2011年10月06日

9ヶ月の遅れ

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アップル社のSteve Job氏の訃報は世界中を駆け回り多くの人に衝撃を与えました。56歳。本来死ぬような年齢ではありません。さぞ心残りだったと思います。心よりご冥福をお祈りいたします。

生前Job氏は非常にプライバシーを重んじられ、病気についての詳細は公表されませんでしたが膵臓がんでした。癌と診断されたのは2003年10月のことです。膵臓がんで8年生存、しかも亡くなられる6週間前まで世界のトップ企業の一つであるアップル社のCEOという激務をこなされていたとは…やはり凄いと感じられる方も少なくないかと思います。

Job氏の膵臓がんは正確にはislet cell neuroendocrine tumor(多分日本語では膵島細胞がん)という稀な種類の癌でした。普通の膵臓がんと比べるとおっとりした癌らしく、手術で切除できれば10年以上生存する可能性も大いにあると言われています。Job氏の癌は健康診断で偶然見つかり、てっきり普通の膵臓がんだと早とちりしたドクターから余命6ヶ月と告げられました。その後、口からの内視鏡を使って生体組織検査を受け膵島細胞がんであることが判明。Job氏自身は鎮静剤で眠っていましたが、立ち会った奥様によると組織検査をした医師は安堵のあまり涙を流したそうです。

ところがJob氏はすぐに手術を受けませんでした。仏教徒で菜食主義者だったJob氏は西洋医学の標準治療に疑問を持っておられ、食事療法や薬草などで癌を治そうと試みていたらしいのです。アップル社の役員には、分子標的薬の開発/製造で有名なあのGenentech社のCEO、Arthur Levinson氏も含まれ、手術を受けるようJob氏の説得にあたったと伝えられています。誰の説得が功を奏したのかはわかりませんが、Job氏は心変わりされ2004年7月31日にスタンフォード大学付属病院で手術を受けました。癌の診断後9ヶ月以上経っていました。

この9ヶ月の遅れがどんな違いを生んだのかは誰にも分かりません。すぐ手術していれば完治したのか?すぐ手術しても9ヶ月後に手術しても結果は変わらなかったのか?神のみぞ知るです。個人的には、アップル社というテクノロジーの先端を行く企業の創立者が西洋医学に懐疑的だったという点にビックリしたのと、この9ヶ月間にアップル社が大企業としてどう対応すべきか苦慮していた点が興味深かったです。CEOが癌だというだけでもショッキングなニュースなのに代替医療で治そうとしているなんて投資者にどう顔向けすればよいのか… 結局弁護士と相談の上、手術するまで一切を伏せておくことに決まったのだとか。当のJob氏は手術の翌日、病床から従業員全員にメールを出して完治宣言していたそうです。そのメールの中で化学療法や放射線治療は必要ないと述べています。それがドクターの見解なのかJob氏が手術以外は拒否したのかは不明です。

残念ながらJob氏は完治されたわけではありませんでした。いつどんなふうに再発されたのかはJob氏のご家族やご友人、担当医チームしか知りません。知る必要もないことでしょう。2009年に肝臓移植を受けたことだけは報じられています。膵島細胞がんが肝臓へ転移した場合の治療法の一つらしいです。ただしリスクの伴う治療法です。臓器移植をすれば新しい臓器に対して拒絶反応が起きないよう免疫抑制薬の投与が必要となります。そのことから癌がさらに転移、再発しやすい状態になってしまうのです。

Job氏の死の引き金となったのは癌そのものだったのかもしれませんし、肝臓移植の合併症だったのかもしれません。いずれにせよJob氏が果敢に病気と闘われ最後まで信念を曲げなかったのは確かなようです。痛々しいほど痩せてしまわれながらも第一線から退きませんでした。生きるということは単に息をしていることを意味するのではありません。Job氏の姿からそんなことを考えさせられました。

引用元: CNN MoneyForbesReutersApple Insider
posted by leo at 15:45| Comment(2) | 癌になったセレブリティ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月03日

ステージIV宣言

俳優のマイケル・ダグラスさんが癌になったというニュースは日本でも報道されたと思います。一昨日、ダグラスさんは「Late Show with David Letterman」 というテレビ番組に出演し、癌が見つかった経緯や現在の治療について自ら語りました。David Letterman Showは、毎日違うセレブリティがゲスト出演し司会のレターマン氏と楽しくお喋りする趣向で、視聴率の高い人気番組です。今月公開される新作映画「Wall Street: Money Never Sleeps」のプロモーションの為の出演だったようですが、癌であることがつい最近判明したばかりなので、病気絡みの話題が大部分を占めました。



