によると、2007年の1年間にアメリカ国内で行われたCT検査が、将来29,000件のがん罹患に繋がるであろうという結果が出ています。一人ひとりのリスク増加度は少なくても、国民全体を合わせるとけっこうな数になるわけです。

また、強い腹痛のため救急医療科で診察を受けCTスキャンを撮った患者1168名へのアンケート調査では:
- CT検査や組織検査が含まれることで診断への信頼感が大幅増(20%→90%)
- 普通のレントゲンと比較してCTの被爆量が多いことに気付いていない(70%)
- 参加者の多くは医療現場での被爆と発がんリスクとの関係について知らない
という結果でした。

確かに体の不調を訴えているのにレントゲンを撮っただけで帰されたら面白くない人は多いでしょう。医師の側からすれば患者を満足させたいという気持ちがあるのかもしれません。それに検査しないで万が一にも重病の発見が遅れたら訴えられる可能性だってあります。一番困るのは、保険でカバーされてるからとりあえず撮っちゃおうと安易に検査を行うことで、これは健康保険が個人単位(国の財政を圧迫しない)のアメリカで多そうです。

さて、癌の患者がCT検査をするのは、10年先の発がんリスクより今ある癌をどうにかすることの方が先決なので、当然必要な処置だと言えます。完全寛解している人が定期的にCTを撮った方が良いのかどうかについては意見が分かれます。患者によっては心配性で、異常がないことをしょっちゅう確かめないと気が気でない人もいるでしょう。寛解中のCT撮影頻度については、マーカーが上昇するなり怪しい症状が出るなりするまで待った方がいいのか、何もなくても1年に1度くらいは撮った方がいいのか、いやいや癌は成長が早いんだから6ヶ月に1度は撮った方がいいのか… 医師によって様々な見方があるでしょう。患者としては、自分の価値観に合った方針を担当医とよく相談して決めていくしかないような気がします。

ちなみに私は癌と診断されてから今までに撮ったCTスキャン(頭部、胸部、腹部)の合計で292 mSvくらいは被爆しているようです。また来月撮らなくっちゃ〜。 

posted by leo at 20:35| Comment(2) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月17日

忘れられぬ朝

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カナダで暮らすようになって、ニュースで「earthquake」という言葉を耳にする度に、どこで起きたの?日本?といつも緊張します。日本でないとわかると正直ホッとします。(被害にあわれた国の方には申し訳ありませんが。)日本で地震があったというニュースを聞いた時は、まずインターネットで日本のサイトを開き被害がなかったかどうか確かめます。カナダやアメリカでは地震の大きさをマグニチュードのみで判断し、震度という測定方法は知られておらず、震源地の深さや震源地からの距離といった詳細にもあまり注意を払っていないような感じがするからです。

3月11日の朝6時(日本の夜8時にあたる)、目が覚めていつものようにラジオのニュースをつけました。日本で巨大地震発生の報に眠気がふっとびました。すぐにPCを起動し日本のニュースサイトで情報確認。私の家族は群馬県に住んでおり、親戚も埼玉、神奈川と震源地からは離れています。この距離なら大丈夫だろうと思いながらも一応電話をしてみました。が、電話は繋がりませんでした。

その日は一日中職場で日本の動画サイトが配信しているNHKのニュースを音声を消して見ていました。気仙沼の火事の映像を見て息を呑みました。夜通し余震が続いており、誘発された地震が長野あたりでも何度か起きた様子なので、帰宅後(日本で12日の午前中にあたる)再び実家に電話すると、3回目くらいでやっと繋がり母の元気な声を聞くことができました。

日本にいた頃(今から20〜30年前の話です)、東海地震や首都圏直下型地震は何時起きてもおかしくないなどと言われ、私が生きている間に必ず起きるだろうと自分でも考えていました。その後1995年に阪神・淡路大震災が起き、今度は東北地方太平洋沖です。どんなに科学が進んでも地球の奥底での動きについて正確に把握することは難しいのでしょう。

冬は寒いものの地震の心配の無いカナダ東岸に移り住み、癌になり、別に今すぐどうこうなる訳ではありませんが、これから先20年も30年も生きるかどうかについては大きなクエスチョンマークが付いてしまいました。日本で大災害が起きたという悲しい知らせを聞くのは、もうこれで最後なのかなぁという思いがふと胸をよぎりました。

人の命とは儚いものですね。沢山の沢山の健康な人の命が一瞬にして失われた事実をどう受け止めていいものか…言葉ではうまく言い表せません。

犠牲になった方のご冥福をお祈りするとともに、これ以上被害が広がらないこと、被災地に一日も早く平和が戻ることを願ってやみません。
posted by leo at 19:46| Comment(2) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月16日

非現実的な楽観主義

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治験に参加している癌患者は非現実的な楽観主義(Unrealistic Optimism)に陥っていることが多い、という調査結果が発表されました。ずいぶん野暮な研究をする人もいるものです。

調査対象はフェーズIまたはIIの新薬/試験薬の治験参加者72名で、肺がん、乳がん、白血病などの患者さんが含まれます。リスクの高いフェーズIやIIの治験参加ですから、既存の治療法が効かなかった人が一縷の望みに賭けて、という状況ではないかと推察されます。標準治療で完治/寛解が十分期待される病状なら、そんな治験に参加しないのが普通です。

治験には当然の事ながらインフォームド・コンセントの上で参加します。治験のリスクや恩恵を説明され理解して参加に同意しているのです。にもかかわらず、アンケートの結果によると:

- 60%の参加者は、試験薬が自分に効くだろうと非現実的なほど楽観視している。
- 39%の参加者は、試験薬の有害事象が自分には起こらないだろうと非現実的なほど楽観視している。

のだそうです。現実離れした期待は、治験の内容をよく理解している人の間でも見られました。

調査を行ったのは医学倫理、精神医学、心理学、行動心理学などの学者さん達です。癌患者の非現実的な楽観主義を、いわゆる前向きな姿勢の域を超えた現実逃避の心理的バイアスと分析しています。そして心理的バイアスが判断力を鈍らせインフォームド・コンセントを不十分にしているのでは、と疑問を投げかけています。

こう言っては何ですが、この学者さん達は全然わかってないですよね。治験だけでなく一部の標準治療だって、奏効率は低く副作用は重いことなんて珍しくありません。それが客観的な事実だとしても、その事実にこだわるっていたら進行/転移/再発した癌患者はやってられません。「成功する確率が10%もあるから絶望する必要なんてないわよね〜」と笑っていられる人がどれだけいるでしょうか。効くか効かないかわからない。どんな副作用が起きるかわからない。という状況と知りながら、きっと効く、副作用だって何とかなる、と思って治療に臨むのが普通でしょう。例え非現実的だろうと、その方が精神衛生上いいのです。

その反面、確かに癌治療に対して非現実的な期待を持っている人も存在します。患者自身より周りの人間にそういうタイプが多い気がします。私の友人、知人に「奇跡の薬など存在しない」と何回説明したかわかりません。新しい薬や治療法が報道されると、それを小耳にはさんで深い部分までは考えもせずに「凄い薬があるんだってね〜」と無邪気に喜んでいる人をよく見かけます。どうすれば癌を予防できるか、どうすれば癌を早期発見できるかについても、テレビや雑誌で紹介された内容を額面どおりに受け取りすぎて、実際はそう単純ではないことをわかっていない人が結構多いです。

治験の話に戻りますが、例えば治験のインフォームド・コンセントを取る際に、口頭でリスクについてはサラッと流し、恩恵(の可能性)を中心に説明する医師もいるのではないでしょうか。でもそれは必ずしも患者を騙そうとしているのではなくて、患者を力づけようという善意から…と私は考えたいです。恐らくそういうアプローチの方が患者受けも良いという気がします。非現実的な楽観主義は、癌という厳しい現実に押しつぶされない為に人の心が生んだ防衛メカニズムなのかもしれません。


(引用元はLAタイムス学術誌のアブストラクトです。)
posted by leo at 17:05| Comment(0) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月10日

麻薬と薬

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癌が進行するにつれ痛みの管理は深刻な問題になっていくようです。いつものんびり構えていて、まぁ癌も身体の一部だからね〜などと寝ぼけたことを言っている私も、この点について考えるとしょぼ〜んとしてしまいます。まっ今から悩んでも仕方ないんですが。

疼痛緩和の代表的なお薬はオピオイド系の鎮痛薬です。麻薬の取締りが厳しい日本では「医療用麻薬」などと呼ばれ、使用を躊躇する人もいるかもしれません。しかし、医師の監督下で癌の痛み止めとして使うオピオイドで麻薬中毒になることはありません。痛みは我慢せず積極的に緩和処置を受けることをお勧めします。欧米では癌だけでなく、関節炎や線維筋痛症、腰痛などにオピオイド系の鎮痛薬が処方されることも少なくないそうです。ただ、このカテゴリーでは時おり薬物乱用のケースも見られるため、各国で医師向けのガイドラインを作成し、オピオイド薬が必要な患者の絞込みやオピオイド処方後の経過観察の強化など、薬が正しく使われるよう慎重な取扱いを呼びかけています。

で、ここから先は癌とは関係なくなってしまうのですが、オピオイド薬を単に麻薬として使うオピオイド中毒者も残念ながら増加の一歩を辿っています。もちろん欧米での話です。仮病を使ったり、処方箋を改ざんしたり、闇ルートで売人から買ったり…あの手この手でオピオイドを入手しているようです。もっと恐ろしいのは、オピオイド欲しさに薬局に強盗に入る若者がアメリカで続出していることです。(国柄の違うカナダはではさすがに強盗事件は起きていません。)

アメリカの薬局強盗は過去3年間に1800件以上発生しました。州別に比較すると、件数が多いワースト5はフロリダ、インディアナ、カリフォルニア、オハイオ、ワシントン。昨年1年間に最も件数が増加したのはメイン、オクラホマ、オレゴンでした。強盗の目当てはオキシコンチン。銃、鉈、ナイフ、電気ドリルなどの武器を手に襲撃してくるのですから薬局だってたまったものではありません。オキシコンチンの取り扱いを一切止めてしまった薬局もあり、近所の薬局で痛み止めを買えなくなってしまった癌患者はいい迷惑です。