(埋め込みが機能していない場合はこのリンクをお使い下さい。)

ダグラスさんの癌はステージIVだそうです。ユーモアを交えて実にサラッと告白されました。癌のステージの話をした後に、「喉の癌があるようには(声が)聞こえませんね」と言われて、「だってステージの上だもの」とジョークで返すほどの余裕を見せました。大スターの貫禄十分なだけでなく、かなり精神的に強い方という印象を受けました。また、ステージIVでありながらも「治る確率は80%」と力強い発言をされました。

ダグラスさんの癌は喉の癌です。具体的な病名は明かにされていませんが、腫瘍の位置が舌の付け根部分らしいことから、咽頭がんである可能性が高いと医療情報サイトでは分析しています。治る確率に関しては、咽頭がんはステージIVがA、B、Cと3段階に分かれており、ステージIV-Aであれば、担当医が80%と判断してもおかしくない、という専門家の見方を紹介しています。この80%が、治療が奏効する確率なのか、完全寛解する確率なのか、5年生存率なのか…それははっきりしません。ただそういう細かい点は、治療を開始したばかりのダグラスさんにとって重要ではないのだと思います。

この人は頭の良い方だと感じたのは、ダグラスさんがステージIVというマイナス面にはあまりこだわらないようにしている姿勢です。担当医から、首から上の癌は首より下(胴体部)に転移することが稀である、という説明を受けたらしく、そのプラス面に気持ちを集中させ望みをかけていらっしゃる様子が伺えました。ただ厳しい見方をすれば、首から上であってもリンパ節に転移していれば、後々癌がどこから顔を出すかわかったものではありません。初めから化学療法を併用しているということ自体、治療は局所ではなく全身を考慮に入れていることを示しているのだと思います。それも理解された上で、意識的に楽観視していらっしゃるのかもしれません。

ダグラスさんは既に一回目の放射線と化学療法を受けています。治療は毎週で8週間続く予定です。楽な道のりとは言い難く、「抗がん剤の吐き気は思ったより辛い」と話していました。(咽頭がんはシスプラチンがメインのお薬らしいです。)放射線も回が進むにつれ重い嚥下障害を伴ったり、唾液腺を破壊したりと有害事象が山積みです。これから予想される困難を淡々と語りながらも、ダグラスさんはこれらの治療が腫瘍を片付け、手術を回避できることを期待されているようでした。ステージIVの癌が手術もしないで治せるのかと私は半信半疑ですが、手術をすると声が出なくなってしまうことも有り得ます。職業柄手術に乗り気でないのは無理も無いことでしょう。

話が前後しますが、癌発見の経緯に関しては問題もありました。喉の痛みが続き診察して貰ったのが今年の夏の初め頃。その時点では検査結果に異常なし。そして8月半ば再度病院に行き、生体検査をしてやっと癌が見つかった…と同時にステージIVの診断。番組の中で「早期発見と言えるのか?」と質問され、「そう思いたいけど」と困った顔をして頭をかいたダグラスさん。「見つからないこともあるのさ」と達観していらっしゃるようです。一方奥様のキャサリン・ゼタ=ジョーンズさんは、1回目の検査で癌の兆候が見落とされたことに対して怒りを隠せません。癌というのは自覚症状が出る頃にはある程度進行しているケースが多いものです。ステージIVの癌が、仮に2ヶ月前に発見されていたとしたら…それでもステージIということはないですよね。どちらにしてもステージIVだったのか、早く見つかっていればステージIIIだったのか。憶測したところで今さらどうにもなりません。奥様が怒るのももっともですが、誰かを責めたところで病気が良くなるわけでもないし、気持ちを切り替えて治療に専念する方が得策という気もします。

ともあれ、ダグラスさんの治療が成功して今後もハリウッドで活躍を続けられることを祈っています。ステージIVの癌が治れば他の癌患者にとっても大きな心の支えとなると思います。
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2010年05月30日

ブルーベルベット

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俳優のデニス・ホッパーが亡くなりました。「イージー・ライダー」や「地獄の黙示録」で有名になった方ですが、個人的には「ブルー・ベルベット」が一番印象に残っています。味のある(凄みのある)役者さんであったばかりでなく、画家、写真家としても活躍されました。前立腺がんだったそうです。2週間前に、レインボウやサバスでヴォーカルをやっていたロニー・ジェイムス・ディオが胃がんで他界したばかり。寂しいニュース続きです。