オキシコンチンを販売している製薬会社(Purdue Pharma)は、薬屋さんを対象に強盗防止策や強盗にあった際の心得の講習を開いています。不運にも強盗にあってしまったら逆らわずに言うとおりにするのが一番。防止策としては:

- より高度な防犯カメラを設置する。
- 強盗が飛び乗れないようにカウンターを高くする。
- ショーウィンドウを防弾ガラスにする。
- 客がブザーを押さないとドアが開かないようにする。
- 店内ではフードやサングラスを着用しないよう客に求める。
- 保管庫にタイマー付きロックを取り付け、一度に少量しか出せないようにする。
などが挙げられます。

麻薬としてのオキシコンチンの相場は1ドルで1mg。80mg入りの錠剤なら1錠が80ドル。いいお値段です。そのため強盗に入るのは中毒者本人だけでなく、一儲けしようと目論む売人も含まれるそうです。オピオイド薬は、鎮痛効果は高いですが眠気や便秘といった副作用を伴うので、服用せずにすむなら服用したくない…と考えるのが普通なんですけどね〜。痛みのない人が飲んだ場合にどんな薬効が現れるのか想像もつきません。

最後に「医療用麻薬」の話に戻りますが、実はカナダでは医療目的に大麻を使用することが許されています。「医療用大麻」です。癌、エイズの他、多発性硬化症、脊椎損傷、癲癇などの症状を緩和するのが目的で、これらの疾患を持ち大麻の使用を希望する人は国に申請書を出して許可を貰います。許可が下りたら、自分で大麻を栽培するか(笑)、国から大麻を購入するか(爆笑)のチョイスがあります。国からの大麻購入費用は州の健康保険の適応外ですが、種を買って自分で栽培する場合は、栽培にかかる費用が税金控除の医療費枠に含まれます。カナダって変な国でしょ。
posted by leo at 14:09| Comment(2) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月15日

励ますつもりが逆効果

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家族や親戚、友人、知人。身近な人が重い病気にかかったと聞いて、何か少しでも自分にできることはないかと考えるのはごく普通の心理です。しかし善意が空回りして、肝心の病人は「気持ちは嬉しいんだけど…」と内心疲れてしまうことも時おり起こります。また心配してくれているとは言え、健康な一般人というのはその病気について大なり小なり誤解していることが少なくありません。意図せず病人をイラっとさせるような発言をしたり行動をとったりすることもあるようです。

Glenn Rockowitzさんはアメリカのコメディアンです。癌と診断され余命3ヶ月と宣告されたのは28歳の時でした。治療の甲斐あって奇跡の回復を遂げるも、その後次から次へと計4つ、原発の異なる癌になり担当医から「君の身体は癌の製造所みたいだ」と評されたそうです。しかし11年後たった現在もRockowitzさんは元気で暮らしています。治療のかたわらに癌との闘いを綴った本を出版したり、「Change It Back」という若年層(15〜39歳)の癌患者をサポートするNPOを立ち上げたり大活躍です。コメディアンならではの、人生のどんな厳しい局面でも笑いを見出す明るさがパワーの源なのかもしれません。

How not to cheer up a cancer patient」は、Rockowitzさんが地元シアトルの新聞に寄せたとても楽しい記事です。意訳すると「癌患者をガクっとさせる励まし方」とでも言いましょうか。ユーモアと皮肉たっぷりに患者の本音を明かしています。やってはいけないことは以下の通りです。

1.ベストセラーの闘病本を贈る
受け取る側にすると、その本ばかり何冊もたまってしまって困る。またどんなに心を動かす内容だったとしても所詮は他人の闘病。癌と診断された当人はショックや不安に押しつぶされそうになりながら、自分の癌について最低限の知識を得るのに必死。他の人の話に感動している精神的余裕は無い。その闘病本の作者が既に亡くなっている場合はさらに問題。本を贈る場合はその点までよ〜くチェックすべし。

2.誰々さんの癌が治ったという話
妹の友達のお母さんが20年前に癌になったが完治した…という類の話を延々と聞かされるとうんざりする。その方が完治されたのは素晴らしいことだが、癌の部位もステージも、治療法だって違うのに自分に当てはめて考えろと期待されても困る。その手の話をするなとは言わないが、こちらの話にも耳を傾け状況の違いを理解すべし。

3.メールとネット情報
患者の力になろうとしてネットで集めた癌の情報をメールしてくる人が多い。しかしネットの情報は玉石混合であることを考慮に入れていない。代替療法を否定するつもりはさらさらないが、パンダの爪を煎じて飲んで膵臓がんが治った人には未だ会ったことがない。癌の治療は時間との闘いでもあり、風変わりな療法を2ヶ月試してみる暇がないこともわかってほしい。

4.正直になれ
誰かが癌になったと聞いて何と言葉をかけてよいかわからない…と感じるのは当たり前の反応。取って着けたような励ましの言葉をかけたり、知ったかぶりの知識で癌についてああだのこうだの語るのは止めた方がいい。癌患者は正直な会話の方を好む。「何もわからないし上手い言葉も見つからないけど心配してるよ。自分に出来ることがあったら何でも言ってくれ。」くらいが適当。癌については何も知らないと素直に認めるだけでも感心する。

5.涙はほどほどに
自分の愛する人間が苦しむのを見るのはとても辛いことだ。自分も父親を看取った経験がありよくわかる。しかし…涙は本当に事態が深刻になった時まで取っておいて欲しい。患者にとって自らの死と向き合うのはかなりのストレス。その上さらに家族や恋人の精神状態まで気遣わなければならないのは荷が重過ぎる。誰かの肩で何時間も泣きたい場合は相応しい相手を見つけるべき。患者本人に慰め役をさせるべからず。

6.面会マナー
こんなことは誰でも知っていると思いきや首を傾げるような人も意外と多い。まず入院している患者は身体的に心地よい状態ではないことを忘れないように。5時間に及ぶ腎臓の手術後、麻酔から覚め最初に目に入ったのは、ベッドの足元に腰掛けてスタバのパンプキンスパイスラッテを片手にくつろいでいる家族の姿だった。おいおい、こっちは48時間も絶食状態なんだぞ。少しは時と場合を考えてくれ。手術から日の浅い頃ケンタッキーフライドチキンを手土産に見舞いに来た友人もいた。一体どういうつもりなんだろう。

7.カンパと礼状
癌治療のために病気休暇をとった時、ありがたいことに職場の仲間がカンパしてくれた。ところが回復して仕事に復帰したら「いや〜あの時のカンパ、税金控除の対象にもならなかったよ」と言った奴がいる。癌患者への寄付、カンパと一般的な投資や貯蓄プランを一緒にしないで欲しい。患者が元気になることが利益に相当しているのがわからないのか。それから闘病中に世話になった人に礼状を送らないとヒンシュクを買うのではと心配している患者もいる。本来親切とは見返りを期待しないもの。礼状が来ないと相手が感謝していないと考えるのは間違ってないか?

8.実際にあった失言集
「もっとリラックスしろ。」
「もっと身体に気をつけていればよかったのに。」
「どうして兆候に気づかなかったの?」
「これを機会に生き方を変えろ。」

…何か落ち度があったから癌になった…とでも…?こんなこと言われたらムッとしますよね。
悪気は全くなくても、ちょっとした言動で患者がイラついたり傷ついたりすることはあります。日本は欧米に比べると無神経な人が少なく周囲の人も精一杯気を使っているのだとは思いますが、患者にとって本当にプラスとなる励まし方をするのは結構難しそうです。
posted by leo at 17:49| Comment(0) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月20日

乳がんブレスレット騒動

アクセス数を見ると、抗がん剤や治療法の海外での研究に関する真面目な投稿を読んで下さる方が多いようです。が、ここ最近忙しくきちんと調べる時間もないので、今日はトリビアの泉のような軽い小ネタで失礼させていただきます。

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写真のブレスレットは、The Keep A Breast FoundationというカリフォルニアのNPOがキャンペーン用に販売しているものです。この団体は、若い世代(主に10代)における乳がんの認識強化を目的としており、早期発見や罹患リスクの低減について理解を深めるよう啓蒙活動を行っています。相手がティーンエイジャーだからなのか、それとも団体を立ち上げた人の趣味なのかはわかりませんが、ノリがファンキーでヒッピー風であります。

で「i ♥ boobies!」と書かれたブレスレットですが、ゴム製で1個3.99ドル、6個入りパック22.99ドル。The Keep A Breast Foundation特約のオンラインストア等で売られており、中/高校生の間でなかなか人気を集めているようです。乳がんの認識を向上するために役に立つかどうかは疑問ですが、別に害はないと思いきや、実はこのブレスレットが物議を醸しているのです。

問題は「boobies」という言葉。日本語にするなら「おっぱい」という感じでしょうか。「breasts」即ち「胸」と言うのに比べると「boobies」はお下品な表現。(若い人は普通に使う言葉なんですけどね。)従って「i ♥ boobies!」を訳すと「おっぱい大好き!」になります。そのため、あちこちの学校で着用禁止となっているのだそうです。挑発的な表現は教育現場にそぐわない、というのが禁止にした学校側の言い分です。このブレスレットを着けていたために停学になった生徒もいるのだとか。アメリカの(カナダも同様ですが)ミドル/ハイスクールは制服のない所がほとんどで、日本と比べると校則もゆるいという印象がありますが意外と固い面もあるのです。

さらに驚いたことに、停学になったことを不服として学校を相手に訴訟を起こした人まで現れました。ペンシルバニア州の中学生、Kayla Martinezさん(12歳)とBrianna Hawkさん(13歳)は、学校の乳がん認識デーである10月28日に「i ♥ boobies!」のブレスレットを着けて登校しました。学校で禁止されてはいるものの両親の許可は得ていました。初めは一応シャツの袖で隠していたのですが、何せ中学生。昼食時には大っぴらにブレスレットが見える状態になっていました。そして風紀の先生に見つかり停学処分。そればかりか学校主催のダンスパーティーへの参加も禁じられてしまいました。

乳がん認識デーに乳がん認識向上を呼びかけるブレスレットを着用して処罰されるとは何事ぞ!と怒ったのは2人のお母さん達。American Civil Liberties Union (アメリカ自由人権協会)を通して、言論の自由の侵害を理由に学校側を訴えることにしました。

笑い話ではないんですよ。訴訟社会ですからね。因みにKaylaさんとBriannaさんにとってはダンスパーティーに行けないことが一番ショックだったらしく、裁判長が学校当局にパーティー参加を許可するよう命じてくれることを期待しています。

アメリカ、カナダでは女性8人に1人の割合で乳がんになります。中学生といっても家族、親類、近所の人、友達の家族といった身近な人間の誰かが乳がんになっている確率は少なくありません。また白人、黒人の子供は発育が早く13〜14歳で大人の体型に近づきます。昨年5月にはカリフォルニアで10歳の女の子が乳がんと診断される病例が報告されています。子宮頸がん同様、乳がんについても若いうちから正しい知識を身につけさせておくべきなのかもしれません。

ただ「i ♥ boobies!」キャンペーンについては、深刻な問題を単純化、矮小化しすぎている、と批判の声も上がっています。オープンに扱うことで一昔前の癌の暗いイメージが払拭され、癌になったことを恥じたり隠したりする人が減るのは良い傾向ですが、度が過ぎるのは考えものという事だと思います。このままエスカレートして「乳がんってセクシー!」などという、とんでもない勘違いがティーンエイジャーの間で広まらぬことを祈るばかりです。

(元にしたのはTIMEの記事です。)
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2010年11月06日

ロックンロール・ドクター

アメリカ、カナダそして多分イギリスやオーストラリアでも同様だと思いますが、一応ロックの本場ということでバンドを組んでいる人がやたら沢山います。それも若い人だけでなく、弁護士やビジネスマンといったロックのイメージからかけ離れたキャリアで活躍しながら、余暇にミュージシャンをやっている人も結構います。医師とて例外ではありません。

N.E.D.は癌の専門医、それも婦人科腫瘍医(Gynecologic Oncologist)が結成したロックバンドです。メンバー6名は全員、現役ばりばりの婦人科腫瘍医(主に外科)で、バンド活動はあくまでも副業ですが、昨年CDを出しプロモ用にこんな素敵な写真まで用意してあります。

NED.jpg

バンド名のN.E.D.はNo Evidence of Diseaseの略。日本の癌治療現場でも使われている用語らしいのでご存知の方も多いでしょう。「無病生存状態」、つまり画像診断で目に見える癌がゼロの状態を意味します。治療を終了した寛解中の人が、定期健診の時に一番聞きたい言葉だと思います。

バンドを始めたくらいですからメンバーのドクターは皆ロックが大好きなのだと思います。しかしバンドは遊びでやっているのではありません。音楽活動を通じて一般社会における婦人科癌の関心を高め知識を深めるのが目的です。バンドのホームページにも、卵巣がん、子宮頸がん、子宮内膜がん等について、病気の概要、リスク要因、症状、スクリーニング法などの情報を載せています。CDの売り上げは全てGynecologic Cancer Foundation(婦人科癌基金)に寄付されます。さらに9月の卵巣がん認識月間には各地のイベントをツアーして回るという力のいれよう。趣味と実益を兼ねるとは正にこの事ですね。

同じ女性の癌でも、婦人科の癌は乳がんと比べて認知度が低いです。勿論、乳がん患者さんの中には、派手でちゃらちゃらした感じのピンクリボン運動に疑問を感じていらっしゃる方も少なくないでしょう。しかし婦人科の癌になった人から見ると、あれだけ社会で注目されて、一般市民や協賛企業から桁違いの寄付金が集まり(欧米の話)豊富な研究資金の一部となっているのは羨ましい気がします。そもそも婦人科系の癌は下半身の癌なので、オープンに話すのが何か憚られるような感覚がつきまとっているのです。

婦人科腫瘍医のロックバンドは、そうした婦人科癌の地味なイメージを払拭し、患者を元気づけ、自分に自信を持たせるのにも役立っています。不謹慎と批判する声はなく、「かっこいい〜!」「イェ〜!」と素直に盛り上がるのが西洋の感覚。もともとアメリカやカナダのドクターはフレンドリーで親しみやすい人が多いのですが、医師と患者の間の垣根をさらに低くする効果もあるようです。



(埋め込み動画の見られない方はこちらのリンクをお使い下さい。)

将来もし抗がん剤で脱毛するようなことがあったら、黒い革ジャンに黒サングラスでパンクロッカー風にしようかな〜と考えている私にとっても、こういうバンドの存在は励みになります。
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2010年08月19日

癌になりたい人

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癌になりたい人など多分この世にいないと思います。しかし自分は癌であると偽りお金を騙し取ろうとする輩はどこの国にもいるようです。そういう不届き者がカナダにも現れ、先週ずいぶんとマスコミを騒がせていました。

詐欺罪で起訴されたのはオンタリオ州バーリントン市に住む23歳の女性、Ashley Kirilowです。Kirilowは髪と眉毛を剃り落とし見かけを癌患者風に変え、”Change” for a Cureという架空のチャリティ団体を立ち上げました。彼女の作り話を信じた地元の人達は、イベントを幾つも催して募金集めに協力したそうです。お金は”Change” for a Cureを通じて癌治療法の研究資金として寄付される筈でしたが、実際にはKirilowが使ってしまいました。騙されたのは周囲の人だけではありません。KirilowはFacebookとMySpace(どちらもSNS)でも、複数の癌を患い不治の身であるという虚偽のプロフィールを掲げて支援を募っていたのです。つるつる頭にスカーフを巻いた姿や抗がん剤点滴風の針の刺さった手の写真まで載せ、悲劇のヒロインを演じました。

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まったく呆れ果てた女性ですが、もともと虚言癖など言動に問題が多かったらしく、家族は「係わり合いになりたくない」と保釈金支払いを拒否したそうです。騙された友人・知人の大部分は怒りをあらわにしていましたが、中には「癌ではないが心を病んでいるのは事実。手を差し伸べてあげるべき。」と寛大な意見を述べる人もいました。

同じような事件はアメリカでも起きています。テネシー州の元市職員Keele Maynorは進行、転移した不治の乳がんであると嘘をつき、同僚をはじめ地元住民から多額の支援金を騙し取りました。Maynorは髪を剃ったり杖をついたりして、なんと5年も偽装を続け、支援者の中には彼女の家賃や光熱費を払ってあげる人までいたという話です。ブログもやっていて、末期がん患者の胸のうちを切々と綴ってウソの上塗りに努めました。Maynorは法廷で罪を認め、人から同情されたり気遣われたりしたくて病気のふりをしたと述べたそうです。3人の子持ちであることから親族や友人は情状酌量を求めていましたが、7月末に実刑42ヶ月という厳しい判決が下りました。

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これらの事件には共通の要素があるように思います。

まず、癌を装うのは他の病気(例えば心臓病)を装うのより簡単だということです。癌イコール脱毛というイメージが社会全体に深く浸透しており、ステレオタイプ化しているからです。特に、癌と縁のない幸せな人達は、抗がん剤には沢山の種類があり、全ての薬が脱毛を引き起こすわけではないことを知りません。さらに、アメリカやカナダでは治療で脱毛してもカツラをかぶらない女性が大勢いる、という背景もあります。ノーウィッグ派の中には帽子やスカーフを着用する人と、それすら着けずに堂々と外出する人と両方いるようです。フェミニズムの流れなのかもしれませんが、癌になったことも治療で髪を失ったことも恥ずかしいことではない、よって隠す必要も無いという発想だと思います。そして皮肉なことに、こうしたオープンな態度が癌のふりを容易くしてしまったよう感じます。

また、ニセ癌患者はお金だけが目当てなのではなく、他人の気を引くことにも執着しているという特徴があります。いわゆる寂しい人、かまってちゃんなのです。同情されたい、優しくして欲しい。そのためについた嘘が雪だるま状に大きくなるのを止める勇気が無い。まさに弱さの塊です。本当に癌になった人というのは逆だと思います。癌になったのはショックだし治療もしんどいけれど、出来るだけ長く社会参加を続けたい。必要以上に特別扱いされたくない。励ましは嬉しいけれど、可哀想だとは思ってもらいたくない。そんな気持ちで生きている人が多いのではないでしょうか。だいたい癌という手強い病気の相手をするのには精神的にタフでないとやっていけません。

それから、これは同じ女性としてとても残念なのですが、癌詐欺を行うのは女性が多いという印象を受けます。外見的に真似しやすいのと(男性だと剃髪だけでは誤魔化せない)、周囲への依存心の強さ(助けてもらうことに抵抗がない)によるのかもしれません。

癌を装う死ぬ死ぬ詐欺というのは日本でも起こったと聞きました。ただ日本の場合はネット上の匿名行為のようなので、法的に処罰するのは一層困難かと思います。アメリカやカナダでは実名で、職場や友人、地域社会など身近な人から騙していくという傾向があります。ネットは、自分の作り話に酔いしれたり、より多くの人の同情を誘う場として併用されている状況です。

癌になった者として、ニセ癌患者の存在は腹立たしいと言うより不可解そのものです。そんなに癌になりたいのなら私の癌を差し上げますよ、というのが正直な気持ちです。無論、倫理的な問題は明らかです。健常者が身体障害者の真似をすることが許されないように、生死にかかわる病を装うのは恥ずべき行いです。お金を騙し取られた人にしてみれば、善意を踏みにじられたのですから怒って当然。当事者の被害以外では、詐欺事件がまっとうなチャリティ活動に及ぼす悪影響が気がかりです。欧米では、チャリティ経由の寄付金は癌研究の大きな資金源となっています。税金や製薬会社からのお金のみでこんなに沢山の臨床試験が可能になっているわけではありません。リレーフォーライフやピンクリボンなど癌がらみのチャリティイベントは無数にあり、それらの主目的は将来癌の犠牲になる人を減らすこと−即ち癌研究のための資金集めなのです。助け合いの精神が社会全体を良くするための原動力となる、という共通の理解の上に成り立っているシステムを崩さぬためにも、癌患者のふりをするのはやめていただきたい思います。
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2010年07月02日