デニス・ホッパーに話を戻しますと、幾つかのニュースや新聞は“died from complications of prostate cancer”と報道しているんですね。これは“died of prostate cancer”と微妙に違うというか… 大元の原因は前立腺がんだとしても、直接の死因は合併症…ということは治療がらみ?と少し気になりました。

デニス・ホッパーが最初に前立腺がんの診断を受けたのは2002年だそうです。おそらくは治療を受けて何年も寛解していたのが、昨年10月末に転移、再発が見つかったものと思われます。11月初めに芸能レポーターが追っかけインタビューをしているのを見たら、その時点では“I feel great”と元気一杯で、USC(University of Southern California)でexperimental treatment(トライアルを指す)を受けると明るく話していました。それが5ヵ月後の3月26日にハリウッドの式典に出席した頃には、見る影も無いほどやつれ果てていました。骨転移であんなに急激に弱るものなのでしょうか。癌の仕業なのか、それともトライアルで試した効かない薬の副作用のせいなのか…多分両方なのでしょうね。

前立腺がんの治療は、手術、放射線、ホルモン療法がメインだそうです。ホルモン療法が効かずに転移、再発してしまった場合は効果的な治療法がないらしく、抗がん剤をあれこれ使って延命を試みるのが現状。そういう状況下でどんな治療を受けるか、受けないかの決断は大きな賭けだと思います。賭けに負けて薬が効かなければ、全身状態の悪化に拍車がかかるだけという可能性も十分あります。でも100人に1人にしか当たらない薬でも、その1人が自分であったら…という気持ちだって捨てきれないことでしょう。デニス・ホッパーは5ヶ月の治療生活で体重が100パウンド(約45キロ)になってしまったそうです。(身長は約175cm)彼の病状や治療の詳細が公表されていない以上、あれこれ推察しても意味がありません。ただ一般論として、癌は病気が進めば進むほど判断の違いが余命の長さと質を左右するような気がします。

デニス・ホッパーの訃報で、もう一つ考えさせられたのは癌の統計の不毛さについてです。前立腺がんは欧米で特に罹患率の高い癌です。しかしスクリーニングが進み、初期治療の効果も高いので10年生存率は90%を超えます。それでもその90%に入れない人はいるのです。その半面、早期発見が難しく進行も早い、いわゆる予後の厳しい癌であっても10年生存率がゼロということはありません。数は少なくても10年以上元気に暮らす人は存在するのです。統計というのは確かに参考にはなりますが、統計は統計、自分は自分と割り切ることの大切さをしみじみ感じます。

地獄の黙示録のワンシーンです。埋め込みが見れない場合はこちらをクリックして下さい。



天国でブランドと同窓会ですね。安らかに眠って下さい。
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2010年01月25日

悲しきサバイバー

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「サバイバー」というのは、アメリカやカナダでとても人気のある視聴者参加番組です。南海の小島やジャングルなど文明から切り離された地を舞台に、いかに生き残るか(survive)を競い合うという内容で、参加者には高度の体力、気力、運動能力が求められます。

この「サバイバー」に5年ほど前に出演し、参加者20名のうち4位にまで勝ち残った女性の訃報が伝えられたのは先週のことです。乳がんだったそうです。アメリカでは8人に1人は罹患するという乳がんですが、この女性(Jennifer Lyonさん)は37歳、癌が見つかった時は33歳という若さでした。また公表された病気の経過などを読む限りでは、発見の遅れが病状に多大な影響を与えたように見受けられます。乳がんはマンモグラフィという有効なスクリーニング手段があるにもかかわらず、なぜジェニファーさんの癌は発見が遅れてしまったのでしょうか。

雑誌Peopleの記事によると、ジェニファーさんが右胸のしこりに気づいたのは2004年の夏のことでした。触れると、小石が幾つかくっついてできたような感じのしこりだったそうです。私はこの記述だけでゾゾっとしました。癌の腫瘍は硬いとよく聞くからです。でもジェニファーさんの頭の中では、乳がんのしこりはグリーンピースみたいなのがポツンとできて来るイメージで、自分のゴリゴリと癌があまり結びつきませんでした。また彼女は、しこりに気づく5年くらい前に豊胸手術を受けているので、その際に損傷した組織ではないかとも考えられました。当時、学生兼ナニー(子守り)で健康保険を持っていなかったということも検査を躊躇させた一因でした。「サバイバー」出演前に健康診断を受け、しこりのことも話しましたが「まだ若いんだから大丈夫よ〜」と軽くパスして、マンモグラフィを勧められることもなかったそうです。