ポジティブの嘘

バーバラ・エーレンライク(Barbara Ehrenreich)はアメリカのノンフィクション・ライターです。著作には社会、経済問題を扱ったものが多く、日本語に翻訳されている作品も幾つかあります。著作活動以外では、フェミニスト、民主社会主義者として長年にわたり市民運動に深く係わってきました。エーレンライクさんの最新作、「ポジティブ病の国、アメリカ」(Bright-sided: How the Relentless Promotion of Positive Thinking Has Undermined America)は、アメリカ独特の過剰なポジティブ思考に対する鋭い批判で、別に癌が主題ではありませんが、ご自身が乳がんを患った際の体験が出発点になっています。作中、ポジティブな思考、姿勢は癌の治癒に無関係、と辛らつに釘を刺していますが、ここで言うポジティブはアメリカ独特のドグマ的、無理やり的なポジティブさを指しており、自分の予後に対して根拠もないのに悲観的になったり、落ち込んだりしろと言っている訳ではありません。

私がゴチャゴチャ書くより、ご本人が直接語っている動画を見つけましたので添付します。興味のある方はご覧下さい。(音量注意)埋め込みが機能しない場合はこちらのリンクをお使い下さい。



エーレンライクさんは70年代に盛んだったWomen’s Health Movementの一員でした。Women’s Health Movementは、いわゆるウーマンリブ(死語?)の一環として立ち上げられ、女性の身体について女性自身が知識を深め、女性の健康管理には女性が主導権を握ろう、という運動らしいです。活動内容は幅広く一口で説明するのは不可能ですが、例を挙げると、それ以前は投薬を含め医療処置の内容について詳しい説明がなされず、女性は何も知らずに医師の指示に従うだけでした。そのため身体に負担が大きかったり弊害のある治療法がまかり通っていたのが、Women’s Health Movementをきっかけに改善に向かいました。また当時は乳がんの治療というと全乳房切除、それもハルステッド法という生涯後遺症の残る手術法が標準治療でした。組織検査から手術まで麻酔からさめることもなく一気に行われ、患者への意思確認もなく選択の自由も与えられませんでした。これに抗議したのもWomen’s Health Movementだったそうです。

そうした経験を積んできたエーレンライクさんにとって、うわべの明るさや元気のよさばかり追い求める現代のポジティブ思考は、胡散臭く感じられるのかもしれません。ピンクリボン運動のちゃらちゃらした雰囲気に馴染めないのも当然かと思います。ただ女性にも色々な人がいますから、ピンクのテディベアやスリッパが好きな人やキモ中のメーク教室に行くのが本当に楽しい人だって存在するでしょう。そういう意味で、患者サポートは硬軟両方のアプローチが必要なのかと思います。

エーレンライクさんは非常に現実的な人なので、希望や奇跡といったあやふやなオプティミズムよりも、治療法改善の要求といった具体的な行動に意義を感じているよう見受けられます。キモセラピーについては、確かに文句も言わずに笑顔で受けている人が多いけど、本音ではどうなんだろうと私も疑っています。文句を言っても仕方がないという諦めから、「副作用は大したことないの(ホントはあるけど)」と言っている人も多いような気がします。もっと患者が怒ったら副作用軽減に力をいれた、患者本位のがん研究が進むのかもしれません。お祭りムードのチャリティーウォークに参加するのは止め、弾幕を掲げて癌センター前で抗議デモをするべき時が来たのかもしれません。(笑)

最後に比較用としてもう一つ動画を添付します。エーレンライクさんと対照的に、アメリカのポジティブ思考を絵に描いたような癌サバイバーのフラン・ドレシャー(Fran Drescher)さんです。子宮体がんを克服したドレシャーさんはTVタレントで、現在は子宮体がん認識向上運動などのチャリティーに積極的に参加しています。インタビューはアメリカの人気番組The Oprah Winfrey Showの一部で、主流派のアメリカ人にとって「正にこうあるべき」といった内容です。癌は贈り物だと言っています。(画像が見られない人はここをクリックして下さい。)


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2010年06月25日

たかが言葉、されど言葉

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一週間くらい前に、日本産科婦人科学会が「子宮がん」という用語を廃止するよう要請しているというニュースを目にしました。子宮体がんと子宮頸がんの区別をはっきりさせる為だそうです。確かに、死亡診断書に「子宮がん」という曖昧な表記をするのはどうかと思います。また、PAP検査を「子宮がん検診」と呼んでしまうと、体がんと頸がんの両方のスクリーニングなのかと誤解する人も出そうです。

よく考えてみたら私もカナダに来るまで、子宮の癌に体がんと頸がんがあるということを理解していなかったような気がします。英語では子宮体がんはEndometrial Cancer(子宮内膜がん)、子宮頸がんはCervical Cancerと似ても似つかぬ単語なので、鈍い私にも違いが明確になりました。日本でも2つの癌の違いを無視していた訳ではなく、昔は子宮の癌というとほとんど頸がんだったため、子宮頸がんを子宮がんと呼んでも問題が起きなかったらしいです。一方、英語圏では子宮頸がんは常にCervical Cancerで、Uterine Cancer(子宮がん)という非公式な言葉が使われる場合は子宮内膜がんの方を指します。

用語が変わったと言えば、私が日本で暮らしていた頃ナースは看護婦でした。いつの間にか看護婦が看護士という呼び方に変わったようだ、とネット上の表記から気づきました。こういうのをgender neutral(どちらの性とも特定しない)って言うんですよね。男性が看護職につくこともあるという現実を反映しているだけでなく、多分politically correctなんだと思います。英語のnurseは一見gender neutralのようですが、小説など読んでいると男性のナースが時折male nurseと表記されていることはあっても、female nurseという表現には行き当たったことがありません。「ナースは女性とは限らないが普通は女性である」、という認識が一般的なのかもしれませんね。

話は少し変わりますが、日本語の癌に関する記述に出てくる用語の中に、あまり好きになれない言葉が幾つかあります。その筆頭が「憎悪」です。癌が進行、増大することを指す医学用語のようです。医学用語として定まっているのに好きも嫌いもないですが、どうしても抵抗があります。相当する英語の言葉はprogression(進行)で、「憎悪」のようなおどろおどろしさはありません。どうしてprogression(進行)がhatred(憎悪)になってしまったのか首を傾げています。ネガティブな響きの言葉の方が癌にしっくりくるからでしょうか?(まさかね。)他の進行性疾患と分けたいからでしょうか?理由は何であれ、嫌な言葉なので自分で使うのは気が進みません。


    (追記)
    コメントで「憎悪→×、増悪→○」と指摘していただき、もう一度調べてみたところ
    どうやら漢字の誤用で「憎悪」と表記された日本語文を複数ネット上で見かけた
    ことから誤解が生じていたようです。「増悪」は「病状が悪化すること」で、癌に
    限らず病気一般に使われる言葉だと知りました。そう言われてみるとmake sense
    します。日本語では病気は悪化するもの、英語では病気は進行するもの、という
    違いなんですね。勉強になりました。

    「増悪」は「憎悪」よりは少しましなものの、悪が増殖しているようなイメージで
    やはり怖そうな言葉だな〜という感じがするので私はパスします。


それから「末期がん」という言葉も、どうも馴染めません。何だか陰気で悲壮感に満ちた響きだからです。英語にもterminal cancerという言葉はあり、緩和ケアのみでほとんど寝たきりといった終末期の状態を指すことが多いようです。延命治療を受けているうちはまだterminalではないという印象があります。進行がん(advanced cancer)や再発がん(recurrent cancer)はincurable(不治)かもしれないけれど、incurableイコールterminal(終末)ではないのです。もっとも日本人には、「末期がんに奇跡を起こそう」と最後の最後まで治る努力を続ける超人的な粘り強さがあります。欧米人の場合、自分がterminalであると自覚した時点で死を受け入れているように見えます。諦めると言ったら言葉が悪いですが、要は気持ちを転換して安らかに旅立てるよう心の準備を始めるわけで、それは別の意味で強い精神力を要することだと思います。まあその辺りのニュアンスの違いは、異なる文化における生死感の違いなのでしょうね。

最後にもう一つ、「闘病」という言葉。目にする度に違和感を覚えます。この発想は英語圏でも同様で、battling cancer(癌と闘う)は決まり文句のようです。ご丁寧に頭にcourageouslyをつけて「勇敢に癌と闘う」と表現することもよくあります。勇敢もへったくれもないですよね。癌になった人はたまたま癌になっちゃって、嫌だけどだからといって人生を投げ出すわけにもいかないから、治療を受けながら出来るだけ楽しい日々を過ごそうとしているだけなんじゃないでしょうか。私はそんな風に受け取っています。まあ、人によってはもっと気合が入っているのかもしれませんが。そういえば以前掲示板で自分のことをovarian cancer warriorと呼んでいる人がいたなぁ。愛の戦士ならぬ卵巣がんの戦士か… う〜ん、もういっそのこと「癌の治療」→「癌の攻略」、「腫瘍内科医」→「化学戦参謀」と用語変更したらどうだろう、なんてくだらない事を考えて憂さを晴らしています。

ところで4月のCT検査で見つかったダグラス窩の小粒ですが、2週間ほど前にまたCTを撮ったところ…やはり消えてはいませんでした。3ミリほど成長して1センチくらいになりましたが、相変わらず一人ぼっちで大人しくしている様子です。ドクターに「これ、癌なんでしょ?」と聞くと、「そうね〜、少し大きくなったしね〜」と言いながらも今ひとつ確信がなさそう。で、小粒を除くと怪しい兆候は写っておらず、腹水も無いのでもうしばらく観察を続けることになりました。次のCTは10月の半ばなので、治療のプレッシャーもなく短いカナダの夏を満喫できることになりました。とりあえず良かった〜!
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2010年06月05日

トロピカルな悩み

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She is hot.
英語でよく使われる表現です。恋愛対象としてとても魅力的なことを指します。セクシーと似ています。

更年期の症状で悩まされている女性にとっては、何か皮肉な響きがあります。

癌のリスクは年齢に伴い上昇しますが、上皮性卵巣がんも患者の過半数は60代以上。閉経後に癌になるケースが多いそうです。運悪く閉経前に卵巣がんになってしまった場合は、手術による卵巣切除をきっかけに更年期がいきなり始まります。似た状況は子宮がんや乳がんでも起こります。

日本語では卵巣欠落症と呼ぶのが正しいのかな?英語では更年期はmenopause、卵巣切除で始まった更年期はsurgical menopause、抗ホルモン療法などの薬物治療で起こった更年期はchemo-induced menopauseと言います。人工的に突然始まった更年期は、徐々に起こる普通の更年期よりも強い症状を伴うことが多いそうです。

私自身は普通の人より10年くらい早く自然に閉経(自慢にもなりませんが…汗)、更年期突入後に発病したため、手術や化学療法の影響は全くありませんでした。しかもカナダという国は1年の内8ヶ月は肌寒い、少し寒い、寒い、とても寒い、寒くて死にそう、という「寒い」のバリエーションなので、多少身体が火照っても気にならないどころか、むしろ都合が良いくらいなのです。そんなわけで更年期への対処の仕方については正直あまり知識もありません。何が効くのか人によって違うことと思いますが、様々な症状の中で一番代表的なホットフラッシュを中心に、北米で比較的よく用いられる緩和法のみ幾つかピックアップしてみました。(漢方については日本在住の人の方がよくご存知でしょうから、今回は含みません。)

ホルモン補填療法(HRT)
更年期の症状を抑える上で最もパワフルなのはホルモン補填療法です。それは間違いないようです。しかし残念ながら不安材料があるのも事実です。ホルモン補填療法には、エストロジェンのみ補填する方法とエストロジェンとプロジェステロン(プロジェスティン)の両方を補填する方法があります。エストロジェンのみだと子宮がんのリスクが上がると言われており(卵巣がんのリスクが若干上がるという説も…)、子宮筋腫などで子宮を切除してしまった人以外は、エストロジェンとプロジェステロンの両方を補填することの方が多かったそうです。(注:過去形)

長い間、欧米の女性は閉経後にホルモン補填療法を受けるのが普通でした。ホットフラッシュなど更年期の症状を抑えるためだけではなく、骨粗しょう症や心臓病の予防効果もあると考えられていたからです。ところが2002年、アメリカのNational Institutes of Healthの一部であるWomen's Health Initiativeの行った大きな調査で、エストロジェン+プロジェステロンのホルモン補填療法は乳がん、心臓病、脳卒中などのリスクを上げるというショッキングな結果が出ました。それ以降、ホルモン補填療法を受ける人の数は激減。これに伴い乳がんになる人の数も減少したそうです。(減ったといっても8人に1人は乳がんになってますが…)

そんな悲しい歴史のあるホルモン補填療法ですが、現在もケースバイケースでしっかり用いられています。ただ、以前の様に何年もダラダラと大量に使い続けるのではなく、症状の重い期間のみ症状緩和に必要な最小限の量を投薬する、という慎重な態度に変わったのです。当たり前のことに思えますが、薬漬けの西洋社会では大問題になるまで使いすぎの弊害に気づかなかったのでしょうね。卵巣切除による更年期の場合、子宮も一緒に摘出していますのでエストロジェンのみのホルモン補填となります。エストロジェンのみの場合は、乳がんや心臓病のリスクは上がらないそうですからご安心を。また、ホルモン補填が骨粗しょう症の予防に役立つのも確かなようです。

抗うつ剤
ホットフラッシュに抗うつ剤?と驚かれる方もいるかもしれませんが、SSRI(セレトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セレトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬)といったうつ病のお薬は、微量の投与でホットフラッシュを抑える力があるそうです。中でもVenlafaxine(Effexor)は効果が高いらしく服用している人も多いと聞きました。この薬は、特に抗ホルモン療法中の乳がんの患者さんで、激しいホットフラッシュに悩まされているのだがエストロジェンを補填するわけにいかない場合などに勧められます。卵巣がんの患者さんの中でも、どうしてもホルモン補填が嫌でVenlafaxineを選ぶ人は大勢いるようです。

さらに、Gabapentin (Neurontin)という抗てんかん薬もホットフラッシュに効果があるようです。元来の目的が抗うつ、抗てんかんと聞くと抵抗がある人もいるでしょうし、こうした薬に副作用や依存症といったリスクはつきものです。しかし医師の処方に従って微量を必要な期間だけ服用するのであれば、それほど恐れる必要もないような気がします。マイナス面はあっても、それでQOLが大きく向上するのであれば試す価値があるという考え方です。まあ判断は人それぞれですよね。過去のトライアルによるとVenlafaxineは60%、Gabapentinは49%、それぞれホットフラッシュの強さを軽減したそうです。

ブラックコホシュ(black cohosh)
更年期の症状を抑えると言われるハーブ類は西洋にも東洋にも色々ありますが、欧米で一番人気があるのはブラックコホシュです。もともとは北米のインディアンの人たちの間で民間療法として使われていた薬草だそうです。ホルモン補填や抗うつ剤と比べると効果は落ちますが、Remifeminというブランドのブラックコホシュは臨床試験でホットフラッシュの減少が一応確認されています。(Remifemin以外の製品の効果については不明です。)ブラックコホシュは肝障害を起こすのではと危惧する見方もありますが、症例が少ないのと因果関係が明確でないことから、一般にはあまり問題視されていないようです。それよりも重要なのはサプリだからといって、化学療法や抗ホルモン療法の最中に勝手に服用しないこと。必ず医師と相談の上決めるべきです。シスプラチンの効果を妨げるという説もあるので治療が済むまで待った方がいいかもしれません。

夢の新薬?
Femarelleというのは比較的新しいお薬です。(というか、薬として承認されているわけではないからサプリになるのかな?)大豆に由来していますが単なるイソフラボンとは一味違う、薬理学的研究に基づいて開発されたエストロジェン受容体調整剤(Selective Estrogen Receptor Modulator)なのだそうです。サプリとは思えない立派な一般名でしょ。ホットフラッシュを抑え骨密度の低下を防ぐ一方、子宮内壁を厚くすることも乳がんを増大させることもない、という触れ込みです。本当にそうだとしたら画期的〜。イスラエル生まれのFemarelle、ヨーロッパでは既に使用されています。製薬会社の資料によると試した女性の76%に症状緩和が見られたとか。アメリカでダブルブラインドのきっちりコントロールされたトライアルを行う予定になっているので、どんな結果が出るか楽しみです。

薬やサプリ以外だと鍼や催眠術(冗談じゃなくて)は結構効果があるらしいです。あとは運動。(熱を持って熱を制す?)エアコンと扇風機の家電療法でしのいでいる人も多そうです。が、更年期症状の強さは個人差がありますので他の人が我慢してるから自分も、と無理をしないことが一番大切だと思います。
posted by leo at 17:48| Comment(3) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月02日

花曇り

cherry blossom 2.jpg

近況報告です。
ここ一月ほどの間に色々ありまして、雲行きがちょっと怪しくなっています。

確か3月最後の月曜日の明け方だったと思います。強い腹痛で目が覚めました。卵巣が茎捻転を起こした時のことを思い出し、このまま痛みが増すようならまた救急車か…と気が滅入いりました。痛みは下腹部全体でしたが、ふと指で触ったとき震源地が右の下腹であることに気づきました。吐き気はなく下痢でもなく腹痛だけだったので、そのまま我慢して横になっていること1時間半あまり。ズキン、ズキンと震源地のあたりが一際強く痛んだ後、すぅ〜っと痛みは引いていきました。15分も経つとあんなに痛かったのがウソのよう。これが噂のキドニーストーン(腎臓結石)というものだろうかと首を捻りました。

痛みの震源地だった右の下腹は以前から時々シクシクしていました。シクシクが始まったのは多分去年の秋くらい。でもその頃は微弱なシクシクがたま〜に起こるだけだったので、気のせいかなと思っていました。いや、気のせいではなくて本当にシクシクしているのだと確信したのは2月。頻度が増しシクシク感も強くなってきたからです。ずっと感じているわけではありませんが、日に何回かはシクシクしてるな〜と気づくことが多くなってきました。

タイミング良く3ヶ月おきのチェックアップが4月6日だったので、癌病院のドクターにシクシクと痛みの発作のことを話してみました。診察はいつも通り、耳の下のリンパを触れたり内診(膣と直腸診)をしたりで、その範囲では特に異変は無いとのことでしたが、念のためにCTスキャンを撮ることになりました。定期的にCTを撮ることはなくても、怪しい症状があればすぐ撮ってくれるんだな〜と少し感心しました。なにしろ痛んだ箇所が下腹部ですからね。

そしてそのCTの検査結果を火曜日(4月27日)に聞いてきました。

CT画像によるとダグラス窩の軟部組織に直径0.6cmの小結節があるそうです。以前の画像には写っていなかったので新たに出現した物体のようです。

前述の自覚症状があったので別に驚くことでもなく、さて次は(ドクターが)どう出てくるかと身構えました。(もし治療の話になったら、治療再開はもう少し先にしてくれるようお願いするつもりでした。)

ところがよく話を聞いてみると、小粒ちゃんがあるのはダグラス窩の左側なのだそうです。あれ???シクシクしているのは右側なんですけど…と尋ねると「右側には何も見つかりませんでしたよ」とあっさり言われました。いくらなんでも放射線医が右と左を間違えるわけ…ないですよね。後でCTレポートを読み返しても左側と書いてあるし、腎臓結石も無し、小腸および大腸も異常なし(盲腸でもなかったのか…)という検査結果でした。なにか腑に落ちないというか、狐につままれたような気がします。

で、小粒なんですが、場所的に考えても(ダグラス窩キタ〜)癌の転移、再発の疑いが濃厚であるものの、CT画像だけでは確定できないそうです。

CA125が併用できるともう少しはっきりするのでしょうが、私の癌はCA125にはあまり反応を示さないタイプなのです。2008年秋、皮膚下転移のグリグリが5個も6個も急成長していた最中でさえCA125値は11。ポ〜ンと50とか100とかに上がるような人ならともかく、私の場合はCA125を測定しても信頼できる判断材料にはならない、というのがドクターの意見でした。(激しく同意です。)