何千人もの応募者の中から選ばれるたった20人の参加者。最後まで勝ち残れば賞金100万ドル。優勝しなかったとしても、人気番組に出演することで有名人の仲間入りです。その頃のジェニファーさんの頭の中はパラオでサバイブすることで一杯で、胸のしこりのことで思い悩む余裕などなかったのかもしれません。

番組終了後しばらくして、ジェニファーさんはしこりが増えていることに気づきました。胸だけではなく右の腋の下にも何かある感じです。病院に行くと、専門医は検査をする前から「癌であることはほぼ間違いないでしょう」と明言したそうです。その疑いはマンモグラフィと組織検査で確定。ステージIIIと診断されました。しこりの存在に気づいてから1年近くは経っていたようです。治療はまず手術を受け、両乳房を全切除。リンパ節郭清は29箇所にも及びました。キモセラピー、放射線、地固めのホルモン療法と一通りやって寛解したものの、数年後に再発、骨転移が見つかりました。初期であれば高い確率で完治を見込める乳がんですが、進行している場合は手ごわい相手です。

しこりがあることに気づいた時すぐに検査していれば… とジェニファーさんがどんなに後悔されたか想像に難くありません。YouTubeのビデオインタビューでは明るく前向きな態度を保ちつつも、「(しこりを)そのままにしておいちゃったの」と何とも言いにくそうに切り出した様子や「もっと早く癌だとわかっていたら…こんなに大変ではなかったなかったのに」と語る口調に、隠し切れない悲しみや無念さがにじみ出ているよう感じました。

ジェニファーさんの身に起こったことは、程度や状況の違いはあるにせよ、他の女性にも十分起こりうることです。特に若い方は、まさか自分が癌になるだろうとは思っていないのが普通です。仕事に趣味に恋愛にやりたい事が山積みで、身体の異変に気づいても後回しにしがちな人も少なくないのではないでしょうか。心配しすぎて神経質になるのも困りものですが、若いから絶対に健康でいられるという保証はないのです。悪くなるまで待たないで下さい。癌だけではなく、どんな病気でも早く見つけて損はないのです。
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2009年08月04日

チネマ・パラディーソ

一昨日の記事を書いていてふと気づいたのは、ロックミュージシャン(欧米に限る)は不摂生な生活をしている割にガンで死ぬ人が少ないということです。あの人たちはタバコも吸うし大酒も飲むのに、肺や肝臓が特別丈夫に出来てるのでしょうか?それとも麻薬のせいで、ガン細胞も育たないような体内環境なのでしょうか?それとも単に、ガンになる以前に他の理由(自殺、事故、麻薬のオーバードーズ)で死んでしまう人が多い、というだけの話なのでしょうか?

まぁそれはともかく、対照的にガンの犠牲者が比較的多いように感じるのは映画監督です。というか、たまたま私の好きな映画監督がガンで亡くなっているだけなのかもしれませんが。

私は典型的な昭和人間なので最近の映画はさっぱりわからず、ジョニー・デップを除くとハリウッド映画もほとんど知りません。でも昔のヨーロッパ映画は大好きでした。

例えば『ジュールとジム』

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(監督のトリュフォーは脳腫瘍で死去。)

例えば『さよなら子供たち』

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(監督のルイ・マルはリンパ腫で死去。)

そして『ノスタルジア』

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(監督のタルコフスキーは肺ガンで死去。)

タルコフスキーについては、KGBが密かに放射線を照射したためにガンになったという暗殺説があるのですが、それはいくらなんでも…

上に挙げたような昔の映画は、見終わると魂が清められたような深〜い感動があったのですが、今はそういう映画ってないような気がします。映画もネットでダウンロードという時代になり、完全にホーム・エンターテイメントの一部となってしまったからかもしれません。とても残念です。

それと俳優さんですが、イタリア映画の黄金期をささえたマルチェロ・マストロヤンニは膵臓ガンで亡くなりました。フェリーニの『甘い生活』が一番有名ですが、個人的にはデ・シーカのコメディ『ああ結婚』や、年をとってから演じた『黒い瞳』などが好きでした。