なのでとりあえずこのまま放っておいて…じゃなくて経過観察ということにして、6月にまたCTを撮り小粒が中粒に育っているようであれば再発確定ということになります。

とりまとめますと、@右下腹部のシクシクは未だに原因不明、Aダグラス窩左側の小粒は正体不明、というのが現状です。右下腹部は、その後痛み出すことはありませんがシクシク感は続いています。ダグラス窩の小粒の存在を知って以来、がぜん左側もシクシクするような気がしてきましたが、それはどうも気のせいのようです。小粒が癌であろうがなかろうが、要は大きくならなければいいので、そのままのサイズでいて頂戴よと念を送っています。

ところで、ダグラス窩ってDouglas pouchという言葉もあるのですが、cul-de-sac(クルドサック)というオサレな(?)言い回しをすることの方が一般的なようです。お腹の中に閑静な住宅街があるみたいでしょ。語感が良くても実態は変わらないんですけどね。
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2010年03月28日

猫の恩返し

犬という動物は人間の最良の友と言われるばかりでなく、目や耳の不自由な方の生活を助けたりして人の役に立ちます。特別な訓練を受けていない犬でも、火事にいち早く気づいて知らせたり、飼い主の病変を察知して助けを呼んだり、と美談に事欠きません。一方猫は可愛らしい姿で人の心を和ませるものの、人間のために積極的に何かするというタイプの動物ではありません。お腹が一杯になったら日向で丸くなったりヒーターの前で引っくり返っていたり、と自分の心地よさだけを追及しているかのようにも見えます。しかし猫だって人の役に立つことはあるのです。最近耳にしたのは「猫のおかげで癌を早期発見できた」、という愛猫家にとっては嬉しいニュース。我が家のニャンコに敬意を込めて紹介したいと思います。

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一つめはカナダのマニトバ州に住むJudy Danchuraさん。ことの起こりは昨年6月。ジュディさんは裏庭にお腹を空かせた野良猫がいるのに気づき餌をあげました。その夜遅く、ジュディさんは猫の鳴き声で目を覚ましました。昼間の野良猫が戻ってきて大声で鳴いているのです。可哀想に思い家の中に入れてあげ、寝直そうとしていると猫は寝室に入ってきました。人懐こくベッドに飛び上がって来てジュディさんとご主人の身体の上を歩き回る猫。そして猫が胸のあたりを踏んだ時、ジュディさんはズキリと痛みを感じました。不審に思って検査してもらったところ乳がんと診断されたのです。しかし発見が早かったため完治する確率は95%と言われました。癌発見のきっかけを作った野良猫ちゃんは、Sumo(日本語?)と名づけられジュディさんの家族の一員となりました。スモウちゃんとの出会いと癌の発見について偶然以上の何かを感じてならないジュディさんは、スモウちゃんのことを「四足の毛玉天使」と呼んでいるそうです。

二つめは少し悲しいお話です。アメリカのテネシー州に住むHarold Jacksonさんは猫を2匹飼っていましたが、昨年そのうちの1匹ピーチーズちゃんが病気になりました。食欲がなくなり苦しそうに息をしています。獣医さんに診てもらいましたが原因はわからず、治療の甲斐もなく旅立ちました。念のため死後解剖を行ったところ、ピーチーズちゃんは中皮腫だったことがわかりました。中皮腫はアスベストを吸入することにより発症する癌です。猫がアスベストを吸入していたのであれば飼い主も危ない、と感じた獣医さんはハロルドさんと奥さんにすぐ検査を受けるよう勧めました。検査の結果、二人とも中皮腫ではないことが判明しましたが、ハロルドさんの肺CT画像には影が写っていました。ハロルドさんは肺がんだったのです。肺がんは自覚症状に乏しく、発見された時にはすでに切除不能なほど広がっていることが多いと言われています。しかしハロルドさんの癌はまだ小さかったので、手術で完全に切除することができました。医師いわく「こんなに早く見つかったのは奇跡的」だそうです。ハロルドさんは「ピーチーズが私の命を救ってくれた。でなければ、今こうしていることはなかっただろう。」と話しています。

癌を発見してくれるかどうかは別にして、ペットの存在は飼い主のストレス軽減に役立つという説があります。4500人のアメリカ人を対象に行われた調査によると、猫を飼ったことのある人は一度も飼ったことのない人に比べて、急性心臓発作(心筋梗塞など)で亡くなる確率が40%、何らかの循環器系疾患(急性心臓発作、慢性心臓病、卒中など全て含む)で亡くなる確率が30%も低かったそうです。「和み」や「癒し」には医学的な効果があるのかもしれませんね。

そんな可愛いペット達も人間と同じように癌になることがあります。100%確実な予防策はありませんが、女の子(犬&猫)に多い乳腺腫瘍は、避妊手術を受けることでリスクを大幅に低減することができます。もちろん手術した時はしんどそうにしていて可哀想と感じますがそれは一時。日に日に回復します。いかに長く健康ななワン生、ニャん生を送れるか、と長い目でペットの幸せを考えてあげるべきだと思います。犬や猫は発情期が来ないからといって寂しく思うわけでもないですしね。(そういう感傷に浸るのは人間だけでしょう。)おまけに卵巣がなくなってもホットフラッシュが起きないなんて、その点ではうらやましい限りです。
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2010年03月23日

ユーモアセラピー

日本の癌ブログ、SNS、掲示板などではよく目にするけれどカナダではあまり聞かない話題というのがあります。例えば「低体温は免疫を下げる」とか「笑うと免疫が上がる」とか。(玄米の話題も聞きませんが、それはまあ食生活が違うので当然ですよね。)体温に関しては、そもそも冷え性の人が少ないので問題視されていないような気がします。(冷え性が少ないのも食生活のせいかな?)

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笑いと免疫に関しては…う〜ん、また西洋人お得意の「関連を示すエビデンスに欠ける」というやつかもしれないし、免疫はビタミン剤を飲むことで強まると思っている人が多いからかもしれません。ともあれ英語には「laughter is the best medicine」という諺があり、癌治療においても「笑い」が患者や家族にとって良い影響を及ぼすという見方は存在します。実際、ユーモアセラピー(ラーフセラピー)というのがあり補完医療の一つとして認められています。この分野で有名なのはノースカロライナ州のデューク大学付属病院。デュークには腫瘍レクリエーションセラピーという専門の課があり、その活動の一環としてユーモアプロジェクトが始まったのは1987年だそうです。(結構歴史が長い)「laugh mobile」と呼ばれるカートにコメディ映画、本、ゲーム、ジョークアイテム(座るとプーと鳴るクッションとか)を載せ、週に一回は病院内を回るそうです。(他にも、セラピー犬とのふれあいタイムがあったり、手芸、絵画などの習い事ができたりします。)こうした試みは他の病院にも少しずつ広がってきているようです。私の病院では、毎日お昼時にロビーでバンドの生演奏とかスタンドアップコメディ(一人漫才のようなもの)とかやってます。どうせならキモ部屋に壁掛け式のテレビモニターを設置してSaturday Night Liveか何か見せてくれたらいいのに、な〜んて贅沢なリクエストでしょうか。

笑いの医学的、身体的な効果については色々な説があります。笑うと一時的に脳内の神経伝達物質で鎮痛作用のあるエンドルフィンが増加するとか、ストレス関連の神経内分泌やホルモンが減少するとか、血の巡りがよくなるとか、血糖値が下がるとか… ただ詳しいメカニズムが科学的に証明されているわけではありません。具体的にどう健康に結びつくのかは定かでないにしても、笑いのある生活を送ることが精神面でプラスになり、QOLの向上につながると感じている人は多いのではないかと思います。

笑い、ユーモア、ジョークを癌治療の臨床現場にどう取り入れるか、極めて真面目に(笑)取り組んでいる方もいます。とある雑誌(The Oncologist)に掲載された医療関係者向け講座の教材によると、ユーモアは医師と患者の間の難しいやり取りを和らげることができるが、患者によっては気を悪くすることもあるため、患者の先導なしにユーモアを発揮せぬよう臨床医は気をつけるべき、と慎重なアプローチを勧めています。まあそうですよね。(笑)オーストラリアで行われたアンケート調査によると、患者の60%が「医師は診察時に多少ユーモアを交えた」が「自分は笑わなかった」(笑)と答えたそうです。

この教材には医師やナースがユーモアにまつわる自らの経験や感想を述べているセクションもあります。失敗談として、化学療法を始める男性の患者に治療中は副作用があるので女性を妊娠させないよう説明しようとして、「奥さんに別の相手がいれば妊娠してもいいんだけど」と口をすべらした話があったりしてなかなか楽しめます。難しい状況や微妙な問題を避けようとしてユーモアに頼るはNG。ジョークを言うときは自分自身(医師やナース)や自分の家族をネタにすると患者との壁を取り除くのに役立つ。等のアドバイスからは、医療に従事する方の工夫と気遣いが伝わってきます。また、患者に悪い知らせがある時はジョークを交えないのが原則ですが、ショックと涙で重苦しい雰囲気の会話の後、何か一言でも気持ちを明るくするようなことを付け加えたい、「厳しい状況下とはいえ人生が終わったわけではないし、また笑顔が戻ってくる日も来る」と患者に気づいて欲しい、と感じる医師の意見には考えさせられました。深刻なニュースを伝えるだけ伝えて、それではとフォロー無しで背を向けることに対して抵抗を感じる、というのは医師の良心の表れなのでしょうね。そういう人間的な暖かさを患者は敏感に感じ取るような気がします。

笑いやユーモアが重病患者に与える心理的影響についての調査もあります。ユーモアのセンスは感情をコントロールしたり、孤独感を和らげたり、緊張をほどいたり、現実を受け入れたり、喜びや希望を増したりする上で役立つ、と感じている人が多いという結果だったそうです。

で、思い出したのがニューヨークタイムズのエディターDana Jenningsさん。2008年に前立腺がんステージIII と診断され、手術、放射線治療、ホルモン療法を受けたのち職場に復帰され、現在はご自分の体験に基ずくコラムを連載しています。Jenningsさんはその中で

Being able to laugh in the face of cancer lets you continue to own yourself, as hard as that might be, rather than ceding ownership to the disease. A good laugh reminds you that you are not your cancer.
(癌になっても笑っていられるということは、自分が自分であり続けられるということだ。それがどんなに難しいことであっても、自分の所有権を病気に渡してしまわずにいられる。楽しく笑うことで自分が癌そのものではないのだと思い出すことができる。)

と書いています。他にも楽しい(?)逸話が綴られていて、例えば車で治療に向かう途中すぐ前を走っているのが棺おけ会社のトラックであるのに気づき、「禿タカのっけて後ろからついて来られるよりはずっといいね」と奥さんと笑った話とか、親戚の人から治療の副作用緩和のためにマリファナが必要だったら買ってきてあげると持ちかけられた話とか、人によっては笑うに笑えない状況でもJenningsさんは笑い飛ばせる大らかさを持っています。

最後に格言を2つ。

"Laughter may not always add years to your life, but it will add life to your years." Author unknown
(笑いは寿命を延ばすとは限らないが、年月に生命を与えることができる。)
作者不明

"Life does not cease to be funny when people die any more than it ceases to be serious when people laugh." George Bernard Shaw
(人が死に面した時でも人生は楽しくあり続ける。笑っている時でも厳粛であると同様に。)
バーナード・ショウ
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2010年02月17日

徒然なるままに

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ストマックフル?ノロ(ノーウォーク)ウイルス?
正体は不明ですが何かのウイルスを拾ってきてしまったらしく、先週末は久々にお腹の調子が悪くなりました。木曜日のランチのサラダバーが怪しいとにらんでいますが、真相はわかりません。嘔吐がひどく下痢にもなり熱も少し出ました。昨年2度ほど同じようなことがあり、当時は化学療法で身体が弱っていたせいか、脱水症状や痙攣など併発して救急車のお世話になったのですが、今回は自力で回復できてホッとしました。全身状態の違いって大きいですね。ただ胃のあたりのモヤモヤ感はまだあるので、また十二指腸が炎症気味なのかもしれません。

★    ★    ★    ★    ★    ★

胃や十二指腸の治療薬でcimetidine(シメチジン)という薬があり、癌の再発予防に効果があるかもしれないという話を聞いたことがあります。cimetidineはヒスタミンH2拮抗薬の一つで、癌にどう作用するのか、そのメカニズムは解明されていません。ヒスタミンは白血球のヘルパーT細胞を抑制するので、ヒスタミンをブロックすることにより免疫が活性化されるとか、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)という癌の血管生成に関与する因子をヒスタミンが刺激するのを止めるとか、仮説は幾つかあるようです。

どうも私は十二指腸が弱いので、この薬を服用したら一石二鳥になるかも、というアイデアが浮かびました。が、そううまくはいきません。cimetidineには、他の薬物と相互作用を起こしやすい、副作用が強い、女性ホルモン(エストロジェン)の代謝に影響を与える等のマイナス要素もあります。同じH2拮抗薬で、cimetidineより後に開発されたranitidineやfamotidineの方が、胃の症状緩和により効果的な上、やっかいな薬物相互作用や副作用も少ないので、現在カナダの薬局で処方箋なしで売っているのははranitidineとfamotidineだけです。一方、市販の胃腸薬では治せないほど症状が重い場合は、H2拮抗薬と比べ一段と効果の高いPPI(プロトンポンプ阻害薬)系の薬を処方されるます。私が去年の7月に処方してもらった薬もPPIでした。つまり胃や十二指腸の治療用としてのcimetidineの役目は既に終わってしまっているようなのです。癌の再発予防になるかもしれないからcimetidineにして、とあえて頼むのも何だか気が引けて… なにせエビデンスが弱い上に、副作用やエストロジェン刺激で下手をすると逆効果になりかねないし… ということで私のcimetidine計画は棚上げになったのでした。

★    ★    ★    ★    ★    ★

体調が悪かったということで何もする気がおきず、通常ならあまり興味のないオリンピックの開会式をボ〜っと見ていました。延々と続く開会式の最後の方でオリンピック旗が場内に運ばれてきました。運び手は8人。俳優、歌手、スポーツ選手、宇宙飛行士など錚々たるメンバーに肩を並べて、テリーフォックスのお母さんも旗を運んでいました。(それも先頭で。)がんとオリンピックなんて結びつきそうにないと思っていましたが、そうでもないようです。

今回の五輪誘致を成功させた立役者はJack Pooleさんという方でした。バンクーバーの不動産業経営者だったプールさんは、州知事から五輪プロジェクトの責任者になってほしいと頼まれ、謝礼は一年に1ドル、諸経費は自己負担という条件で大役を引き受けたのだそうです。誘致成功後も実行に向けてリーダーシップをふるっていましたが、2007年にすい臓がんと診断されました。どんな状況でも果敢に立ち向かうのが信条のプールさんは、シアトルにあるヴァージニアメイソン医療センターで、完治の望みをかけて非常にアグレッシブな治療を受けたそうです。(「奇跡のサバイバー」で紹介したJamie C. Spencerさんと同じ病院、同じすい臓がんなので、治療法も同じかもしれません…)残念ながらプールさんに奇跡は起きませんでした。昨年10月、トーチリレーの聖火がギリシャで点火された翌日に旅立たそうです。

がんになる人は本当に多くて(3人に1人でしたっけ?)どんな話題にも必ず出てくるように感じるこの頃です。悲しいといえば悲しいことですが、一人じゃないんだ、と励みにもなるような気もします。




シメチジン(タガメット)の癌への効果についてはこういう記事もありました。(大腸がんですが)
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2010年02月08日

残された者

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先週の木曜日のことです。同じ職場の人のつれ合いの方が亡くなりました。心臓だったそうです。血圧、コレステロール値、糖尿の有無、肥満の度合いなど詳細はわかりませんが、少なくとも過去に発作を起こしたことはなく、亡くなられたご本人も家族も健康に問題があるとは思っていらっしゃらなかったようです。夫婦で有給を取ってフロリダに行く予定を立てていた矢先の、まったく予期せぬ死でした。お昼休みに同僚達とその話をしていて、話の流れでこんな意見が出てきました。

「ある日突然なんの前ぶれもなく家族を失うことは、病気の家族を失うよりショックが大きく、残された者にとってはより耐え難いのではないか。」

その通りだと感じました。病気の家族を失うのが辛くないと言っているわけではありません。愛する家族の死はどんな形でも辛く悲しいものです。ただ肉親を失う精神的苦しみが、病気の家族の場合は闘病期から終末期、最後の別れと長い期間に引き伸ばされ分散するのに対して、突然死の場合はまとめて一気に遺族を襲う、というような違いがあるように思います。少なくともショック、喪失感、無力感といった点で、突然死の与える打撃は激しいのではないでしょうか。

闘病後の死、というとどうしても癌のことが頭に浮かんできます。と言っても私自身が今、具体的に癌で死ぬことを想定して不安になっているわけではありませんよ。それに早期発見と手堅い治療で完全に治癒されているサバイバーも沢山いるので、がんの診断イコール死の宣告というわけでもないのです。それでも自分や家族が癌になって嬉しいと感じる人は滅多にいません。ましてや再発、転移した場合は悲嘆にくれるのが当たり前だと思います。しかし人は永遠に生きることなどあり得ないというのも事実です。誰しもいつかは旅立つ日が来ます。いつどんな風に旅立つのかは、いつどんな風に生を受けるのかと同様、自分ではコントロールできません。癌で死ぬというのも必ず来る別れ方のひとつの形にすぎません。そういう見方をすると、癌という病気で旅立つのは決して悪いことばかりではないような気がします。

がんになったことで逆に生きることの喜びをかみしめたり、空気のような存在だった家族の愛を改めて意識したりする患者は多い筈です。それは闘病が長引き、治癒の見込みが低くなったとしても変わらないと思います。もしも癌の進行を食い止めることが出来なくなり、限られた時間しか残されていないという状況になったら、その時間をどう過ごすかは自分に委ねられています。気の持ち方次第で、自分や家族にとって最も意味のある時間にすることができます。すべき事をすませ、行きたい所に行き、会いたい人に会い、伝えたい事を伝え… 家族と共に徐々に最後の別れに向けて準備することができます。急な病変や事故で命を奪われる人にはできないことです。

去年の3月に「マミーダイアリー」というイギリスのドキュメンタリーの感想を書いた記憶があります。末期がんの女性が残していく子供達のために、母として教えたいことを全て書き残したり、タイムカプセルを作って埋めたり、思い出に残るような盛大なパーティーを開いたりする話でした。小さな子供さんを持つ人にとっては、自分が死ぬこと自体より子供のそばにいてやれないことの方が辛いと聞きます。成長していくにつれ悩んだり迷ったりするであろう子供を助けてあげたい、と切実に願うのが親心なのでしょう。自分の死後も子供たちの心の支えであり続けられるように、彼らがどんなに愛されていたか音声や文章で残したり、手作りの品を作りだめしたり… そんなことができるのも癌ならではという気がします。

話は癌から離れますが、数年前に"The Year of Magical Thinking"という本を読みました。夫の急死と娘の病気という二重の不幸に見舞われた作者、Joan Didionが、ショックと深い悲しみから一歩一歩立ち直っていく経緯を驚くほど冷静に綴っています。何故The Year of Magical Thinkingなのかというと、夫の死から一年ほどは、心のどこかで彼の死を受け入れず、彼が戻ってくることを信じて待ち続けている部分があったからのようです。肉親を亡くした後の一年めは最も辛いと思いますが、筆者は本の最終章で、その辛い一年に終わってほしくなかったと述べています。一年間、彼女はカレンダーを見ては「去年の今日はJohn(夫)とこれをした。あそこに行った。」と毎日思い出し続けていたのです。そしてとうとう、一年前すでに夫はこの世にはいなかったという日が来たことに気づきます。鮮明に覚えているはずの夫の最期の記憶も生々しさが薄れてきました。このまま月日がたち季節がめぐるにつれて生きていた頃の夫の記憶全体が遠く、柔らかく、にじんでいってしまう。筆者はそれをさみしく感じる一方で、死者に別れを告げ前に進まなければならない必要性も感じています。そう頭でわかっていてもやはり忘れたくない。現在の生活に集中することは死者への裏切りのように感じる… 残された者の悲しみと強さ、揺れ動く心を的確に捉えた胸にしみる作品です。日本語訳は見つかりませんでしたが、短い本ですのでよかったら洋書でも読んでみて下さい。
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2010年02月02日