この手の映画に興味のない方には全くわからない内容になってしまいました。でも暇があったら見てみて下さい。素晴らしい芸術作品にふれると心が穏やかになり、免疫力が高まるかもしれませんよ。
posted by leo at 15:17| Comment(4) | 癌になったセレブリティ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月02日

PAIN IN THE A★★

ビースティ・ボーイズのMCAことアダム・ヤウク(Adam Yauch)が、癌になったとYouTubeを通じて発表したのは7月20日のことでした。それから早2週間近く経ちました。今頃は無事手術を終え、放射線治療も順調であるよう祈っています。

ビースティ・ボーイズは80年代後半に出てきて、ラップとパンク・ロックを足して2で割ったような、妙にキャッチーな音楽性と品行不方正な歌詞で人気バンドとなりました。以来20年以上さしてマンネリ化することもなく活動を続ける実力派で、普段ラップを聴かない私でも何枚かCDを持っています。特に90年代前半は『サボタージュ』というヒットを飛ばしたり、夏の野外フェスティバルで引っ張りだこだったり大活躍でした。『サボタージュ』はミュージックビデオのオールタイムベスト10に入る名作、と個人的に確信しております。

病気発表ビデオの中で、MCAはガンのことを「PAIN IN THE ASS」と呼んでいて(笑)、治す気満々のようでした。(PAIN IN THE ASSはイヤな奴、苛つく奴、超うざい奴などを意味する、ややお下品な表現です。)彼の談話によると、ガンは耳下腺(唾液腺の一種)にできており、周辺のリンパ節に広がっているものの、スキャンの結果では遠隔転移なし、という診断のようです。本人いわく、殆どのケースでは治癒するタイプの癌だそうですが、WebMDという真面目な医療サイトの解説では、予後は手術をして腫瘍の大きさ、組織型、分化度などを確認しないとわからないと慎重です。(そりゃそうだ。)周辺リンパ節への転移から少なくともステージIII、と聞くと本当に大丈夫かなぁと他人事ながら心配になります。

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音楽界で癌の犠牲になった方というと、ビートルズのジョージ・ハリスン(喉、肺)、標準治療を拒否したボブ・マーリー(皮膚)、オペラのパバロッティ(膵臓)などが頭に浮かびます。

癌になったけど治療が成功して今も健在なのは、ローリング・ストーンズのチャーリー・ワッツ(喉)、ロッド・ステュワート(甲状腺)、エディ・ヴァン・ヘイレン(舌)などがいます。

俳優では『ゴースト/ニューヨークの幻』の主演パトリック・スウェイジが膵臓ガンの闘病中です。

女性の有名人では、やはり乳ガンが圧倒的に多いです。

『チャーリーズ・エンジェル』でファラと共演したケイト・ジャクソン(サブリナ役)とジャクリーン・スミス(ケリー役)はどちらも乳癌サバイバー。『The Sopranos』でトニーの奥さんカーミラ役だったEdie Falcoや『Sex and the City』でミランダ役だったCynthia Nixonも乳癌サバイバーです。

女性歌手ではシェリル・クロウやカイリー・ミノーグが乳ガンになりましたが、治療後、元気に音楽活動を再開しました。カイリーは検診でガンを見落とされた経験があり、テレビのインタビューで「白衣を着て医療機器を操る人だからといって正しいとは限らない。(疑わしいと思ったら)自分の直感に従ってもう一度診てもらって下さい。」という名発言をしたことでも有名です。うんうん、と頷くガン経験者も多いと思います。
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2009年06月26日

ファラとマイケル

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2年8ヶ月あまり肛門ガンと闘ってきたファラ・フォーセットが、ついに力尽きて旅立たれました。今日(カナダはまだ25日)のお昼休みにエレベーターの中のテレビ速報で知りました。チャーリーズエンジェルのジルとして一世を風靡した人なので、その時点では芸能関係のトップニュースでした。

帰宅してから、やってるかな(ファラのこと)と思ってテレビをつけたら…

な、な、なんとマイケル・ジャクソンが急逝したという衝撃のニュース。ファラと違い、マイケルは生死にかかわるような持病があるという話なんて聞いたことがなかったので、ビックリ仰天でした。心不全とか、そういう心臓関係の急性疾患のようですが、解剖がすむまで詳しい死因はわからないそうです。カナダのチャンネルでも今夜はずっと特番を流していました。

ある意味で対照的な死のように感じられました。

ファラは長い期間、闘病生活を続け、特に再発後は化学塞栓療法という実験的な治療を受けるためにドイツとロスの間を何度も往復する生活だったようです。それでも治らず、ロスで最新の抗がん剤治験に参加するも奏功せず、身体的にはボロボロになりながらも最後まであきらめず、4月上旬にはかなり全身状態が悪くなっていたようですが、それからさらに3ヶ月近くも頑張りました。

一方マイケルは救急車が到着した時点で既に心停止していたらしく、医療チームの努力もむなしく蘇生することがなかったらしいです。闘病の苦労はなかったものの、心の準備をする暇もなく悔いの残る旅立ちだったかもしれません。

ファラは、ライアン・オニールという長年連れ添ったパートナーと親友に最期まで精神的に支えられ、家族愛や友情には恵まれていたようです。

マイケルは、私生活に関しては訳の分からないゴシップばかり報道されてきましたが、寂しい人だったのではないかという印象です。

どんな人生を送ってどんな最期を迎えてもをしても、命の重さに変わりはありません。それでも、自分はどんな風に生きたいか、死にたいか、人の幸せとは何なのか、などつい物思いにふけってしまう一日でした。
posted by leo at 13:42| Comment(2) | 癌になったセレブリティ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月23日

ジェイド・グッディ

イギリスのタレント、ジェイド・グッディが亡くなりました。

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ジェイド・グッディはビッグ・ブラザーという、日本で言ったらまあゲーム・バラエティ系の番組に出演して有名になったほか、自伝を出版したり、香水のブランドを立ち上げたりもしていました。
失言や失態で批判されることもありましたが、基本的に正直で開けっぴろげなタイプのタレントさんだったようです。

昨年8月に子宮頸がんの診断が下り、それからたったの7ヶ月。27歳の若さで、2人の小さなお子さんを残して旅立たれました。

2月に余命宣告があった、というニュースを聞いたときは正直言ってショックでした。子宮頸がんという癌は、特にPAPスミア(細胞診)が一般化している欧米では、『早期発見→根治』のケースが多いという印象があったからです。アメリカの癌協会によると、アメリカでは1955年から1992年までに、子宮頸がんによる死亡率がなんと74%も減少したそうです。その後も現在に至るまで、死亡率は毎年下がり続けています。

しかし、発見された時点で子宮の外まで広がっている場合には予後が厳しくなります。それは他の癌と同じです。ジェイドのステージがいくつだったのかは知りませんが、円錐切除ではなく子宮全摘だったということから察するに、初期ではなかったのでしょうね。どうしてもっと早くに見つからなかったのか…それはわかりません。術後の放射線と化学療法も、残念ながら奏功しませんでした。

副作用で髪も抜け、かなりヘビーな闘病生活を送っていたジェイドは、その様子をマスコミを通じて公開しました。このことにより、子宮頸がんという病気への世間の関心が深まったり、他の癌患者が勇気付けられたりしたようです。もちろん公開することでギャラを貰っていたのでしょうが、それも自分のためというより、5歳と6歳の息子達のためにせめて残してあげられるものがお金だった、という見方の方がフェアのような気がします。

病気と向き合い、死を見据え、最後まで明るさを失わなかったジェイドの姿に心を動かされた英国人は多く、彼女の死去に際してはブラウン首相がお悔やみのコメントを残すほどでした。

27歳…若すぎます。私だってまだ癌で死ぬには早いけど、一般にはしっかり中年の仲間入りしてるし、若い頃さんざん好きなことしてきて、少しは命に対して度胸も据わってきています。お年寄りが癌で死ぬのは構わないとは言いませんが、若い人や小さい子供のいる人が癌で命を落とすというのは、はっきり言って許せません!

特に、その悲劇がワクチンや定期健診によって、少しでも防げるのであればなおさらです。
ジェイドの病気をきっかけに、イギリスでは20代の女性でPAPテストを受ける人が急増したそうです。さらにPAPテストの対象年齢を、25歳以上から20歳以上に引き下げようという動きも始まりました。

子宮頸がんは女性の癌の中で、予防やスクリーニングの水準を日本と欧米で比べた場合、最も遅れが深刻な癌なのではないではないかと心配しています。
posted by leo at 15:21| Comment(2) | 癌になったセレブリティ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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