ウィンターブルース

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ウィンターブルース(winter blues)という言葉は、冬場に何となく気の晴れないことが多い状態を指します。カナダの冬は寒くて長いので、自然とふさぎがちになるだけの話なのかと思っていましたが、実は冬季うつ病(Seasonal Affective Disorder)という病名で、うつ病の一種なのだそうです。症状の軽いケースを含めると15%以上のカナダ人が冬季うつ病に悩んでおり、大きな健康問題になっています。原因は気温ではなく日照時間にあるようで、日が短いと体内時計のリズムが狂ったり、ホルモン(メラトニン)のバランスが崩れたりするのが良くないようです。

冬季に限らず、がんと診断された人や家族は鬱になるリスクが高いと言われています。患者4人に1人はclinical depression(治療を必要とする本格的なうつ病)になるという説もあります。

また、女性は更年期障害の一環で鬱になることもあります。特に閉経の前後、女性ホルモンのレベルが大きく変化する時期に、ホットフラッシュと平行してうつ病の症状が出やすくなるそうです。癌の治療のために突然更年期を迎えてしまった人の場合は、ホルモンの減少も劇的なので要注意だと思います。

うつ病というと、どんよりと落ち込んだ気分が頭に浮かびますが、実際の症状は様々です。疲れ、不眠、過眠(冬季うつ病)、食欲の衰え、過食(冬季うつ病)、集中力の低下、ものごとに興味が持てない、虚しさ、不安感、他人との交流を避ける、気持ちの浮き沈みが激しい(更年期うつ病)など、鬱の症状だという自覚を伴わないこともあります。心の状態は身体の状態以上に、医学的な治療を求めるべきか否かの判断がつきにくい気がします。多少の不調は気の持ちようで解決するのではないかと考えがちです。一般的には、上に挙げたような症状が2週間以上続いたら医師の診察を受けるべきと言われています。また最近はネット上で自己診断ツールもあるようですので、そうしたものを利用するのもいいかもしれません。

治療は投薬が主流のようです。脳内の神経伝達物質の減少、という病理学的要因が引き金となって鬱が起こると考えられているからです。現在うつ病治療に最もよく使われているのはプロザック(Prozac)を代表とするSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)です。セロトニンは前述の神経伝達物質のひとつで、薬がセロトニンの神経細胞への再取り込みを防ぐことによって減少を補うという仕組みのようです。これを書くためにちょっと調べたらプロザックは日本では未承認と知りビックリしました。抗がん剤でドラッグラグが問題になっていることは聞いていましたが、プロザックは本当に多くの人が服用している薬なので… まあアメリカ人、カナダ人はプロザックの飲みすぎという気もしますが。

お薬以外ではカウンセリング(心理療法)や電気ショックなどという荒業もあります。冬季うつ病は、光療法という高照度の人口光を毎日数分浴びる治療法が効果的だそうです。民間療法ではセントジョンズワートというハーブ薬に人気が集まっています。オメガ3も鬱に効果があると言われているので、鮭や鯖といった脂ののった魚やフラックスシードなどを積極的に食事に取り入れても良さそうです。軽度のうつ病であれば、ヨガや瞑想、深呼吸などで緊張をほどく、やらなければならない事は小分けにして無理のないようにこなす、運動をする、音楽を聴く、友達と映画や食事に行くなど自分が楽しいと思えることをする、といった生活のちょっとした変化が回復を促したりもするらしいです。

最後に、化学治療中(維持療法含め)で且つうつ状態にある場合、いくつか注意しなければならない点があります。疲労、食欲の低下といった状態が抗がん剤の副作用なのか鬱の症状なのか、非常にまぎらわしいので医師と相談することが必要です。抗うつ剤を服用する際は抗がん剤との相互作用の点を確認しておかなければなりません。民間薬やハーブ薬についても同様です。たとえばセントジョンズワートは、イリテカンの代謝を早めて効き目を弱くしてしまうという研究結果がでています。サプリメントや漢方薬は西洋の薬との「飲み合わせ」に注意する必要があるでしょう。

私自身は冬だからと言って特別落ち込むこともなく、通勤時間に吹雪だったりすると「雪の八甲田山」なんて言葉が頭をかすめたりしますが、今年は雪が少ないのでラッキーです。ただ10〜11月にどんどん日が短くなっていく時は寂しい感じがして、2〜3月に日が長くなってくると寒さはまだ厳しくてもウキウキして来るのは事実です。更年期に関しては、私は自然閉経だったせいか全般的に症状が軽くて助かっています。が、今思い返すと閉経の後しばらくは些細なことでイライラしていたような気もします。癌の精神的影響という点では、手術の傷も癒えぬうちに皮下転移が見つかった頃さすがに暫くメゲていたように記憶しています。日常生活に差し支えはなく自覚の乏しい鬱でしたが、音楽を聴いたりテレビを見ていたりしている時に、何かのはずみで涙がポロポロでてきたりして。でも大泣きした後はいつもスッキリしてましたが。そういうことが3ヶ月くらい続いたら、神経の太さが増したのか突発的な涙の発作もなくなりました。人間どういう状態でも慣れてしまえば平気みたいですね。


参照したサイト:癌とうつ病冬季うつ病更年期うつ病セントジョンズワートとキモセラピー
posted by leo at 06:50| Comment(2) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月10日

シンプトムフリー

火曜日(1月5日)はキモ終了6ヶ月目の検診の日でした。ホリデイ明けなので病院が混んでることを覚悟して行ってみたら、どういうわけか待合室がガラガラで嬉しいサプライズ。最近は婦人科系の癌になる人が少ないのでしょうか???

スタッフの人もヒマだったせいか、珍しく「体重を量ってみましょう」と呼ばれました。今年の初夢は病院で体重を量ったら思ったより軽くて大喜びする夢だったので、まさか正夢!とドキドキしながら行くと、実際の体重は夢で見たより4キロも多くて現実の厳しさを実感しました。2008年に2度の手術で落ちたお肉が全部つきなおしていてメタボ軍上等兵に逆戻りです。それでもカナダの水準では小さい方なので「軽いじゃないの〜」なんて慰められました。(身長が低いだけなんですが。)

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検診の方は相変わらず内診のみ。特に症状も無いので、また3ヵ月後にということで終わりました。キャンサーフリーかどうかは神のみぞ知るところですが、シンプトムフリーなので一応良かったです。ドクター達も喜んでいました。そうですよね、患者の健康を望まない医者はいないですよね。癌の専門医には命を救うことのできない患者も沢山いて、それをプロフェッショナルに割り切っているように見えても、心の底では一人でも多くの患者に完治してほしい、それがだめでもできるだけ長く寛解を続けてほしいと願っているのですよね。あまり考えたことがありませんでしたが今回の検診時、表情や声音、言葉の端々にそんな希望に満ちた暖かい思いが感じられ、私の方もこれから何があるかわからないけど、この人達を信頼してお世話になろうという気持ちになりました。

Inspireというサイトに卵巣ガン専門の掲示板があり、3週間くらい前そこに「カナダの卵巣ガン患者」というトピックが立てられ、カナダ各地から経過観察をどう過ごしているかについて書き込みが寄せられました。それによるとどこの州も似たり寄ったりで、症状が出てくるまでCTスキャンはなし。腫瘍マーカーは医師の判断で調べたり調べなかったりのようです。患者への説明も一緒。再発は早期発見しても生存期間が延びるわけではなく、早期に治療再開することでQOLが下がるだけだから、と私のドクターが言ったのと同じ理由を他の皆さんも告げられているようです。それに対して不安や不満に感じるという意見も挙げられました。「ここが痛い、あそこが痛い」と騒ぎ立ててCTを撮ってもらい、CTに何も写っていないと言われてやっと納得した強者もいて思わず苦笑。困ったちゃんは私ひとりではないと知り安心しました。

確かにCTを撮らないと、2〜3日お腹のはる日が続いただけで「再発かも…」という暗い可能性が心をよぎります。私は経験上、小さな癌はCTの画像上には現れても症状を引き起こすことがないのをよく知っています。2008年11月に撮ったCTには腹膜播種らしき根粒がいくつも写っていたのですが、痛くも痒くもなく便通も快調。そのまま1月のキモ開始までほったらかしておいても何も起こりませんでした。No SymptomsとNo Evidence of Disease(NED)は違うのです。でもだからどうしたいのか、NEDを確認するためにCTを撮りたいのか、というとそれも気がすすまなくなってきました。CTで浴びる放射線の量はかなり多く(特に腹部のCT)それが原因で癌になる人も少なからず存在する(全体の2%)、という新聞記事をタイミングよく12月に読んだせいもあります。また、他の理由で亡くなられた方の死後解剖を行うと小さな癌が見つかることも珍しくない、という話を聞いたことがあります。つまり小さな癌と共存していて、それに全く気づかず平和に生きている人は案外沢山いるかもしれないということです。そんなことから、ウの目タカの目になって再発癌を探し出しても得るものは少ないという気がしています。(初発は早期発見で完治の可能性が高くなるので話が別です。スクリーニングはちゃんと受けましょう。

ともあれ人の感じ方はそれぞれですから、はっきり異常の無いことを示す物的証拠がないと不安感がぬぐえず、精神衛生上良くないような場合は積極的にCTを撮る意義もあるでしょう。年に2〜4回CTを撮ったぐらいで即、新たな癌が出来るとも思えませんし。

腫瘍マーカー(CA125)についてはCT以上に当てにならないような気が… な〜んて私が無反応なだけで人によっては指標になるケースも多いのでしょうね。ただその場合も、あまり気に病まないのが一番だと思います。一喜一憂したからといって値が変わるわけではないですし、素人の深読みのしすぎは禁物です。5が500になったのならともかく、5が15になったくらいで大騒ぎしない方がいいと思います。本当に。

経過観察期間をどう過ごすか。答えは一つではないでしょうが、私の場合は「運を天にまかせて今日を楽しく生きる」がモットーですね。
posted by leo at 18:22| Comment(6) | 日々の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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